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白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

誕生秘話

2010-05-25 | 画廊の様子
 昔のむかし、ある人が道に迷って野原を一日中歩きまわっておりました。     

そうこうしているうちに、ふと草の茂みに鳥の子(卵)を見つけました。

これを拾って袖に入れ、その夜は草を丸めて枕にし野原に休むことにしました。

そうして、こんな夢をみました。「拾った鳥の子は前世の子供だからこの野原に

埋めて葬ってやりなさい」と。目が醒め、夢の中で告げられたようにこの子を

野原に埋めてやりました。

やがて夜が明け、見るとそこに一枚の葉っぱから小さな花が咲いていました。

花は野に咲く愛らしい紫色の菫になりました。


                 順徳天皇 「野辺のむかし物語」
                           藤井乙男ー俳諧歳時記 春


若草あふれる散歩道の途中に小さな菫の群れを見つけました。
すみれの名のいわれについて知りたいなと思っているうちにこの
順徳天皇のお話に出会いました。順徳天皇は藤原の定家と父の後鳥羽院に師事し、
和歌やその他の学問に秀でた方でした。父と共に企てた倒幕に失敗して佐渡に流され
そこで二十二年間過ごした後に悲劇的な死を遂げたといわれています。
彼についてはもう少し学んでいきたいと思います。
                               s・y

   
        佐保姫の染めゆく野べはみどり子の袖もあらはに若菜つむらし

                             順徳天皇   千人万首



花づくし

2010-05-16 | 取り扱い作品のご紹介
札幌の街がほんのり桜色に染まっています。
紅染めの最も淡い色でやまざくらの花の色がそのまま色名になりました。
昔からいちばんに愛され続けている日本の伝統色です。
平安時代には男子でも桜色の狩衣を好んで着用した貴公子がいたとか。
桜を愛する人々がその心のうちを花の短い命に譬えてたくさんの歌を詠みました。

 
開花から、ここ一週間ほど花冷えの日が続きました。
少女の唇のようなつぼみが桜ながしに打たれてうな垂れていました。

桜雨はやさしくつぼみを滴で濡らしてかすかな香りを漂わせます。
花の雨は人の心をしっとりと落ち着かせ清らかにしてくれます。

さぁっと通り過ぎる花時雨に震えているうちに満開の花の時を迎えました。
桜色に染められた街の佇まい、ほんの一時の夢の街を歩いてみましょうか  
                                s・y

  さざなみや志賀の都はあれにしをむかしながらの山ざくらかな
                               平家 忠度の段

                今日の一枚  「春らんまん」  宮下柚葵  肉筆

サラダはお好き?

2010-05-08 | 画廊の様子
ふわふわのしゃりしゃりでとっても美味しいんです。
             
お店で出会ったふりふりのきれいな葉っぱは
プラスチックの深いケースにすっぽり入っていて一つずつ丁寧に並べられていました。
ラベルには「ブーケレタス」と名前が書かれ生産者は葉っぱやグループ、そこに添えられていた写真はなんとおめめの可愛い野ギャルちゃんのものでした。

ぴちぴちの若さいっぱいの女性が育てた野菜はどんなお味かしらと興味津々でレジへ。
「ブーケレタス」なんて名前もなんだかステキでワクワクします。
葉がくるくるフリフリに芯を中心に回って開いていてまるで花束のようです。
流水で静かに洗い水気を振るって布巾に包んでもとのケースに戻し冷蔵庫にスタンバイOK。
そして朝のテーブルにさっそく登場してもらいました。

            

ふわふわレタスの上にオレンジとプチトマトとバナナ、カッテージチーズそれにゆで卵をのせて
レモンドレッシングをすこし振りかけました。
なんて優しい歯ざわり、口さわりの葉っぱなのでしょうか。
毎朝、ケースのふたを開けて布巾の中をのぞくとはりはりの元気な顔を見せてくれます。
こうして毎回少しずつ千切っては大切に使っていくと最後の小さな葉っぱまでしゃりしゃりの美味しさです。

ふわふわのしゃりしゃり、もしゃもしゃのしゃきしゃきとリズムを刻んでいると
葉っぱの向うから青い上着をきたPETER RABBITがこっそりこちらを
のぞいているような気がします。

みなさま、春のもしゃもしゃサラダはいかがですか。
そしてぴちぴちフレッシュな野ギャルさんたち美味しいレタスをありがとうございます。       s・y

あるところに小さなうさぎたちがいました。なまえはフロプシー、モプシー、カトンテールにピーターといいました。
マクレガーさんのはたけのうらの大きなもみの木の下のすなの穴の中におかあさんとすんでいました。        ベアトリクス・ポター
                   つづきは・・・どうぞ 





幟、菖蒲、粽、柏餅

2010-05-03 | 画廊の様子
 のぼり、あやめ、ちまき、かしわもちと云えば男の子の節句には欠かせません。    
              
この空いっぱいにおなかをうねらせて泳いでいる鯉幟は札幌市の東、月寒にある農業を志す若者達の
八紘学園の農場に立てられています。
錦のうろこが美しく光っています。大風にも負けない見事な泳ぎっぷりには圧倒されてしまいます。 

鯉は白煙をあげてごうごうと落ちる滝をも泳ぎ登る魚と云われ男子の出世のシンボルですね。

菖蒲(あやめ)はお節句に邪気払いの葉っぱを湯に浮かべて清々しい香りを楽しみます。
このお花は楚々とした慎ましやかな姿です。
花の美しい菖蒲は花菖蒲といってべつの種類です。
平安時代の貴族達は五月になると菖蒲の名の付く様々な襲(かさね)の衣服を着替えてその色目を楽しんだそうな。
「若菖蒲」~表は淡紅、裏は青、「破菖蒲」~表は萌黄、裏は紅梅等など。

八紘学園付属の菖蒲園では六月になると大切に育てられた美しい花が咲いて一般公開されます。
それまでちょっとおあずけです。

粽(ちまき)は笹の葉っぱで包んだ餅菓子で若葉の季節にこの上なくぴったりのお菓子です。
小さい頃、母が笹の葉っぱと、もち米と、い草を整え、一晩かけて作ってくれました。朝、目が醒めると
お台所中に三角の粽がつるしてあって青い良い香りがいっぱいになっていました。
い草を解いて甘い黄な粉や胡麻が入っているお皿に転がしてくれました。
笹の葉っぱが開くのは北海道ではやっぱり六月まで待たなくてはなりません。

お節句には関東は柏餅で粽は関西だそうです。
どちらも地味なお菓子ですがよく見るとふっくらとしたかわいい姿でお店に並べられています。


      粽結う片手にはさむ額髪    芭蕉

             楽しいこどもの日を!       s・y