白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

筒雪、雪紐、冠雪

2014-03-21 | 画廊の様子
お彼岸の北海道場所で「冬嵐」と「春の富士」が勝負しました。
軍配は冬嵐に…一気におくりだして勝ち~。

昨夜は一晩中、どうどう、ごうごう、ぴゆーぴゅーと風が唸りながら
ぐるぐるとまわっていました。
屋根の雪が玉になっては、ざざ、ずず、と音をたてて滑り落ちました。
朝になっても静まらずに吹雪は真っ白なしぶきを一日中、北の街々に
吹き付けて行きました。

こんな詩が思い浮びました。

  今日は一日明るくにぎやかな雪降りです。
  ひるすぎてから
  わたくしのうちのまわりを
  巨きな重いあしおとが
  幾度ともなく行きすぎました
  わたくしはそのたびごとに
  もう一年も返事を書かないあなたがたずねて来たのだと
  じぶんでじぶんに教えたのです………
  
  ………いっぱい積んだ梢の雪が
  地面の雪に落ちるのでしたから
                  宮沢賢治

春分の日の夜遅くの今、風はまだまだぐるぐる、ぴゅーぴゅー。  
春の目覚まし前線、光の春をわたくしたちは待っています。

今日の一枚の絵 「雪」 上村松園  シルクスクリーン
  雪の一片、二片が降りかかる蛇の目傘と
  ほんのり頬を染めた美女の得も言われぬ美しい瞬間


     春の妖精  ヒヤシンス

     今朝の庭 雪の華

お相撲の琴欧州関が引退、TVで涙の会見を観て思わず
もらい泣きをしてしまいました。s.y






椿の想いつらつらに

2014-03-13 | 画廊の様子
二月の雪の上に三月の雪がすっぽりと降り積もって雪かきに汗を流して
います。
北国の春の歩みはあまりにもゆっくりです。
それでも心は自由に春の野辺へと飛んで行きます。
海辺の水仙や木陰の菫、草原を一面黄色に染めるタンポポたち、花の友達に
はやく逢いたい。
三月弥生は木草弥生い茂る月…きくさいやおいしげる月,心の中もそう、
ありたいものです。

暖かな地方では今、白梅、紅梅が見頃、ほんのひと時の花どきを逃すまいと
梅見物の人々で賑わっていることでしょう。
花には花どき、人にも花どきがあると美しくも哀しく胸を打つ言葉があります。
花どきとは瞬く間ということでしょう。この時を大切にしなさいと云う
天からの声でもありましょう。

椿は初冬から咲き始め晩春まで咲き続ける長い花時を持った花木です。
咲いては落ち咲いては落ちる花びらは「ゆつ真椿」と古事記には仁徳天皇妃
磐姫の恋の炎として描かれています。真紅の椿は今が花どき。

万葉集には椿の歌がたくさん収められています。
…河のへのつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野は…
椿の葉はつるつる、幹も滑らか、実も固くて光っているので
ルは元はラ、ツルツルはツラツラだったのか、つらつらは耳にも
くちびるにも心地よい響きがあります。

椿にまつわる伝説はたくさんあります。花の帽子をかぶり手に白玉椿の
小枝を持った八百比丘尼がその種を植えて回った話や卯杖の祝とされて
霊力を持つ神木として今に伝わる祭りに使われたりしています。

椿の持つつややかな葉の列なり、葉陰から見え隠れする神秘的な白珠のような
白玉椿の花首、あるいは情熱そのものの紅椿の魅力は多くの芸術家の魂を
虜にしました。家持、夢二、そしてココ シャネルなど。

今日の一枚の絵 「椿の髪飾り」 竹久夢二 リトグラフ
  夢二は恋人の髪に椿の花を挿し、そのくちびるを花びらで飾りました。

   かさねの色目      表 蘇芳   裏 赤




寒い!も一度、旧のおひな様をお祝いしましょうか・・・  s・y