白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

風光る

2018-05-04 | 画廊の様子
水分をたっぷり含んだ地面から柔らかな湯気が湧いています。
うららかな春の日、心にも光が射して来ました。あの厳しい
冬を今無事に乗り越えた安堵の気持ちで安らいでいます。
たった一日、散歩を空けると林や森や野原の桜色、萌黄色、
白の美しさがいっそう深くなっているのに驚いてしまいます。
桜色は紅染めのもっとも淡い色です。日本の春は南から北まで
幾日もかかって濃くも淡くも順にこのピンクに染められて行きます。
平安時代から人々にもっとも愛されてきた日本の色です。

「今日の一枚の絵」の主人公はまるで光る風を通り抜けて来たような
初々しい女性です。
ふと、あのプラハの春、自由を求め、民主化を求めたチェコスロバキアの
人々の一人、五輪の名花と今も私たちの心に残るベラ チャフラフスカの
面影が浮んできます。
どんなに長い年月、時の政府から迫害を受けようとも心を曲げなかった人、
不幸なことが幾つも重なったにも関わらず凛として生き抜いたひとです。

五輪の競技を通して交流のあった日本人への深い信頼と親しみはその生涯
変わることはありませんでした。

このことは以前、作家の長田渚左氏「桜色の魂」を読んで知りました。

日本を愛したベラは彼女の優美で流れるような演技に込めた桜色の魂と
一人の日本人から贈られた日本刀のサムライ魂をその生涯、美しい日本の
心として愛し、凛として生き続けたのです。
        ベラ チャフラフスカ  1942~2016年
                  
                    女子体操  金メダル         
                     
                     ’64 東京 
                     ’68 メキシコ
                        
今日の一枚の絵  「春浅し」   岩田專太郎 木版


        春 たまごのグラタンを……美味しい!  s・y


端午の節句