窓がらすのそばでさらさらと優しい音がして目が覚めました。
雨…と耳を澄ませているとまた眠ってしまいました。
水の月、六月です。
田んぼにはたっぷりと水が張られて田植えが終わり、山も野も
街も深く浅く緑が重なり合っていて雨が降る度にその輝きが増して
水の匂いが薫ります。
しっとりとした朝の空気、「雨は空のクリーニング」と
云われるのは六月の雨にぴったりの褒め言葉ですね。
今日の一枚の絵は松園さんの「緑雨」です。
季節が巡ってきて初夏の気配がするとわくわくしながら箱を紐解いて
白珠の壁にこれを飾るのが楽しみです。
「緑雨」には窓から射す自然の光で眺めるのがふさわしいと思います。。
二人の美女が柱を間に「雨止まないわね。」と話しながら静かに佇んで
います。
楓の若葉が雨の滴に揺れています。
一人は若葉色の着物をもう一人は澄んだ水色の着物をまとっていて
二人重ねると初夏の襲のようでモダンで素敵です。
静止した画面から雨の匂いが薫り立ち柔らかな雨音が聞こえてきます。
松園さんのこよなく愛し尊ぶ美しい日本の女性の慎ましやかな暮らしが
画の中に温められています。
今日の一枚 「緑雨」 上村松園 シルクスクリーン
あじさいの花芽が膨らみません。夏には咲いてくれるかしら。
自信がないs・y
思い切り愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花
俵 万智