白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

十五夜

2009-09-29 | 画廊の様子
月が紫紺の空に架かる時にほんのりとあたりが明るくなることを月白といいます。美しい日本の言葉です。

旧暦の十五夜はちょうど八月十五日で満月が一年中で最も美しいとされていました。竹取物語のかぐや姫が月の世界に帰っていく夜です。

現在は九月半ばころで今年は十月三日です。
昔、人々は月の出を楽しみに待っていて、立待月、寝待月、十六夜などと名前を付けていました。
十五夜には里芋をお供えし、月を守り神として豊作を祈りました。この里芋がいまはお団子になりました。
その一月ほど後の十三夜には栗や豆をお供えしました。
月の表面は鏡に例えられて崇められたり、月の光、月影、月天心などと秋の季語として親しまれたくさんの歌に詠まれています。

真ん丸のお月さまも可愛いのですが夕空に浮かぶ三日月さまや三十日月の儚げな姿を眺めて一夜をかぐや姫さまになってみるのもロマンチックですわね。(笑い)
S・Y

今日の一枚「おぼろ月」 宮下 柚葵 肉筆

相撲絵

2009-09-22 | 画廊の様子
秋場所の優勝争いも佳境に入ってきました。相撲は何と云っても日本の国技であり、TV放映のお陰もあって現在も大変人気のあるスポーツです。

江戸時代にはたった一つの観戦スポーツとして大人気でした。

各蕃の大名がお抱えの力士を大切にし、高級文化にふれさせることにより大変教養の高い力士たちが育てられたということです。

力強く美しい取り組みのスタイルは当然ながら浮世絵の中から相撲絵として発展し、歌麿や写楽により熱狂的なファンを持つ人気力士の似顔などが描かれました。
その上、土俵は豪華な化粧まわしで一層華やかさを増し、後世に名を残す名力士も多く世に出ました。

相撲文化は江戸文化の発展に大いに貢献したと言えましょう。

「一年を二十日で暮らすいい男」などと粹な川柳も詠まれました。

錦絵 二代目
   豊国(画)等 絵葉書

S.Y

はっけよい!のこった、のこった!

2009-09-20 | 画廊の様子
大きい!おおきい!重ねてみたら私の掌が半分くらいにみえました。

第48代横綱「大鵬」のおし手です。

父ロシア人と母日本人のハーフとして生まれた納谷幸喜(横綱の本名)少年は大変な美男子⇒イケメンで大人気であったそーな。

幼いときから多くの苦難と戦いながら関取として数々の未踏の大記録を打ち立てて、横綱に同時昇進した柏戸と共に1960年代の大相撲の黄金時代を築いた昭和の大横綱でした。

当時こども達の大好きなものと云えば≪巨人、大鵬、卵焼き≫と挙げられました。
現在も社会の多方面で活躍、貢献されています。

当画廊のこの捺し手にあなたの掌を重ねて大きさを比べてみませんか。      
 s.y

夜会巻き

2009-09-17 | 取り扱い作品のご紹介
結い上げた夜会巻きの大人っぽさに少しはにかんで頬が上気しています。
今最後の仕上げに玉かんざしを手にとっているところでしょうか。
羽織の紐と後ろ髪に添えた髪飾りのトルコブルーがアクセントになって
しっとりとした華やぎと初々しい色気が画面に匂いたつようです。
恋しい人を待つお年頃の女性の美しさがあふれています。

「夜会巻き」  伊東 深水  1898~1972


☆S.Y☆
          

琴の音

2009-09-17 | 画廊の様子
豊平公園の木立の中を歩くのが大好きです。空気が光りと緑で染まっています。

公園の片隅に水琴窟があります。
地中から差し出された竹筒に耳を寄せてしばし待っていると遥か地の底から微かなきーん、こーんと言う音が響いてきます。

小鳥の歌や木々のざわめきとはまったく違う世界からの不思議な調べです。

耳元に届けられるゆっくりとした間のある響きはせっかちな現代人にはもどかしく感じられるかも知れません。

水琴窟⇒地中に伏せ瓶を埋めて空洞をつくり、つくばいや手水鉢など地上の流水が染み込んで水滴となり、粘土で固められた瓶の底に落ちた時、その音がこの空洞に響いて美しい音色を奏でるように仕掛けられたもの。
小堀遠州が最初に手掛けたとも言われている。

なんと風流な仕掛けなのでしょうか。和の心がここには生きています。

≪ S.Y≫

Aster

2009-09-06 | 画廊の様子
金曜日、八紘学園にいつもの美味しいヨーグルトや近郊から寄せられるピーマンなどの野菜を目当てに出かけて行きました。

この日は学園の学生さん達が育てた農産物の販売もあるので大賑わいでした。新鮮で安価なので大人気なのです。

ここには牧草地やポプラなど昔の札幌が小さいけれど大切に残されていて美味しい空気もいっぱいです。

帰りがけに入口付近でたくさんの花束を容れたバケツが列べられ始めたのに気がつきました。

色とりどりの可愛い花達です。
売り子の学生さんの一人が「学園の一年生が一生懸命育てた花ですよ」と説明してくれました。札にはアスターと書かれていました。可愛いかわいいお花です。この間おはか参りに行った時にお婆さんから買った花束にも添えられていました。私は(えぞぎく)と呼んでいます。父から教えてもらった名前です。

早速二つ買いました。家に帰ってからお水をたっぷりやりました。

☆S.Y☆

平和の願い

2009-09-03 | 画廊の様子
1945年、イギリス人記者バーチェットは原爆の地、広島を視察し
《NO MORE HIROSHIMA》と世界に発信しました。


NHKラジオ
[今日は何の日]より

♪S.Y♪

夏の終わり

2009-09-02 | 画廊の様子
いつもは早々と藻岩山の向こうから爽やかな朝日がやってくるのに暦が替わったせいか光りはなかなか訪れません。

吹き抜けの南側にある大きな窓からも八時をまわっていてもまだまだ光はやってきません。
庭の白樺の葉を揺らす風もそのリズムが忙しくなったように感じられます。


先日の白珠だよりに続いて今日の一枚の絵のテーマも[蛍]です。

この画面には蛍の姿は見当たりません。

この絵のヒロインの投げかけた眼差しの先に、つまりフレームの外に蛍は飛んで消えて行ってしまったのでしょうか。

夏の終わりと共に去って行った恋人の面影を追いかけ偲んでいるようにも思われます。

☆S.Y☆

宮下 柚葵  肉筆

  [蛍]