白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

お正月を育てる

2014-12-30 | 画廊の様子
庭のオンコの木が綿雪の頭巾を被っていました。清々しい庭の景色、
晦日の朝が明けました。

暮れも押し迫った27,8日頃にはそこここの家の前に鮮やかな緑の枝が
飾られ始めます。
松の常磐緑は霊的、神秘的な力を持つとされ、古くから人々は新年の幸せを
願い、邪気を祓うと云う思いを一対の門松に托して正月飾りとしました。
それは今も私たちの暮らしの中に受け継がれています。

作家青木玉さんのエッセイのなかに「お正月を育てる」という記事が
あります。

同じ寸法に揃えられた大量の松は何処で育てられ私たちの目の前に出て
くるのか不思議に思い、門松の作られている景色を訪ねてみたいと
知った人に聞いて松の畑のあるという茨城県の波崎を目指し車を走らせました。
海の近くの砂地に作られた畑の中で松は潮風を受けて健やかに育っていました。
松ぼっくりからはじけた種の一年で定植、あと二年育てて収穫するという。
毎年毎に三年育った松の12月の出荷時は松を一本ずつ剪定しきれいにし、
根元を水に浸して陽や風から守り保管するという。
一面の松の畑の片隅で南天、千両、万両も育てられている。
緑の葉、赤や黄色の実…この土地の人々の手と関東平野を流れてきた
利根川、太平洋の風と波がお正月をつつがなく育てていました。
                    ~~~お正月を育てる

子供のころには大晦日と元旦はたった一日ちがいなのに全く違う世界に足を
踏み入れた気持ちになったものでした。
青木玉さんの「お正月を育てる」を読むたびに「育てる」とは、なんと
夢と希望と愛に満ちた力強い言葉だろうと胸が熱くなります。
聖書には信仰と希望と愛がこの世でもっとも大切であると語られています。

今年一年間、このつたない白珠の扉を開けてお付き合いくださいましたことを
心からお礼申し上げます。
どうぞ佳い新年をお迎えくださいませ。

                    s・y




Advent~光の日がやってくる

2014-12-05 | 画廊の様子
我が心の友、祐子さんから届いた秋の贈りものはこの美しい絵葉書です。
もう、二ケ月も見とれています。

マリヤさまの袂の袖口から可愛い親指がのぞいています。
その目元からは一粒の涙が頬にこぼれそうです。
「親指のマリヤ」と名付けられています。
十字架の上の我が子キリストを思い、悲しみにくれる聖母マリヤは
光に包まれて限りなく美しく清らかです。

聖母のシンボルはMadonna Lily~白百合またはRosa 
Mistica~神秘の薔薇とされて純潔の証です。
天使の受胎告知により乙女マリヤからイエス キリストは生まれました。

Advent~待降節はクリスマスを迎える心の準備をする四週間に
あたります。Advent wreathの真ん中に白、周りに紫三本、
ピンク一本の蝋燭をたてます。
待降節の最初の主日には紫の予言のろうそく、二番目の主日には
紫のベツレヘムのろうそく、第三主日にはピンクの羊飼いのろうそく、
第四の主日には天使のろうそく、そしてイブの日には真ん中、五本目の
キリストのろうそくにそれぞれ灯を点します。
こうして、キリストは乙女マリヤに宿り人の姿となり後に人々の
罪を贖うために十字架にかけられたと聖書に語られています。

今日の一枚の絵
  銅板に油彩で描かれた小さな聖母像は17世紀、イタリア人の
  宣教師シドッチがこれを大切に携えてはるばる海を越え日本に
  やって来ました。それから様々なことが起こりシドッチは獄死、
  聖母像は新井白石の手で長崎奉行所に納められ、現在は
  東京国立博物館蔵の重要文化財になっています。
  この悲しみの聖母像は何年か毎に公開され、観る人の足を暫し留めて
  その胸を打ちます。
我が友、祐子さんの葉書の最後には一言、この絵の前では清浄な気持ちに
なると添えてありました。


夜空にお月さまが凍り付いています。寒さにはまだ慣れなくて冬ごもりの
日々を過ごしています。さあ、元気を出してクリスマスの支度を始めましょう。
元気の素はあま~いお菓子。桃のケーキを焼きました。  
      祐子さんもどうぞ!はい!     s・y