白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

風花舞

2013-12-25 | 画廊の様子
雪は天から舞い降りる花びらのようだと詩人たちは歌います。
ふんわり、そしてひらひらと風に身を任せて降りてくるのは
冬の初めの優しい小雪です。
真っ白に山も畑も街をも温かく包んでくれます。
今朝の雪はクリスマスを迎えるための清らかなベールのよう。
ガラス窓いっぱいに六華の結晶が華やかに咲いていました。
「雪博士」の中谷宇吉郎先生はこの美しい結晶や模様は空からの
手紙に書かれた暗号であると記しました。

今日の一枚の絵 「雪降る夜の伝説」 竹久夢二 リトグラフ
 
降る雪に佇む袖頭巾の美女はそこに書かれているはずの
恋人、夢二からの暗号をひたすら待っているのでしょうか。


    東京の空の下で暮らす友の祐子さんが心をこめて
育てた柚子の実です。黄金の果実は夏の暑さにも雨にも負けずに
今年もたくましく、たわわに実って私にもたっぷりおすそ分けが
届きました。柚子の香りは気高く湯船に広がります。
お正月にはお椀に添えて清々しく新年をお祝いします。
良いことがたくさんありますようにと祈りながら。

そう、御高祖頭巾を被った祐子さんは雪の中に佇んだ夢二の
マドンナのようだわ。  綺麗

今は色のない12月、でも家の中は林檎の赤,柚子の金色、
シクラメンのピンク、ゼラニウムの葉の緑、そうして窓の外は
白一色の世界、美しい色があふれています。お正月が来て
それからは一日一日春が近づいてきます。                     
今年も拙い独り言におつきあい下さいましてありがとう
ございました。
みなさまのお幸せとご健康をお祈りします。
良いお年をお迎えください。
              s・y

ひだまりのうた

2013-12-09 | 画廊の様子
十二月、寒さが増してきた冬の入り口にほっこりとする一日がありました。
朝、いつもの公園に出かけてみると、この二三日にさらりと降った雪が
陽に温められすっかり消えてしまい、ふっくらした落ち葉のじゅうたんが
足元をくすぐります。
久しぶりのお日様を見上げるとポロロ、ポロロと天からの滴が光の
プリズムのようにきらきらしながら落ちてきました。
木々の枝を包んでいた雪が溶けだして雨粒のように降ってきて地面からは
湯気が立っています。
もう一度見上げると、葉を落とした裸の木々の枝が薄い青の空に大きく
枝を広げてまるで影絵のようです。
あら、高い高い梢に大きいの、中くらいの、小さいのと毛糸玉のような
可愛いいものがくるくるしています。
ヤドリギ(宿り木)です。和名はホヤとかホヨと呼ばれています。
クリスマスが来るんだわと思いました。

ヤドリギは常緑で半寄生の樹木、春先に淡い黄色の花が咲き五月頃に
小さな真珠のような実をつけます。
ポプラ、ミズナラ、ハルニレ、ハンノキ、桜などに寄生します。
西洋、東洋どちらでも生命、不死、再生、創造、光、誕生の象徴として
尊ばれています。
ヨーロッパでは古くからYuleユールという冬至祭りがあって
一年の終わりと新しい年の誕生をヤドリギを飾ってお祝いします。
こうした訳でキリストの誕生の日をクリスマスと呼び、12月25日にさだめて
冬至祭りと一緒にお祝いすることになりました。

キリスト教のいくつかの教会ではクリスマスの御ミサはまぐさ桶を囲み
「光を生む者」マリヤのためにキャンドルを灯し祈ります。
~処女は生み給いぬ、光は輝きを増す~と。

本当に光りが欲しい日々です。

夕方が早くやって来て寒くて嫌だな~と思うのはいけないわと元気の湧く
お菓子を焼きました。人参、くるみやアーモンド、ブルベリーを
いっぱいれて。         s・y


あしひきの山の木末の寄生(ほよ)取りて挿頭しつらくは千年寿くとそ
                       大伴家持