白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

花弁に昔ながらの恋燃えて 

2020-03-31 | 画廊の様子
今日の一枚の絵     「椿の髪飾り」  竹久夢二 リトグラフ
  
  川上は平氏の裔の住みぬらん  漱石
  落ちて椿の遠く流るる     虚子
  花びらに昔ながらの恋燃えて  漱石
  世を捨てたるに何の陽炎    子規
   ~漱石と子規が試みた四句かぎりの連句で俳体詩と名づけたもののひとつ

椿は濃い艶やかなその葉をもって寒さ厳しい十二月の初めから暖かな春の陽があふれる
四月まで莟と花びらを守り続けます。
美しい緑は変わることなく永遠を思わせます。
椿の名の由来は「厚葉の木」または「艶葉の木」で生命力に満ち、咲き始めの白玉椿から
紅に染まる藪椿の花は三月に、そしておそ咲きの紅白の侘助椿はゆっくりと季節の流れに
任せながら、純白の気品に満ちた日本の古典に登場する女性の姿、初々しい少女の一輪の花姿、
春に佇む花どきの女性たちの面影を見せながら、様々にゆるやかにつぼみと花を咲かせて
その侘び寂びの趣きを楽しませてくれます。
北海道では咲かない花、憧れの舞い花です。
「東洋の薔薇」と讃えられる椿は四月これから暖かな本州の野山を花燃ゆと覆いつくします。
限りないその生命力を持って南もそして北をも余さずこの日本中全体を守り抜いてくれるはず
です。
    
  友人の祐子さんが送って下さいました。
    椿落つ 現の夢の 名残りかな   祐子
          

    修道院の通りのお窓に可愛いバードテーブルが。お客様はヤマガラさん 
                              s・y