白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

桜狩

2017-04-16 | 画廊の様子
  見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける  素性法師
  
   今日の一枚の絵  「桜狩」 明治美人画 文芸倶楽部 口絵 複製版画

               鈴木華邨 1860~1919年
                 美人画、花鳥山水画に優れた作品が多く
                 挿絵界でも活躍した。

春の香り豊かな雨、その雨がもたらす生命の恵みが大地に満ちています。
寒さに縮まった心や体を思いっきり広げてみたら春を迎えた歓びが胸に
こみ上げてきます。

日本の春と言えば桜につきます。桜色は紅染のもっとも淡い色で、平安の貴族たちは
襲の色目で春の雅な装いを楽しみ競い合いました。

素性法師が詠った満開の桜とたおやかに揺れる柳は平安の都の春爛漫の情景が
目の前の大きなスクリーンに映し出されるようです。
この時代に花は梅に代わって桜、漢詩から和歌、漢字は仮名、唐絵が大和絵と日本文化、日本人の
美意識がはっきりと形を整えて根を張っていったのでしょう。

梅は一輪、二輪の静かな佇まいが心をうちます。
桜は人の心を烈しく揺さぶるお騒がせな花です。
満開の花びらが一瞬の風に花吹雪となって降り注ぐ美しさ。
桜の精が舞い降りたとしか思えない美しさ。
人の一生は梅一輪?それとも満開の桜の木?      

今年はどんな桜に出会えるのでしょうか。     s・y

春の使者 スノウドロップとお祝いのりんごのデープパイ



今日はイースター、復活祭です。
  「復活祭」  春の指がすみれの鼓動をさぐっている
                  深尾須磨子