白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

春近し

2015-03-22 | 画廊の様子
花の季節にはまだ遠い北国、時には雪の花びらが舞い降りる三月です。
お昼間、お日様に温められて雪の下に固く凍り付いていた地面がひび割れ、
雪どけ水が湧き出して辺り一面に白い水蒸気が立ち込め春の気配が心地よく
伝わってきます。
農業研修所の畑の淡い空いっぱいに小鳥たちのさえずりがこだましています。
間もなく木の芽、草の芽がふくらんで軽やかな春の足音がそこいら中に
響き渡ることでしょう。
お彼岸に入って、ほっ、お昼が夜よりだんだんに長くなっていくと思うと、
わくわく落ち着かなくなってきます。

徳富蘆花は「田川の水の音を聞け。溶々として滑らかに、その裡に無限の
春あり」と「春」を表現しました。

お彼岸にはぼた餅がつきもの、牡丹餅と書くそうな。
赤いあんこを丸めたその姿が牡丹の花に似ているからかしら?
私は赤いおこわを炊きました。

今日の一枚の絵  「春近し」 竹久夢二   リトグラフ

緑のセンターのロビーにふっくらしたつぼみをつけた水仙の小さな鉢植えが
並べられていました。
一足早く本物の春に出逢った嬉しさで三鉢ほど買ってきました。
うちの庭の花たちはまだ深く凍った雪の下、今はお日様の輝く春のステージへの
出番を待っているのでしょう。                s・y

水仙は ツバメより 早くきて 三月の風を 美しく 染める 
                        W・シェイクスピア
 

 



                       

Auld Lang Syne

2015-03-12 | 画廊の様子
Should auld acquaintance be forgot
and never brought to mind?
Should auld acquaintance be forgot
and days of auld lang syne?

For auld lang syne ,my dear
For auld lang syne
Well take a cup of kindness yet,
For auld lang syne
       Robert Burns

春三月、この歌のメロデイがどこからともなく聞こえてきます。
甘く、苦く、切なく心の底に眠っている思い出が揺り起されます。
日本人なら小学生から大人まで誰もが口ずさむことのできる「蛍の光」は
別れのセレモニーで歌われます。元はスコットランド民謡で欧米では
新年を迎えるお祝いに歌われます。
Auld Lang Syne~昔の友~はバグパイプとタータンチェックの郷
スコットランド生まれの放浪の詩人ロバート バーンズ(1759-1796)が
懐かしい故郷、家族、旧友、そしてこよなく愛したスコッチウイスキーのために
捧げた詩です。
バーンズは今も人々に愛されて「スコットランドの息子」と呼ばれています。

先週、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」のドラマ中で一人の若者を
戦地に送り出すシーンがありました。
家族ら、友人たち、愛する人が決して還って来ることのない彼のためにこの
一つのメロデイが持っている二つの歌を歌いました。
蛍の光とAuld Lang Syne……

  いかでか故里  忘るべき いざとれ杯 去りし日のため

日本産のウイスキーを初めて作った男とそれを支えた妻の物語「マッサン」は
毎朝、テーマソング「麦の唄」のバグパイプの音色に誘われて元気な声が歌いだします。

 
  なつかしい人々 なつかしい風景 そのすべてと離れてもあなたと歩きたい
……………麦に翼はなくとも歌に翼があるのなら 伝えておくれ故郷へ
ここで生きてゆくと 麦は泣き麦は咲き明日へと育ってゆく…………
                          中島みゆき

この歌は未来へ歩き出して行く若者たち、そして今日を生きる私たちへの
応援歌です。……茨の道へも果敢に踏み出せと。

ウイスキーは大麦を発芽させて、仕込み、発酵、蒸留、熟成と長い年月を
かけてゆっくりと大切に育てられるお酒です。                           

大麦は世界で最も古くから栽培されている作物です。
旧約聖書の申命記には神がイスラエルの人々に約束した乳と蜜の流れる地の
七つの産物の一つに大麦が記されています。
神様から賜った命の糧は初夏には金色に光る麦畑になって青い空の下、豊かな実りを
もたらしてくれるでしょう。
今日の一枚のフオトグラフ   King of Brenders


 Hold out! Fight! Go,Go!   s・y