白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

ほたる

2009-08-29 | 画廊の様子
皆さまは蛍をみたことがおありでしょうか。

文学や絵画その他の分野でも長い歴史の中で儚さや、反対に燃える想いを託されて登場する小さいけれども確かな存在の夏の虫です。

体は漆黒、胸が赤色でお腹にはこっそりカンテラを隠していて夕闇の頃には明かりをぽうっと点す愛らしい生き物です。

様々な絵画に描かれた[美女と蛍]はきまって胸を撃つような華麗な世界を画面に創造しています。

☆S.Y☆

今日の一枚は[ 蛍 ]
  伊東 深水 
1898-1972年

月鈴子。

2009-08-28 | 取り扱い作品のご紹介
「月鈴子」(げつれいし)とは鈴虫の異称で、他に「金鐘子」「月鈴児」などとも呼ばれていたそうです。

月の光の中、りーんりーんと鳴く虫の音にふさわしい美しい呼び名ですね。

清少納言が『枕草子』41段で虫について記している件がありますが、それによると「虫は鈴虫。蜩。蝶。松虫。きりぎりす。はたおり。われから。ひをむし。蛍。」と真っ先に鈴虫を挙げており、いかに鈴虫の美しい音が愛されていたかうかがい知ることができます。

今日ご紹介するのは宮下壽紀『虫かご』です。
じっと虫の音に耳を傾ける女性。優雅なひとときですよね。
今晩、雨があがったら、わたしも同じような虫の音を聴けるでしょうか。


R.Y☆彡

てんてん

2009-08-27 | 取り扱い作品のご紹介
昔からてぬぐいが大好きで、いろいろと集めています。
古典柄だけでなく、猫の柄やお野菜、お菓子などなど…。
(最近のヒットは“伊達巻き”柄です)

今までは二つに折って縫ってランチョンマットにしたり、そのままテーブルランナーとして
使ったり浴衣を着た時に膝にハンカチ代わりに敷いたり…といった楽しみ方だけでした。
最近は手芸店で頂いた、「手ぬぐい1枚で出来るぷちバッグ」の作り方に
はまっており、10枚ほど縫ってみました。
思った以上に持ちやすく、お気に入りの和小物がまたひとつ増えました。

手ぬぐいは和のものですが、このぷちバッグ、意外とデニムにも合います。
お弁当を入れたり、ちょっとした手芸のキットを入れたり…。
これから秋にかけて活躍しそうです。

わたしの特にお気に入りの手ぬぐいは、「手ぬぐい考房てんてん」という
お店です。
おすすめは、猫の柄。皆さんものぞいてみて下さいね。
http://www.craft-park.jp/
「てんてん」とは舞妓さんの使う言葉で手ぬぐいを指すそうですが、
なんとも言えずかわいい言葉だと思いませんか?


さて、美人画の中にも手ぬぐいは登場します。
今日ご紹介するのは岩田専太郎の『湯上がり』。
生成の地に鮮やかなブルーが染められたてぬぐいを手にした女性が描かれています。

こんなに粋にはなれないでしょうが、ちょっぴり真似をしてお気に入りの手ぬぐいを持って、今夜あたり銭湯に出かけてみましょうか…。


R.Y☆彡

キュートな和小物。

2009-08-26 | つれづれ
お気に入りのお店で購入したかわいいお重。

風呂敷で包んでももちろん良いのですが、
使わない時のケースも兼ねた、自分らしいものを
手作りしました。

色彩はさんざん迷って母に相談。
「イメージは手鞠のような感じで、水色は絶対入れ
たい」とリクエストし、水色とオレンジにポイントとして赤。

イメージ通り、手鞠のようなキュートな仕上がりです♪

さて、この週末はこのお重に何を入れておでかけしましょうか。
散らし寿司?おはぎ?
考えるだけでウキウキします。

そしてそして…お気に入りのものをひとつ編むと、すぐ色違いを
編みたくなってしまいます。(欲張り!!)
今度はどんなイメージの和の色彩にしようかしら???

画廊で絵を眺めながら、色彩のアイディアが次から次へと
浮かびます。

さて、お次はどんな和小物をご紹介できるでしょうか…?


R.Y☆彡

露草によせて

2009-08-15 | 画廊の様子
露草ほど優しくて、強くて、可憐な花をほかには知りません。

どんな痩せた日蔭の荒れた庭にでも夏の気配と共に早朝から小さな青い花を咲かせてくれます。

花暦をひもといてみるとたくさんの異名を持っていることに驚かされます。

少し上げてみても、月草<月の光りの下で咲く花>、
ほたる草<蛍がとぶころに咲き始める花>、

帽子花<花の形が烏帽子に似ている花>、そしてあお花<美しい藍色の小さな花>等々です。

昔、花を摘んであお色を絞りだし何かを染めるために使ったとか。

露草の露は秋の季語ですから夏に咲くけれど秋草のグループに入れられています。
いづれにせよ小さくて儚げなあお花は人の身近な所に寄り添って咲いてくれる愛しいお花です。

☆S.Y☆

かもさん おとおり

2009-08-13 | 画廊の様子
先日、久しぶりにおひさまが顔をのぞかせた夏らしい午前中にワンコ達のお散歩がてら近くの札幌豊平公園にでかけました。

さすがに八月の雨上がりの陽射しは厳しくて日蔭をさがしながら木々の間を抜けて池のほとりにでたところ、いました、いました。
カルガモのお母さんと子どもたち五羽がやはり日影を伝いながら歩いたり泳いだりお散歩中でした。

子どもたちは母親から離れないように用心しながらも思い思いに水中の藻などを摘んでいます。
一羽だけが列を離れて道草をしていました。茶色の斑模様で仕草が子どもらしくて可愛いのです。遥か昔に幼い娘に買い与えた絵本を思い出しました。
かもさん夫婦と八羽の子がもちゃんたちのお話です。当の娘は何にも覚えていないそうで母としてはがっかりでした。


[絵本の紹介]

『かもさんおとおり』
作:ロバート マックロスキー
訳:渡辺 茂男

福音館書店 1365円


☆S.Y☆

心に燈す

2009-08-13 | 画廊の様子
遠くに近くに太鼓の音が風にのって響いて来ます♪夕暮れが待ち遠しい子供たちは早々明るいうちに櫓が組まれた広場に集まってわくわくしています。
今も昔もそう変わらないお盆の風景です。
四方八方に張られた沢山の提灯に明かりが燈されスピカーが大音響の唄を流し始めると踊りの輪が動き出します。
あの子が?とか、あの人が?などと普段とは別人のような踊りの名手がいたりするものです。
このお盆の三日間のお祭りはぱっと夜空に咲いてあっという間に消えてしまう花火のようですが、一方私たちの側から去って行った愛する人達がほんの少しの間帰ってきて、心に小さな灯を燈してくれる大切な時でもあるのです。

☆S.Y☆

笹の葉さらさら

2009-08-06 | 取り扱い作品のご紹介
明日は旧暦の七夕まつりです☆

古代中国の星の伝説が伝わってきて日本の美しい行事、五節句のお祝いの一つになったと言われます☆

この日は里芋の葉に降りる露で女性が顔や手を洗うと美人になるとか、こどもたちがその露で墨をすり手習いをすると字が上手になるなど良事がたくさんあると伝えられています☆

五色の短冊にあなたはどんな願いをたくすのでしょうか☆

明日は貴方が美しい星月夜にめぐまれることを祈ります。


戸口まで送って出れば星月夜  子規


作品の御紹介 竹久 夢二『七夕』


§S.Y§

古代紫

2009-08-05 | 画廊の様子
小鳥達のさえずりに目覚めて窓を開けました。
朝もやの漂う中、我が家の荒れ果てた庭の隅にそうっとうなだれていたのがこの夏の美人でした。
蛍袋と言う名の淋しげな花です。
歌舞伎の舞台に立つ仁左衛門の額に巻かれた古代紫鉢巻のあの色です。

釣り鐘形のうつむいた花の姿には心を打たれます。
夏の終わりまで咲き続けてくれるでしょうか。

名の由来は花に蛍を入れて遊んだ…花が提灯に似ているから(火垂る袋)と百科辞典にありました。

§S.Y§