白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

雲がおしえてくれること

2012-08-25 | 画廊の様子
八月、とびっきりの暑い日々です。
花火、行水、浴衣、夕涼みにかき氷、青い海と白い雲…
夏休みのわくわくした想い出は真夏の夜の夢だったのかしら。
大人になった今も、あのふんわり空に浮かんでいる雲、
モクモクと空に積み重ねられた雲を眺めていると心がスッキリと清々しく
なってきます。
あの雲たちはどこからきたのかしら、おいしいのかな、冷たいのかな
と想像を膨らませて子供の頃と今も同じ思いがします。
雲って不思議!雲って何?

お天気の本を少し紐解いて見ました。
大気が上昇すると水蒸気が飽和して水滴になり雲ができます。
雲はおおかた冷やされた水滴が氷や雪の粒になって出来ています。
雲の形や高さ、その動きや向きを観察するとお天気の秘密を解くことが
できます。

例えば可愛らしい羊の群れのような雲が広がっているとします。
このひつじ雲の羊達が立ち上がっているような形に見えると
五時間後には雷雨が来ると予測されます。

激しい上昇気流の下で発生した入道雲の中では騒ぎが起こっていて
雲の底と大地を電気が恐ろしい速さで往復してバリバリドーン、ドスンと
雷となって地上に落ちて来ます。
突風や大粒の雨も襲ってきます。

蜂の巣状の雲は主に夏に現れて晴天が続くことが予測できます。

雲はたくさんの情報を私たちの日々の暮らしに提供してくれています。
雲を知れば知るほど災害や事故の前兆をキャッチして、たとえ素人でも
ある時には私たちを自分自身で守ることが出来るのかもしれませんね。
日本の気象情報は世界一きめ細やかと言われています。
毎日発表される天気図を楽しみにしている人々も多いことでしょう。

十種雲形を基本にして数え切れないくらいの雲の成り立ち、色、形に
美しいそして楽しい名前が付けられています。
四季を追って雲を眺めその名前を覚え、どんなメッセージを送ってくれて
いるのか知ることは私たちの暮らしにとってとても大切なことなのでは
ないでしょうか。

今日の一枚の繪   「初雷」 尾形月耕  明治44年 木版
             明治美人画より  香と蚊帳~夏の風情

ちょっとテーマから外れて
       ユーミンのVelvet Easterのフレーズの中に
          ♪小雨の朝、光るしずく窓にいっぱい
           空がとっても低い 天使が降りてきそうなほど
           いちばん好きな季節 いつもと違う日曜日なの♪

春のミルク色の雲に煙ったお洒落な空模様がロマンチックに蘇ります。 
  
  今は夏、真っ盛り!窓をいっぱいに開けて見上げると
  素敵な空が広がっています! s・y 
    

生まれは津軽のおひめさま

2012-08-06 | 画廊の様子
あつ~い暑い夏の日にも元気にお池の中を泳いでいる金ととちゃんは
紅いおべべとお昼寝が大好きなやんちゃ姫。
津軽のお城で生まれたの。
大事にだいじにお育ちでプリンセスネームは津軽錦ですって。

八月、日本中はお祭りで大賑わいです。
中でも巨大で勇壮な火祭の青森ねぶたは歴史と伝説と物語が
力強く描かれた姿で世界に誇れる祭りと言われ、重要無形民俗
文化財に指定されています。

この華やかで巨大な灯篭はさておいて、紅い金ととちゃんは
このお祭りには欠くことのできないねぶた祭りのヒロインです。

その昔、津軽のお殿様のお池に紅いおべべのお魚が
遠い上方からもらわれてきました。
見慣れないその姿に人々は不思議がり嫌な噂をたてました。
お殿様はこの噂を解くために竹で丸を作り、紙を貼り、紅く染めて
目に墨を入れ「これは幸せを呼ぶ魚」と子供たちに配ったそう。
それからはこのお魚は金運魚、金を運ぶ魚、幸せを運ぶ魚~
金魚と呼ばれて人々に愛されるようになったんですって。
めでたし、めでたし。

明治になってからは大きなねぶたが街々に巡って来るのを待つあいだに
この金魚灯篭を門口に提げて灯を点し、足元に盥を置いて水に映る
その姿を眺めながら短い夏を楽しんだということです。 

金ととちゃんはその時から数えて何代目でしょうか。
まんまるなお腹にあぶくをいっぱいつけて目と目がちょっぴり離れた
お茶目なおひめさまは末永く幸せを人々に運んで来てくれることでしょう。
そして人々にこれからもずっとずっと愛され続けることでしょう。

津軽のねぶた祭りは七日まで。

はつ夏に金魚の赤を点じれば翡翠の色に水は輝く   俵 万智

母は金魚を可愛がり「きんちゃん」「ととちゃん」と呼んで
長生きさせました。       s・y