白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

冴え返る

2015-02-11 | 画廊の様子
立春を迎えてふんわり背中が温かくなったなと嬉しくなっていましたら、やって来ましたこの寒さ。
~「春立つ日」~春の始まりを告げるのは暦の上だけ、まだまだふうっと息がつまるような
春寒の日が続くのでしょう。

雪降る春の宵、花魁三千歳と捕縛の手に追い詰められる直次郎の束の間の逢瀬、
河竹黙阿弥の歌舞伎、「天衣紛上野初花」くもにまごううえののはつはなの四幕目、別れの
場面です。
~冴え返る春の寒さに降る雨も暮れてはいつしか雪となり~「忍逢春雪解」清元の
しのびあうはるのゆきどけの音色が哀しく切なく響きます。
「もう、この世じゃあ逢わねえぞ」と直次郎は降りしきる雪の中に消えていきました。

   今日の一枚の絵 「三千歳」 伊東深水   木版
       恋人直次郎を待つ花魁三千歳は切ない想いをその化粧に託します。



今日は初午の日、今年の豊作を願ってお稲荷様にお参りする日です。
守り神はお狐さま。油揚げと辛子が大好きなんですって。
それで、おいなりさんをこしらえました。
もちろん、コン吉くんのお耳の三角です。うん、よくできました。 s・y