白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

富士山は宝のおやま

2013-10-19 | 画廊の様子
秋は夕暮れ~その美しさは語り尽くせない輝きと力があります。

夕方のお茶の仕度にテラスへ行ってみると山々の向こう空いっぱいに
錦の雲の帯が幾重にも横たわり夕映えの赤い光を放っていました。
美しい札幌の秋、力強い北国の秋です。

世界に向い胸を張って誇る「おやまとそら」といえば富士山です。
限りなく優美そして清明、勇壮な姿はその前に立つ人々が思わず
手を合わせて拝み、心のよりどころとする故郷そのものでもあります。
富士は燃え立つ夕陽に身を焦がし、真っ赤な朝陽に染まります。
光る雲、眞白な雪、波立つ海、どんな背景にも、遠くにも近くにも、
神々しく佇む富士の姿はまさに不二、不尽です。

  天地の分れし時ゆ  神さびて 高く貴き駿河なる
        富士の高嶺を 天の原~と
万葉の歌人、山部赤人はこの長歌を詠い、反歌は
  田子の浦ゆうち出て見ればま白にぞ富士の高嶺に雪は降りける
と詠みました。
この歌は私たち日本人の心の中に在るべきもの、大切な心の有り様を
語りかけているのではないかと思います。

多くの人々が今も昔も富士の姿に魅せられ、愛し、崇め、畏れて、
そこからの数多の賜物を芸術、文化、歴史を記録するものに顕して
生涯を捧げてきました。
富士は「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」の名称で今年
世界遺産に登録されました。
まだまだおやまの中には底知れない宝物が眠っていることでしょう。

今日の一冊は 「富士山うたごよみ」

皮ジャンにバイクの君を騎士として迎えるために夕焼けろ空                  
                     俵 万智    文
                     U・G・サトー 絵
暦の二十四節気にそれぞれ、富士山をデフォルメした絵と
歌をコラボした楽しい絵本です。
富士山の中に何がみえる?
あなたの周りに小さな富士山見つけてみてね。 

うちのおてんば猫、ほらね!富士山 見つけた!s・y