なんだかんだ言っても日本人の私は、日本人の話す英語は聞き取りやすい。
日本人の英語は当然のことながら日本語の音に引っ張られた音になっているからである。
ところが、スチュワーデスの機内アナウンスだけは例外である。毎回そうである。聞き取れない。
担当者によるのではなく、ほとんどの場合で聞き取れない。
今回のロンドン行きはJAL、ニューヨークからの帰りはANAだったのだが、JALの方がひどかった。
どこに原因があるのだろうか。
アメリカ英語風にしゃべるのが聞きにくいわけではない。
アメリカ英語は私は聞き取れるから。
一つの仮説は、「母音の発音が一貫していないことによる」というものである。
「Ladies and gentlemen」で始まるアナウンスで、ジェーントルと「エ」を伸ばすのがまず気になったが、おそらく一つの音素(?)をしっかり認識していないことから、別々の単語でそれぞれ違った発音を当てはめ、結果として聞く側が混乱するということではないだろうか。
例えばBBC News Breakfast の Moira Stuartは、口を閉じめの独特の「変な」発音で聞き取りにくいが、慣れれば問題はない。なぜなら、
一貫して「変な」発音だからである。
少し前にTOEICの関係で書いた英語のいろいろな訛りの話でも、それぞれの訛りにおいて音素の発音され方が一貫しているから、慣れれば聞き取れるのである。
聞き取り側に、「Moira は、"a" の音を、"ə"で発音する」というルールが出来上がれば、自動的に変換して聞き取っていくのである。
ところが、おそらくスチュワーデスの場合、研修の過程で(発音を意識せずに講師の発音に従って)例文を丸覚えすることから、take off のa と table の a が同じ音だと意識せずに覚えていて、結果として違った発音をしてしまい、聞き取り側がルールを見つけられないと言うことではないだろうか。
とても面白い題材だと思う。言語学の学生だったら、スチュワーデス研修クラスにテープレコーダー片手に参加させてもらうところだ。