星降るベランダ

めざせ、アルプスの空気、体内ツェルマット
クロネコチャンは月に~夜空には人の運命の数だけ星がまたたいている

EDDY号、黄色い島を走る

2006-10-22 | NO SMOKING
秋の晴れた日に、本州から四国に向かう高速バスEDDY号に乗る。
週末に徳島で長期療養中の父を訪ねる定期便。
淡路島は1時間で通過する島。
いつもは、空を見てるうちに、TBCの白いシートカバーにもたれて寝てしまうのだけど、今日は窓の外に広がる黄色い世界をずっと見ていた。

もし私が外国から来た旅人でこのバスに乗ってるのだとしたら、
絶対、ガイドさんに聞くだろう。
「日本の秋に咲く、あの美しい黄色い花は、何という花ですか?」って。

昨日までなら、私は「いやあれは日本の花じゃなくてね、北米からやってきた外来種の花で、知らない間にあっちこっち日本のススキを追いやってしまった花なんです」だなんて、答えただろう。

でも、もうこの窓の外に広がる黄色い世界を見てると、認めるわ。
セイタカアワダチソウは、もう立派に日本の秋を代表する花であるって。

しかし、背高泡立草…泡が立つように綿毛が舞い上がることからついた名前かしら?この群生する花々の花粉がいっせいに舞う姿を想像すると鼻がむずむずしてくる。花粉症の元凶ブタクサのような風媒花でなく、虫媒花なんだけど、1個体で5万個の種子をつくるそうだから、これだけ咲いてればねぇ。

セイタカアワダチソウは、アレロパシー(他感作用)という運命をしょっているらしい。根から他の植物の発芽を抑制する物質を出して、他の植物を圧倒してしまうのだけど、やがて自分の出した物質で自分の種子の発芽もできなくなって消えていく。常に一カ所に根を張って留まることはできなくて、永遠に放浪を続ける植物なのね。

毎年日本列島を黄色い花の群生が移動し続けてる。その移動のすきまをぬって、淡路島の高速道路沿いにも、ススキがほんの少し咲いていた。思わずススキに「ガンバレ」ってエールを送りそうになったけど、やめた。…父を見舞う道が、白いススキが風に揺れてる道ではなく、たくましく黄色いセイタカアワダチソウが咲き続ける道であることが、嬉しかったのだ。

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