@ラブホテルを舞台に人々の生き様を綴るこの7編は何とも言えない、人間の我と欲、生活そのものが繊細に描かれた心情は面白い。タマに重々しく感じる数編もあるが、「喜びと苦労・苦痛」は誰もが経験したい、経験するであろう事なのだと感じる。
『ホテルローヤル』桜木紫乃
「概要」国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く――。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。
ー北海道の田舎にあるラブホテル「ホテルローヤル」を舞台にした人間関係の短編7編だ。ホテルの経営者、家族、従業員、利用者、取引業者など様々な人物の登場から生み出されたその舞台での人間様相を語る。
ーホテルの経営、それはあるカップルの心中事件で経営破綻に追い込まれる。 一度の事件で、噂が噂を呼び、ネットでも配信され、ついに経営難に陥る。