@「出世のための策」策略は仲間内をまず騙してから仕掛ける、誰を信じ、誰を欺き、どの様に仕上げを築くのか。 この小説の人の信頼とどんでん返しは面白い。 時代劇によくある世継ぎ騒動、出世技の一つである。現代でも誰を信用し、信頼し、任せることができるのか。最近の日産ゴーン氏の事件の背景には日本人社長への一人ではなく同じ外国国籍の元代表取締役に貴重な財務関係を委任していたことは明白となっている。 会社組織において人への信頼・信用、それに尊敬など、次へと繋げるステップでとても重要な要因となる。ましてや次期社長など重要なポストを引き継がせる経営者の決断は労力も時間もかかる。「決断」は何を基に下すか、その決断理由は組織全体、役員等が納得できるのかなど問題も多い、が「決断」はいつか必要だ。 大塚家具での親族経営者引き継ぎは果たして「良」だったのか「悪」だったのかなど、人は場合によって「謀反」的な行動もするが「我慢して見守る」姿勢も大事だと思う、いずれも「100%はない」。
『密命御庭番 黒影』早見俊
- 十一代将軍家斉の治世下、公儀御庭番の菅沼家では、後継となる21歳の外記が父から鍛えられていた。家督を継ぐためには菅沼家伝来の秘術「気送術」を会得せなばならないが、外記はそれを果たせない。ある日、将軍世子・家慶は外記をお供にお忍びで市中見物に出かけた。が、そこで命を狙われ、外記は江戸城内の権謀術数を知る。腕は立つが下戸で甘党、常に弱い若きご庭番が密命に走る。
- 次期将軍家慶は外気を伴って市中の歌舞伎を観に行くことを決める。ところが刺客に狙われあわやのところで逃げ出し危機を乗り越えた。家慶は歌舞伎を見るように進めた御台所の仕業だと知るが直接処罰ができない事で家老に提案する。その当時河川工事は莫大な藩の借財を背負う事をどの藩も恐れた。その噂を御台所に仕掛け、今後刺客次第ではその事業を薩摩藩、御台所に言い渡す事を促した。
- 肥前国唐津藩藩主水野忠邦は幕閣に出世を狙って国変え出来そうな遠江国浜松藩藩主井上河内守を外気に探索させた。井上藩主は農家の妻を犯す事実など幕閣に不満をもたらせたことで、国変えは成功する。その後水野は老中の座(松平伊豆守伸明暗殺)を仕掛ける。水野の仕掛けは同士を囮にして老中からの隠居を促す脅しを仕掛けるが、一旦松平はさらに強固に座を固め、逆に水野に仕掛けをした。昔時代の流れから田沼一派の田沼意次に松平定信は罷免されたが田沼が失脚するとすぐに松平は老中に復帰したのである。その田沼派を支援した水野が老中の座を求め計画した。仕掛けは失敗したが松平は病の療養を理由に老中職を辞した。暗殺計画はもともと囮で老中松平の辞職を促すための仕掛けだったが最後まで外気は知らず、騙されたが、御庭番の役と褒美をもらった。