長屋の川柳論

（何かに）夢中

ご隠居さん「川柳では、何かに夢中になって居たり、夢中になっていたことから、ふと我に返った時、今まで見えなかったものが見えてくるというようなことが詠まれていることがある。」
八っアン　「うん、そのようなことってよくあるね。
本を読んでいることに夢中となって居て、読むのを止めた時に、蚊に食われたところがいっぱい脹れているということがあるよ。」
熊さん　　「八っアン、そんなに無理しなくていいよ。
暑いところで眠って居て、熱中症になりかけたというくらいじゃないのかい。」
八っアン　「じゃあ、熊さんは何か夢中になれるものがあるのかい。」
熊さん　　「ああ、あるとも、相手の王様をとろうと夢中になって居たら、自分の王様が盤から消えて居たよ。」
ご隠居さん「ずるしちゃだめだよ、負けかけたからと言って、王様を隠しちゃ。
まあ、そんな話をしていてもしようがないから、川柳の話にするよ。
穴埋め問題に言ってもいいかい。」

自選句

亡母の年越えて卒寿に居る安堵
招かれて行く教え子のクラス会
良い日には陽と戯れて草むしり
荻原非茶子

展示川柳

お疲れの身体を癒やすワンカップ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　T

柳誌

辞書を引く手間を惜しんで誤字脱字