ワニと読むミステリ(不思議なキジのサンドウィッチ )

不思議なキジのサンドウィッチ (創元推理文庫)
アラン・ブラッドリー
東京創元社

The Dead in Their Vaulted Arches: A Flavia de Luce Novel
Alan Bradley
Bantam

読むと、近づくものは油断がならない。

(アラン・ブラッドリー著)
 
 1951年の春、11歳の化学大好きな探偵少女フレーヴィアは、長く行方不明だった母ハリエットの帰還を家族とともに駅で待っています。そこにはハリエットを偲ぶ村の人たちとともにウインストン・チャーチルの姿も見られます。イギリスの村ビショップス・レーシーに汽車が到着するときに、背の高い見知らぬ男がフレーヴィアに近づいてきて謎のメッセージを彼女の耳にささやくのです。その直後、男は死んでいました。群衆の誰かに押され、列車の下敷きになっていたのです。いったい彼は誰なのか?彼の言葉は何を意味しているのか?なぜフレーヴィアに? ド・ルース家の古びたバックショー荘でフレーヴィアは秘密の場所に隠されていたフィルムのリールを発見し、それを手がかりにしてド・ルース家の秘められた歴史を解きほぐしていくことになります。そしてハリエットの愛した陽気な気分号も弔問に訪れ、フレーヴィアは空へと飛び立ち壮大な眺めの中に殺人者の姿を見出します。

 本の帯に「大団円!」とあったので、これはフレーヴィアのシリーズが終わってしまうのかと懸念しがっかりしてしまいましたが、安心してください、まだまだ続きます。春にはすべての謎が解けるの最後で行方不明だった母ハリエットが見つかったという衝撃的な父の言葉で終わるのですが、この作品ではハリエットの死の真相のみならずハリエットが戦時中にいかに勇敢な活躍をしていたかということが語られます。ちょっとびっくり。そしてフレーヴィアのおばフェリシティも諜報活動に関係していたらしいこともしめされ、フレーヴィアはフェリシティから重要な任務を知らされます。話は思わぬ方向に向かいますね。
 今回はハリエットの死の真相について解き明かすのがメインで、さらにハリエットの愛した陽気な気分号も登場しド・ルース家のいろいろな過去も語られ、フレーヴィアが少しも気がつかないところで父の支援があったことなどちょっと感動ものです。フレーヴィアがいろいろな人からお母さんにそっくりだと言われて涙するあたりはこれまでの作品でフレーヴィアだけが母のぬくもりを知らないで寂しい思いをしていたのでなんだかこちらまで涙です。今回は謎解きの要素は希薄ですが、これからのフレーヴィアにつながると思えば納得です。劇的に世界が変わり新しい教育をうけることになるフレーヴィアの次の作品が楽しみです。次作ではフレーヴィアは12歳になっているそうです。新しい環境でのお話はどんなものでしょうか。

■既刊
 これまで5作品あります。
人形遣いと絞首台
パイは小さな秘密を運ぶ
水晶玉は嘘をつく?
サンタクロースは雪のなか
春にはすべての謎が解ける

主人公: フレーヴィア・ド・ルース(11歳の化学好きの少女)
場所:  イギリス、イングランド
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(クーポンマダムの事件メモ )

クーポンマダムの事件メモ (ハヤカワ・ミステリ文庫“my perfume”)
リンダ・ジョフィ・ハル
早川書房

Eternally 21 (A Mrs. Frugalicious Shopping Mystery)
LindaJoffe hull
Midnight Ink

読むと、ショッピングモールはなんでもあり。

(リンダ・ジョフィ・ハル著)
 マディはクーポンを駆使して家計費を節約中。ちょっと前まではセレブ夫人として値段には無頓着だったのに。が、夫のフランク・ファイナンス・マイクルズ、町で有名な財産管理の権威、が投資詐欺にあい、家族の貯金を失ってしまったのです。家計は火の車。マディは経済的にまったく問題ないというふりをしていますが、実はクーポンを駆使して家計を切り詰めているのです。クーポンマダムの名前で節約サイトを始めてみると、ウェブサイトは大ヒットで節約のヒントを求める人たちであふれています。マディがクーポンを利用し、10代の子どもたちや親戚のためにエターナリー21で買い物をしていると、マネージャーのレイラが万引きだととがめひと悶着ありますが、そのレイラが急に倒れて息を引き取ると事態は最悪の方向に向かいます。誰からも嫌われていたレイラなので容疑者のリストは長く、しかも様々な証拠がマディを第一容疑者とさししめしているとなるとマディは自力で犯人を見つけ出さなければなりません。

 こんなにいろいろな種類のクーポンがあるとは思いもよりませんでした。使える条件も様々でとても全体を把握できそうもありません。でもこれらのクーポンをしっかり使いこなせるならばずいぶん生活費が助かるだろうなぁと思いました。と、その国の状況がわかるのが肩のこらないミステリのよいところでもあります。
 日本でもこの作品にでてくるような節約に役立つ方法はあるのでしょうが、クーポンをここまで使いこなすのはなかなか難しそうです。
 本国ではもう3作目が刊行されているようです。はやく翻訳版がでるとよいのですが。

■シリーズ
 2作目でマディはテレビ出演をはたすようです。あんなに逃げ回っていたのに何があったのでしょうか。
 
主人公: マディ・マイクルズ(またの名を〈クーポンマダム〉。匿名人気ブロガー)
場所:  USA
グルメ: なし
動物:  ネコ:チリ、アップルビー
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(蹄鉄ころんだ)

蹄鉄ころんだ【新版】 (創元推理文庫)
シャーロット・マクラウド
東京創元社

The Luck Runs Out (English Edition)
Charlotte MacLeod
早川書房

読むと、近いほどわからない。

(シャーロット・マクラウド著)
 バラクラヴァ農業大学は、年に一度の馬の競技大会を前にみんな準備で大忙し。そこへブタの誘拐と殺人が加わった。 
 新婚のピーターとヘレン・シャンディ夫婦が工芸店で銀食器を選んでいるときに、二人組の暴漢が金銀を強奪して金庫を空にし、さらにヘレンを人質にしていった。ヘレンはすぐに見つかったが、ピーターはその間死ぬ思いで苦しんでいた。翌朝早く、大学の畜産学部長が半狂乱でピーターの家にやってきた。ベリンダ、すばらしき雌豚が誘拐されたのだ。
 ベリンダを探していると、装蹄師フラックレーが豚舎の粉末給餌器の中で死んでいるのが発見された。消えたブタと殺された装蹄師、二つの事件には関連があるのか、それを解明するのはピーター・シャンディ教授の使命だ。

 これは再読。やっぱり面白いです。
 大学での事件なので教授たちがたくさん登場するのですが、いずれも期待を裏切らない変わった人たちで大変楽しいです。ブタのベリンダは、『畜産学部長のストット教授が30年近い年月をかけてつづけてきた一連の遺伝学的な実験の重要な標本動物で、もうじき子供を産む予定であり、ブタの育種における科学的な重要性ははかりしれない』という極めて重要なブタです。読みながらもうベーコンになっているのではないかとハラハラしました。
 犯人たちとの決戦で期待にたがわず学長のトールシェルド・スヴェンソンは超人的なパワーでねじ伏せますが、妻のシーグリンデはそれを上回るやわらかい重しで制しています。この辺の力関係が絶妙ですね。
 装蹄師フラックレー一族がどのように家業を継いできたかが語られるのですが、この不思議な縁がまた面白みを加えています。

■既刊
 シャーロット・マクラウド名義では、ピーター・シャンディ教授もの、セーラ・ケリングもの、があります。
 アリサ・クレイグ名義では、マドック&ジェネットもの、ディタニー・ヘンビットもの、があります。
 翻訳されているものはみな読んでいますが、いくつか未訳があるようでぜひともそれらも翻訳してもらいたいものです。

主人公: ピーター(ピート)・シャンディ(応用土壌学教授)
場所:  USA、バラクラヴァ
グルメ: なし
動物:  ブタ:ベリンダ
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(水の葬送)

水の葬送 (創元推理文庫)
アン・クリ-ヴス/td>
東京創元社

Dead Water: Shetland Series 5
Ann Cleeves
Pan Books

読むと、守りたいという激しい気持ちは誰でも持っているかも。

(アン・クリ-ヴス著)
 シェトランド島のシリーズです。 前作“青雷の光る秋”まで活躍していたジミー・ペレス警部が主役のシリーズですが、ジミーは激しい衝撃からまだ立ち直ることができないでいます。新聞記者の死体が発見されるとインヴァネス署の警部ウィリー・リーヴズが派遣され、この事件の指揮をとることになります。ジミー・ペレスは療養中でまだ捜査に参加していませんでした。しかしこの事件の捜査には地元の事情に通じている必要があるということで、ジミーはこの事件を手伝うことになります。亡くなった新聞記者は自分の記者としてのキャリアを向上させるために数年前に島を出ていったのだが、そのきっかけは若い女性を巻き込んだスキャンダルから逃れるためでした。ウィローとジミーが事件を掘り下げていくと、そこにはシェトランド島の電力開発についての島民間の意見の相違があり、島民が表沙汰にしたくない事情もあるようです。

 ジミー・ペレスがひどい落ち込みようで、この事件では捜査に参加しないのかと心配でしたが、ようやっと事件に関心を持つ気持ちがよみがえってきたようで、だんだんと精力的に動き回るようになります。シェトランド島の人たちの生活が詳細に書かれていて、フェリーによる島の移動や島内での人間関係がとても複雑にからみあっています。島の生活は秘密を持つことが非常に困難で隠そうとしても、どこかで誰かが見ていますね。
 ジミーは今は婚約者フランから託された子どもキャシーと生活し、キャシーに対して強い責任感を持っています。これから
2人の関係はどうなっていくのでしょう。
 500ページ近くの長丁場です。覚悟して読みましょう。

■既刊
 シェトランド島のシリーズ4部作です。

白夜に惑う夏
大鴉の啼く冬
野兎を悼む春
青雷の光る秋


主人公: ジミー・ペレス(シェトランド署の警部)
場所:  イギリス、シェトランド本島
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(助手席のチェット )

助手席のチェット (名犬チェットと探偵バーニー1) (創元推理文庫)
スペンサー・クイン
東京創元社

Dog On It (English Edition)
Spencer Quinn
Simon & Schuster UK

読むと、チェットの鼻を信じよう。

(スペンサー・クイン著)

 チェット、賢くてかわいいもう少しで警察犬訓練所を優秀な成績で卒業しそうだったイヌと、ちょっとばかりついてない私立探偵バーニーのコンビは新しい事件に取り組みます。取り乱した母親からの依頼でティーンエージャーの娘を捜すことになるのですが、この女子高校生は行儀のよい成績優秀で才能のある学生で、とても家出するような不品行な行動をするとは思えません。それでは誘拐されたのか? 少ない手がかりを追ううちにチェットはバーニーと離れてしまい窮地におちいりますがバイカ―たちに助けられてホッとしたのも束の間、さらなる絶体絶命の危機に陥ります。

 名犬チェットと探偵バーニーのシリーズ1作目です。犬が一人称で事件を語るミステリは珍しいかもしれません。
 チェットはミックスの大型犬で強烈なジャンプ力を誇って、バーニーには実に忠実な賢い犬ですが、どうも食べ物に弱い傾向があり事件捜査中でもついハンバーガーなどに引き寄せられ気が付いたら食べてしまっているという、もうとてもかわいい犬です。いろいろ考えているうちに眠ってしまったりして、耳の後ろをかいてやりたくなります。
 捜査中にピューマに遭遇したりしますがラスヴェガスあたりではピューマが徘徊しているのでしょうか。怖いけど見てみたいです。
 まだまだチェットのシリーズが続くようで早く読みたいです。

■犬が探偵
 いろいろ捜してみましたが、犬が語るミステリはなかなかないですね。手がかりを提示するようなのはありますが。
 これはネコのミセス・マーフィーが主要な役割ですが、コーギーのタッカーも活躍します。
散歩をこよなく愛する猫

主人公: バーニー・リトル(元刑事でバツイチの私立探偵)
チェット(バーニーの相棒。名犬)
場所:  USA、ラスヴェガス周辺の町
グルメ: なし
動物:  イヌ:チェット
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(あなたは誰?)

あなたは誰? (ちくま文庫)
ヘレン・マクロイ
筑摩書房


Who's Calling? (Dr Basil Willing) (English Edition)
Helen McCloy
The Murder Room

読むと、自分でもわからない。

(ヘレン・マクロイ著)

精神科医の卵のアーチーがナイトクラブの歌手フリーダと婚約し、母にフリーダを引きあわせようとしたとき、不思議な現象が始まった。何者かがフリーダに行くなという電話をかけてきたのだ。フリーダの訪問を知っているのは数人の知合いだけのはず。警告を無視してワシントンの近くのウィロウ・スプリングを訪れたフリーダにまたしても何者かによる破壊行為が起こる。請われて事件を調査し始めたベイジル・ウィリング博士、精神科医にして探偵、の目の前でついに殺人が起こる。ベイジル・ウィリング博士は一連の現象はポルターガイストで説明できるというのだが、犯人の正体はなかなかわからず事件解決は困難をきわめる。

1942年作、ベイジル・ウィリング博士が探偵役のシリーズです。期待を裏切らず夜更かし必至の作品です。容疑者はほんの数人なのになかなか犯人にたどりつかないという最後まで楽しませてくれるミステリです。この頃はこういうミステリが少ないなぁ、と思っていたら巻末の訳者(渕上痩平氏)の解説によると、米国ではすっかりコージーミステリばやりで本格派のミステリは読まれなくなってしまっているとのこと。エラリー・クイーンの名さえもはや忘れ去られていると聞くことになるとは。なんと恐ろしい。ペリー・メイスンのシリーズが書店の棚から消えつつあるなどとあってはならないことが起こっているようです。しかし、まだイギリスのミステリ界では本格謎解きが健在だそうでこれからもそうあってほしいものです。日本ではまだまだ本格ミステリファンが多いですね。
 まだ翻訳されていない作品があるようでこれから日本語訳がでるのを大変期待しています。

■既刊
 どれも読みながら息をつめてしまいそうなものばかりです。

幽霊の2/3
殺す者と殺される者 ← ベイジル・ウィリング博士のシリーズではない
暗い鏡の中に
小鬼の市

主人公: ベイジル・ウィリング(精神科医)
場所:  USA、ウィロウ・スプリング
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(書店猫ハムレットの跳躍 )

書店猫ハムレットの跳躍 (創元推理文庫)
アリ・ブランドン
東京創元社

読むと、ネコの見解は正しい。

(アリ・ブランドン著)

ダーラ・ペティストーンは大叔母ディーからブルックリンの書店〈ペティストーンズ・ファイン・ブックス〉を相続しましたが、大きな黒猫ハムレットはまるで自分が書店主であるかのようにふるまっています。書店のオーナーとなってダーラの生活も落ち着きつつありますが、新たに従業員を雇わなくてはならないときにハムレットは頭痛のタネです。気に入らない応募者には爪を剥き出しにして追い払ってしまうのです。結局ありえないような人物が書店の従業員として働くことになりそうです。書店ネコのはずのハムレットがどうも外に出ているらしいとの懸念がありダーラは心配していたのですが、常連客の一人が近所でハムレットを見たというので確信が深まります。そしてその常連客のパートナーが改修中のブラウンストーンの建物の中で死んでいるのが発見され、そこにハムレットがいたらしい気配がするにおよんで、ダーラはハムレットが事件を目撃していたのではないかと心配します。賢いネコの助けを借りてダーラは殺人犯を追い詰めることができるのでしょうか。

 読んでいるうちにこの本の前の話がちらほら出てくるので1作目を見逃したかと慌てましたが日本語訳としては最初の本だというのがわかりホッとしました。巻末の「訳者あとがき」によるとこの2作目がもっともハムレットの魅力を伝えることができるとのことで2作目からの日本語訳となったそうです。次は3作目ということなので、早く1作目も読みたいですね。
 新たに書店員となったロバートの境遇にはびっくりです。毎日寝るところを捜さないといけないというのはどういう気持ちでしょうか。でも、〈ペティストーンズ・ファイン・ブックス〉の店長ジェイムズ、ダーラのアパートメントに住む私立探偵ジェイク、さらにご近所さんたちがいろいろと考えてくれているのは実に心強いです。
 黒猫ハムレットの傍若無人ぶりはいろいろなミステリの中でも飛びぬけているようです。黒猫っていうとそうなんでしょうか。

■書店のネコ
 書店のネコはいろいろいますが、探偵もするネコは少ないようです。

  ローナ・バレットのミステリ専門書店<ハブント・ゴット・ア・クルー>にも書店ネコがいます。
  本を隠すなら本の中に

  アリス・キンバリーの幽霊探偵シリーズにもネコがいます。
  幽霊探偵の5セント硬貨

  キャロリン・G・ハートのミステリ書店「デス・オン・ディマンド」のシリーズには書店ネコ アガサがいます。
  舞台裏の殺人

  ローレンス・ブロックの古書店主兼泥棒であるバーニイ・ローデンバーのシリーズ。書店ネコ ラッフルズはマンクスということになっています。
  泥棒は深夜に徘徊する



主人公: ダーラ・ペティストーン(〈ペティストーンズ・ファイン・ブックス〉のオーナー)
場所:  USA、ニューヨーク
グルメ: なし
動物:  ネコ:ハムレット(書店のネコ)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(美食家たちが消えていく)

美食家たちが消えていく (コージーブックス)
アレクサンダー・キャンピオン
原書房

読むと、落ち着いて食事を味わえない。

(アレクサンダー・キャンピオン著)
 カプシーヌ・ル・テリエはパリ警察の警視。おしゃれで聡明だが殺人犯を見つけるのは本日のスペシャルを見つけるより難しいと感じている。フィガロ紙のレストラン評論家がロブスターのラビオリにつっぷした死体で発見されたとき、レストランにはたくさんの客がいたが、カプシーヌは容疑者を特定するのは比較的容易だろうと思っていた。しかし、レストラン評論家が殺される事件は続き、容疑者もセクシーが売りの若手女優や作家、シェフなど多岐にわたる。事件解決に悩むカプシーヌは、大事な夫で有名なレストラン評論家であるアレクサンドルを殺人者をあぶりだすためのワナとして使うか、難しい決断を迫られる。
レストランのおいしい料理が次から次へと出てきます。お腹が鳴るかも。それと、いかにレストランの経営が大変か思い知らされるミステリです。アレクサンドルがカプシーヌに作ってくれる料理はとても手がこんでいておいしそうです。あんな料理が待っていたら一目散に帰りますね。
ディネ・アン・プランなる催しは日本でも開催されているのですね。ドレスコードは白。当日までどこで行われるのかわからない、しかもテーブルも食べ物も飲み物もすべて自分で用意するというものです。不思議な催しですね。
カプシーヌとアレクサンドルは相変わらずの仲の良さを見せていますが、カプシーヌのいとこジャックの存在もなかなか気になります。カプシーヌに気があるんだかなんだか。今後どう展開するのか見守りたいですね。

■既刊
 カプシーヌのシリーズはまだ3巻目です。

予約の消えた三ツ星レストラン ← 自動車メーカーの社長が遺体となって発見されます
りんご酒と嘆きの休暇 ← 狩りの最中に不審な事故が多発します

主人公: カプシーヌ・ル・テリエ(パリ警視庁の警視)
場所:  フランス、パリ
グルメ: フランス料理 (レシピなし)
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(スイート・ティーは花嫁の復讐)

スイート・ティーは花嫁の復讐 (コージーブックス)
ローラ チャイルズ
原書房

Sweet Tea Revenge (Tea Shop Mysteries)
Laura Childs
Berkley

読むと、過去は清算しましょう。

(ローラ・チャイルズ著)
インディゴ・ティーショップのオーナー、セオドシア・ブラウニングは親しい友人のデレイン・ディッシュに、彼女の結婚式でブライズメイドになってくれるように頼まれます。 しかしその大事な日が来るとすべてが悪い方へと流れていくようです。まず、激しい雷雨がチャールストンの街を襲い、悪い兆しのように思えます。それからデレインの姉が結婚式に遅れています。でも彼女が遅れるのはいつものこと。そして最後は、花婿が開始時刻になっても部屋からでてきません。最後の瞬間に怖気づいたのか? セオドシアが迎えに行ってみると花婿は冷たくなっていました。 セオドシアは打ちのめされたデレインをなぐさめながら、結婚式の参列者を注意深く観察します。復讐は冷ましてから食べる料理といいますが、冷酷な殺人者はセオドシアをも待ち受けているようです。

デレインの結婚式が悲惨な結末を迎えるというわけですが、式場に選ばれたのが幽霊がでるといううわさのある〈レイヴンクレスト・イン〉で、雷雨にみまわれ電気がちかちかと停電してロウソクに頼らないといけないというゴシック小説のような結婚式です。果たして幽霊は本当にでるのか?ゴーストハンターも登場し、夏のチャールストンをちょっと冷やしてくれます。街はサマーガーデン・ツアーを企画してドゥーガン(花婿)の家もそれに含まれていたので、デレインに頼まれたセオドシアはそのためのお菓子やお茶の手配までしなくてはなりません。どれもおいしそうです。
キューバからの葉巻の密輸の話がでてくるのですが、アメリカとキューバが国交を復活すると堂々とキューバ葉巻がすえるようになるのでしょうね。キューバのお茶事情も今後出てきたらおもしろいなと思ってしまいました。
 今回はセオドシアの恋人のマックスの出番はほとんどなし。愛犬アールグレイもめだった活躍はなし。
 レシピあり。桃のスコ-ンとかおいしそう。

■既刊

インディゴ・ティーショップのオーナー、セオドシア・ブラウニングのシリーズは多数あります。

オーガニック・ティーと黒ひげの杯
ミントの香りは危険がいっぱい
ウーロンと仮面舞踏会の夜

カックルベリー・クラブの経営者、スザンヌ・デイツのシリーズはこちら。卵料理の店のお話です。

ほかほかパンプキンとあぶない読書会
あったかスープと雪の森の罠

主人公: セオドシア・ブラウニング(インディゴ・ティーショップのオーナー)
場所:  USA、サウスカロライナ州チャールストン
グルメ: ティとお菓子
動物:  イヌ:アールグレイ(セオドシアの愛犬、セラピー犬)。ダルメシアンとラブラドールのミックスのダルブラドール
ユーモア: 中

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ワニと読むミステリ(クッキング・ママの最後の晩餐)

クッキング・ママの最後の晩餐 (集英社文庫)
ダイアン・デヴィッドソン
集英社


読むと、欲は限りなく。

(ダイアン・デヴィッドソン著)
ケータリング業を営むゴルディ・シュルツの作る料理は最高です。死ぬほど食べたいと思うのは無理もありませんが、しかし、親友の一人のホリーがパーティのあとにまさか実際に卒倒するとは。それはゴルディがケータリングしたバースデーパーティーが終わり、みんなが帰ろうとするときでした。事件はそれだけでは終わらずこれは血も凍る殺人の序章でした。ケータリング業を始めたばかりというゴルディに似た女性が刺され、ファーザー・ピートも同時に襲われ意識不明に。そしてゴルディも家の外にちょっとでたところで襲われ、どうも標的はゴルディのようにも思われます。 心のねじまがった殺人者が殺人という料理を仕上げる前にゴルディはシャープに研ぎ澄まされた推理によって事件解決ができるでしょうか。

 ゴルディの親友の一人のホリーが殺されてしまいます。しかも息子の誕生日パーティの直後に。それだけでもショックなのにファーザー・ピートまで重傷を負ってしまうとなればゴルディの探偵気質も刺激され、事件解決になにがなんでも突進してしまいますね。ホリーの人生の秘密が少しずつ暴かれて、ちょっと悲しいです。
 ゴルディの商売敵が出現します。ゴルディのあとを追うように現れてゴルディの示すケータリング料金より安くしようというのです。ゴルディの親友のマーラはそんな申し出には動じずゴルディを支持しますが、ケータリング業はなかなか難しいですね。
 作品の最後にショッキングな記述があり、どうもこのゴルディのシリーズは終わりのようです。
 なんと!
 ゴルディと夫で刑事のトムとの間の子供がどう成長するのかとても楽しみなのに見捨てられた気持です。
 でも料理本は出版されるようなのでそれは期待できそうです。

■既刊

もうすでに16冊出ています。下記は最新の5冊です。
クッキング・ママの鎮魂歌
クッキング・ママの遺言書
クッキング・ママのクリスマス
クッキング・ママのダイエット
クッキング・ママと仔犬の謎

主人公: ゴルディ・シュルツ(<ゴルディロックス・ケータリング>の女主人)
場所:  USA コロラド州アスペンメドウ
グルメ: あり。レシピ付き。
動物:  イヌ:ブラッドハウンド(ジェイク)
ネコ: 茶と白の長毛猫(スカウト)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(新聞王がボストンにやってきた )

新聞王がボストンにやってきた (創元推理文庫)
レスリー・メイヤー
東京創元社

読むと、恨みは長い間に熟成されます。

(レスリー・メイヤー著)
 
 パートタイムの記者兼カメラマンのルーシー・ストーンは、ボストンで行われる東北部新聞協会年次総会にボスのテッドとともに参加することになります。ティンカーズコーヴの地方紙「ペニーセイヴァ―」が〈今年の最優秀コミュニティ新聞〉に選ばれそれには総会への参加費も含まれていたからです。ルーシーは我が家を離れるという休暇を楽しみにしています。しかしティンカーズコーヴから出発してみると、ルーシーは一人きりでいることはちょっとばかり寂しいと感じてしまいます。総会のワークショップやパネルディスカッションは中傷に満ちて、ルーシーはいささか幻滅を味わい、さらに父の日を祝うための準備を家でしていないことに罪悪感さえ感じています。
 しかし、晩餐会中にルーサー・リード、パイオニアプレス・グループのオーナーで新聞業界の大物、が突然亡くなり、ルーシーは忙しく考えることがたくさんできてしまいます。ルーサーは喘息の発作で亡くなったという説はどうも受け入れがたいのです。殺人かもしれない。傲慢な彼には実に多くの敵があったのです。ルーシーは自分で調査してみようと決心し、いろいろな人に話を聞いてまわりますが、真相に近づくにつれルーシーにも犯人からの魔の手が伸びてこようとしています。

 今回ルーシーは愛しの我が家を離れてボストンに出張しますが、出発前はあれこれ準備に忙しく、子供たちは不満そうで、夫のビルも近づきつつある父の日の準備がおろそかになるのではないかと不機嫌です。いつもルーシーは仕事と家庭の両立に少しばかりを頭を悩ませていますね。毎回どう折り合いをつけるかもこの作品の見所ですね。
 新聞協会の総会での出来事で、各新聞社から参加した人たちの探り合いや足の引っ張り合いやなかなかに醜いところも描かれて、業界の様子を垣間見るのも興味深いですね。どこでもこんなもの?
 ルーシーの長男トビーがビルの仕事を手伝うようになりましたが、父と息子の関係はルーシーの期待するようにはうまくいかず、ぶつかってばかりですが、なんとかやりがいのある仕事を見つけたようです。ルーシーのいないことでほかの子供たちも少し成長したようです。
 と、読み終えてほっとしたのですが、「訳者あとがき」を読んで愕然としました。原作はすでに22冊まで続いているというのに日本での出版はこの10作目で終了だというのです。がっかりです。何とかこれ以降も翻訳版がでることを神社仏閣にお祈りしたいと思います。

■既刊
最初はミステリ好きの主婦だったルーシーですが、いまではすっかり記者兼カメラマンです。シリーズを通してみるとその変遷がわかりますね。

メールオーダーはできません
トウシューズはピンクだけ
ハロウィーンに完璧なカボチャ
授業の開始に爆弾予告
バレンタインは雪あそび
史上最悪のクリスマスクッキー交換会
感謝祭の勇敢な七面鳥
はた迷惑なウェディング
九十歳の誕生パーティ

主人公: ルーシー・ストーン(週刊新聞『ペニーセイヴァー』の記者兼カメラマン)
場所:  USA、ボストン
グルメ: なし
動物:  イヌ:クードー
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(犯罪心理捜査官セバスチャン  上下)

犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)
M・ヨート&H・ローセンフェルト
東京創元社

犯罪心理捜査官セバスチャン 下
M・ヨート&H・ローセンフェルト
東京創元社

読むと、因果は巡る。

(M・ヨート&H・ローセンフェルト著)
 16歳の息子が帰ってこないという母親からの警察への電話。ガールフレンドの家に行くといって出て行った少年はガールフレンドの家から帰る途中そのまま行方不明になってしまいました。捜索が開始されますが、少年は心臓をえぐりとられるといういたましい死体となって発見されます。センセーショナルな事件は国家刑事警察の殺人捜査特別班が担当することになり、優秀なリーダーのトルケルとその4人の刑事が事件に取り組むことになります。そこへ無理やり加わってきたのは元トップ・プロファイラーのセバスチャン・ベリマン。心理学者としては優秀だが自信過剰で嫌みなやつで、協調性はゼロですぐにケンカを吹っかけて、相手かまわず捜査対象者とまで関係を持とうとするセックス中毒者。なんとも迷惑な存在でトルケルたちのチームに波風が立ちそうになりますが、本人はまったくお構いなしで、何やら事件とは関係ないことに関心があるらしくこっそり調べているらしい。 捜査が進むにしたがい、母親や先生たち、それに殺された少年の友人たちと少しずつのウソが発覚し、だんだんと真相に近づいていきます。

読みはじめる前は、また暗い話の続くミステリかなぁと少し心配でした。このところ北欧系のミステリの翻訳本が多くいくつか読みましたが、結構重苦しかったのでこれもそうかもと警戒のような気持ちがありました。が、見事に裏切られ、ニヤニヤしっぱなしの読書となりました。セバスチャンというのが実に嫌なヤツで、チームの協力体制を壊しそうなあんまり近くにいてほしくないような人物なんですが、これがなんだかおかしい。母の死に際してお葬式にも出ないと平気で言うのに、妻リリーと娘サビーネを津波から救えなかったことを夢に見て叫び声をあげるといういろんな人格が混在していて、本人も自分がよくわかっていないようなところがあり、これまたおかしい。
最後のところでは鼻もちならない嫌みなセバスチャンが見事に打ちのめされ、思わず笑い転げそうになりました。
まいったか、セバスチャン!

■M・ヨート&H・ローセンフェルト
 巻末の訳者あとがきによると:
 ミカエル・ヨートは1963年生まれ。映画監督・プロデューサー、脚本家として活躍し、1995年に仲間2人と映像プロダクション会社Tre Vanner社を設立。
 ハンス・ローセンフェルトは1964年生まれ。やはり脚本家だが、テレビやラジオ番組の司会者としても有名で、公営テレビのエンターテインメント部門を率いていたこともある。

 脚本家だからこそ情景がいきいきとして、映像として訴えてくるようなところがあるのでしょうね。人物が動いているのが目に浮かびます。

 主人公: セバスチャン・ベリマン(心理学者。元国家刑事警察の殺人捜査特別班のプロファイラー)
      ヴァニヤ・リトネル(国家刑事警察の刑事)
場所:   スウェーデン、ストックホルム
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(要塞島の死)

要塞島の死 (創元推理文庫)
レーナ・レヘトライネン
東京創元社
1,200円+税
読むと、つもりはなくても犯罪になります。

(レーナ・レヘトライネン著)
 マリア・カッリオはもうじき出産休暇が終わり、エスポー警察の暴力課警部として戻ってくるところです。その最後の週末を要塞島とも呼ばれるレードシャール島で過ごそうとマリアは夫アンティ、そして赤ちゃんのイーダとともに島にやってきました。マリアは気がかりだったのです。一年前に元ボーイフレンドの鳥類学者ハッリが島の急峻な崖から転落して亡くなったのが。本当に事故だったのか。
 ハッリの死後一年、今度は島の所有者でエコな塗料製品製造会社のCEOであるユハ・メリヴァーラがハッリと同じところで亡くなっているのが発見されます。偶然のはずがない。容疑者は、妻? 動物の権利を守る活動家の息子? 父親と同じくらいの年齢のオペラ歌手とつきあっている娘? または世界を航海して回っている異母弟?
 
 エスポー警察警部マリア・カッリオのシリーズ3作目。原シリーズでは6作目にあたるそうです。要塞島で起こった事件で、容疑者は島の所有者一家の誰かではないかと疑われるのですが、この一家の事情が実に複雑で誰が犯人であってもおかしくないと思われる半面、明確な動機が掴めません。そこでだんだんと家族の様子が語られて、それぞれの悩みや疑い、悲しみがあらわになっていくのですが、一緒に住んでいてもバラバラの家族の心情がちょっと悲しいですね。
 要塞島ってどういうこと?っと思ったのですが、訳者あとがきによると、バルト海に浮かぶ島々が軍事的に重要な意味を持ちうる場所だったという事実があるそうです。かつては帝政ロシアとスウェーデン王国が覇権を争う場であり、第2次大戦後の冷戦期にはバルト海を挟んで東西陣営が対峙していたということです。さらに海の汚染にも苦しんできたようです。この本を読むとそういうことも少し理解できるようになります。あまりこのあたりのことは日本では知られていませんから謎解きとは別に地域の理解にも役立ちそうです。 
 いつもマリアと対立して課長の座を争ったり、なにかとイヤなやつの役回りだったペルツァ(警部)ですが、境遇に同情できるところもあり、時折見せる細やかさや人間の弱さになんだか憎めない人物でしたがこの作品の最後にペルツァの悲惨さが露わになり、少し悲しくなります。
 さて次の翻訳本は何になるのでしょうか。とても待たれますね。

■既刊
これまでに2作が翻訳されています。

雪の女 ← 有名なセラピストが殺されます
氷の娘 ← フィギュアスケート界で起こった事件です

主人公: マリア・カッリオ(エスポー警察の警部)
場所:   フィンランド、エスポー
グルメ: なし
動物:  ネコ:アインシュタイン
ユーモア: 小


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ワニと読むミステリ(テニスコートの殺人)

テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)
ジョン・ディクスン・カー
東京創元社
970円+税
読むと、邪悪な心が隠されている。

(ジョン・ディクスン・カー著)
 フランク・ドランスはブレンダ・ホワイトと婚約中。しかし、雨上がりのテニスコートの真ん中あたりでフランクの死体が発見され、第一発見者のブレンダが犯人ではと疑われます。濡れたテニスコートに残されていたのは、フランクが倒れていたところまで歩いた足跡と、ブレンダがそこまで往復した足跡だけなのですから。ブレンダは絶対に殺していないと言い、ブレンダに恋した若い弁護士ヒューはなんとか無実を証明しようと知恵を絞りますが殺人の方法も考えつきません。そして名探偵のギディオン・フェル博士が不可能犯罪に挑みます。

 1939年の作品です。フェル博士のシリーズとしては長編11作目にあたるそうです。密室殺人ものですね。
 はるか昔に旧訳で読んでいるのですが、どういう内容だったかまったく記憶に残っていませんでした。したがって新鮮な気持ちで読むことができ、初めて気分でフェル博士のなぞ解きを楽しむことができました。すっかり忘れていたわけで、これを果たして喜んでいいのか。
 フェル博士による密室殺人の解明もいろんな人がいろんな仮説を持ち出して楽しいですが、若い人たちの恋が芽生えてよろよろと育っていく過程もがんばれと応援したくなり、これもこの作品を読む楽しみの一つです。
 最後には、各登場人物たちの後日談があり、その後どうなったかわかってすっきりした気分で終えます。

■シャベル帽
 フェル博士が被っているいるシャベル帽、英国国教会の牧師がかぶる広縁の帽子だそうです。
 こんな感じ
 ↓
 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/ej3/76991/m0u/shovel/

主人公: 1.ギディオン・フェル博士(探偵)
2.ヒュー・ローランド(事務弁護士)
3.ブレンダ・ホワイト(ヒューが思いを寄せる女性)
場所:   イギリス
グルメ: なし
動物:  イヌ:ワイヤーヘアードフォックステリア
ユーモア: 中


Problem of the Wire Cage
John Dickson Carr
Corgi Childrens
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ワニと読むミステリ(出張鑑定にご用心)

出張鑑定にご用心 (創元推理文庫)
ジェーン・K・クリーランド
東京創元社
1,180円+税

読むと、仕事をとるためなら殺しもするか。

(ジェーン・K・クリーランド著)
 ジョシー・プレスコットがニューヨークのオークションハウスの高給職を捨てて、ニューハンプシャーの海岸地方に住むことにしたと聞いたとき、友人たちはジョシーは正気でないと思いました。本当のところ、ジョシーは価格操作のスキャンダルに巻き込まれ、新たな出発が必要だったのです。自分のオークションハウスを立ち上げたジョシーですが、経営は順調で新しい生活も楽しく、良いことづくめのようでした、殺人事件に巻き込まれるまでは。ジョシーが出張鑑定した老富豪が殺され、しかも警察はジョシーを第一容疑者とみているようなのです。さらに老富豪の屋敷からルノアールの絵が消え、それもジョシーの犯行と疑われ、彼女は自分の仕事と生活を守るため、犯人捜しに奔走します。

 オークションハウスが舞台になるミステリは初めてです。いろいろな美術品・工芸品についてのウンチクがあちこちに出てきます。古い家具にどのような隠し場所があるか、などつい引き込まれますね。秘密の抽斗なんて見つけられずにいた古い手紙とかありそうですね。
 第二次大戦中のナチによる美術品の押収の話がでてきますが、今でも見つかっていない絵など多数あるようで、それの専門のサイトまであるというのは驚きでした。

■骨董商のミステリ
 骨董商や鑑定士のミステリを並べてみました。

 エミール・ジェンキンス作の鑑定士スターリングが活躍するミステリ。
アンティーク鑑定士は疑う

シャロン・フィファー作のジャンクのコレクターでフリーランスの拾い屋が主人公のミステリ。
掘り出し物には理由がある

サックス・ローマー作の骨董屋が探偵のミステリ。短編集です。
骨董屋探偵の事件簿

主人公: ジョシー・プレスコット(オークションハウスのオーナー)
場所:   USA、ニューハンプシャー州ロッキーポイント
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中

Consigned to Death
Jane K. Cleland
Robert Hale Ltd
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