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ワニと読むミステリ(野兎を悼む春)

野兎を悼む春 (創元推理文庫)
アン・クリ-ヴス
東京創元社
1,365円(価格は変わる場合があります)
Red Bones
Ann Cleeves
Macmillan Publishers Ltd
987円(価格は変わる場合があります)
読むと、1つの発見から古い歯車が回り始めます。
 
(アン・クリ-ヴス著)
 シェトランド四重奏のうち第三章です。
 シェトランド署のサンディ刑事は祖母のミマに会いに小農場をたずね、そのミマの死体を発見してしまいます。ウサギ狩りの銃弾にあたって亡くなったようです。サンディ刑事はペレス警部とともに捜査し、ミマの死は誤って撃たれた銃弾による事故ということになります。ペレス警部はそこに納得のいかないものを感じもう少し調べてみることにします。ミマの小農場では考古学の学生たちがやってきて遺跡発掘をしていますが、そこから古い骨が掘りかえされています。数百年前の骨に交じって比較的新しい骨があり、はたしてこれはどういう経緯でここにあるのか、島の古い記憶が新たな光を浴びることになります。さらに遺跡発掘現場で新たな死体が発見されます。これは自殺との見方が有力ですが、ペレス警部はこれにも一抹の疑問を感じます。
 事件はだんだんと島の住人の複雑な人間関係から愛憎の感情を明らかにしていきます。そしてはるか昔の疑問へとつながっていき、一つ一つを考えあわせてみると、その出来事の経緯がはっきりと見えてきます。
 
 今回はペレス警部とサンディ刑事が主役で、前2作に登場するテイラー主任警部の出番はなし。サンディ刑事の家族関係などが事件の重要な要素を占めています。それにしても複雑に入り組んでいますね。なかなか関係が覚えられません。シェトランド島の自然や産業などが事件の進展とともに語られて、住民とともに海を眺めている気分になります。ただミステリとしては、事故?自殺?他殺?があいまいなのでちょっとそこをはっきりしてよ、と言いたくなるところもありますが、まぁそれがシェトランド島の特徴なのかもしれず油断なく手掛かりを見逃さないようにしましょう。
 ペレス警部は前2作で関係を育んできた恋人フランとの今後についてくよくよと考えていますがなかなか次の一歩を踏み出すことができず、またそれが悩みとなっていましたが、最後にフランから爆弾があります。
 シェトランド島四重奏の4冊目Blue Lightningはすでに出版されているようですので、翻訳が出るのがたのしみです。
 Raven Black, White Nights, Red Bones, Blue Lightningとどれも色の名前がついているのですが、翻訳の題名も色をいれてほしかった。まぁ、無理な注文かもしれませんが。

■既刊
シェトランド四重奏の二冊は下記のとおり。
大鴉の啼く冬
白夜に惑う夏

主人公: ジミー・ペレス(シェトランド署の警部)
サンディ・ウィルソン(シェトランド署の刑事)
場所:  イギリス、シェトランド島
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小

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