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ワニと読むミステリ(犯罪心理捜査官セバスチャン  上下)

犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)
M・ヨート&H・ローセンフェルト
東京創元社

犯罪心理捜査官セバスチャン 下
M・ヨート&H・ローセンフェルト
東京創元社

読むと、因果は巡る。

(M・ヨート&H・ローセンフェルト著)
 16歳の息子が帰ってこないという母親からの警察への電話。ガールフレンドの家に行くといって出て行った少年はガールフレンドの家から帰る途中そのまま行方不明になってしまいました。捜索が開始されますが、少年は心臓をえぐりとられるといういたましい死体となって発見されます。センセーショナルな事件は国家刑事警察の殺人捜査特別班が担当することになり、優秀なリーダーのトルケルとその4人の刑事が事件に取り組むことになります。そこへ無理やり加わってきたのは元トップ・プロファイラーのセバスチャン・ベリマン。心理学者としては優秀だが自信過剰で嫌みなやつで、協調性はゼロですぐにケンカを吹っかけて、相手かまわず捜査対象者とまで関係を持とうとするセックス中毒者。なんとも迷惑な存在でトルケルたちのチームに波風が立ちそうになりますが、本人はまったくお構いなしで、何やら事件とは関係ないことに関心があるらしくこっそり調べているらしい。 捜査が進むにしたがい、母親や先生たち、それに殺された少年の友人たちと少しずつのウソが発覚し、だんだんと真相に近づいていきます。

読みはじめる前は、また暗い話の続くミステリかなぁと少し心配でした。このところ北欧系のミステリの翻訳本が多くいくつか読みましたが、結構重苦しかったのでこれもそうかもと警戒のような気持ちがありました。が、見事に裏切られ、ニヤニヤしっぱなしの読書となりました。セバスチャンというのが実に嫌なヤツで、チームの協力体制を壊しそうなあんまり近くにいてほしくないような人物なんですが、これがなんだかおかしい。母の死に際してお葬式にも出ないと平気で言うのに、妻リリーと娘サビーネを津波から救えなかったことを夢に見て叫び声をあげるといういろんな人格が混在していて、本人も自分がよくわかっていないようなところがあり、これまたおかしい。
最後のところでは鼻もちならない嫌みなセバスチャンが見事に打ちのめされ、思わず笑い転げそうになりました。
まいったか、セバスチャン!

■M・ヨート&H・ローセンフェルト
 巻末の訳者あとがきによると:
 ミカエル・ヨートは1963年生まれ。映画監督・プロデューサー、脚本家として活躍し、1995年に仲間2人と映像プロダクション会社Tre Vanner社を設立。
 ハンス・ローセンフェルトは1964年生まれ。やはり脚本家だが、テレビやラジオ番組の司会者としても有名で、公営テレビのエンターテインメント部門を率いていたこともある。

 脚本家だからこそ情景がいきいきとして、映像として訴えてくるようなところがあるのでしょうね。人物が動いているのが目に浮かびます。

 主人公: セバスチャン・ベリマン(心理学者。元国家刑事警察の殺人捜査特別班のプロファイラー)
      ヴァニヤ・リトネル(国家刑事警察の刑事)
場所:   スウェーデン、ストックホルム
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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