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ワニと読むミステリ(幽霊の2/3)

読むと、批評も作品の1つには違いない。
 
(ヘレン・マクロイ)
 ヘレン・マクロイの新訳が出たのは実に実に久しぶりのことで、大変うれしいです。
 これは名作の誉れ高い作品ですが、お目にかかる機会がありませんでしたが、ここでようやく会えました。
 1956年に発表されたミステリです。創元文庫創刊50周年記念復刊リクエストで第1位に輝いただけあって、これぞミステリとうなってしまう内容です。
 探偵役は、ベイジル・ウィリング博士で精神科医です。
 人気作家エイモスの別居中の妻が、ハリウッドの契約打ち切りになって、エイモスの元へ帰ってくることになります。二人が結婚直後同居しているときは、エイモスのアルコール中毒が再発し、1行も作品が書けなくなったということがあったので、エージェントのガス、出版社のトニーたちは大いに心配します。案の定、空港に妻を迎えにいったエイモスは、酔って帰ってきます。歓迎パーティで失態を演じないように、ゲームをやることになり、それが題名の“幽霊の2/3”。このゲーム中に、みんなが見ているところでエイモスが毒殺されてしまいます。
犯人はパーティに来ていた人の中の誰かであることは間違いないが、ゲームをしていた人たちは誰もエイモスが毒をもられるところを見ていない。殺人の手段も推理の1つですね。
 なぜベストセラー作家が殺されなければならなかったのか。
 常識からは考えられない高すぎるエージェントのマージン、出版社の取り分も破格の高さ。しかしエイモスはそれにまったく関心がなく、変える気がまるでなく、戻ってきた妻を怒らせてしまいます。だいたいこういう金にうるさい妻が出現すると、これまでの危うい均衡が崩れますね。
 警察に協力して捜査にあたったベイジルはだんだんとこの作家をめぐるとんでもない事実を探り当てていきます。
 さすがヘレン・マクロイ。決してだれることなく、最後まで読ませますよ。

 ヘレン・マクロイの作品は、これまで読んだのは3冊です。
   読後焼却のこと
ひとりで歩く女
家蠅とカナリア ← これは復刊されていますね
 2009年冬には、「殺す者と殺される者」が刊行予定だそうです。たくさんのマクロイ作品が復刊されることを望みます。

■幽霊の3分の2
このゲーム中に人気作家エイモスが毒殺されます。
ゲームは単純のようです。本文と解説によると、親になった者が各プレイヤーに順番にクイズを出し、プレイヤーがそれに答えられないと、1回目は幽霊の3分の1、2回目は幽霊の3分の2となり、3回目に間違うと幽霊の3分の3で完全な幽霊になり、ゲームから脱落するというものです。最後まで勝ち残ったプレイヤーが次の親になります。問題を出すほうも、問題を考えないといけないから知識がいりますね。

主人公: ベイジル・ウィリング博士(精神科医) 
場所:  USA、コネチカット州
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小

幽霊の2/3 (創元推理文庫)
ヘレン・マクロイ
東京創元社

推理を楽しむために


家蝿とカナリア (創元推理文庫)
ヘレン・マクロイ
東京創元社

これは復刊されています
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