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ミステリ専門書店(翻訳もの限定)
ワニと読むミステリ(パイは小さな秘密を運ぶ)
![]() | パイは小さな秘密を運ぶ (創元推理文庫) |
アラン・ブラッドリー | |
東京創元社 |
![]() | The Sweetness at the Bottom of the Pie: A Flavia de Luce Mystery |
Alan Bradley | |
Bantam |
読むと、イリュージョンにはだまされてしまいます。
(アラン・ブラッドリー著)
11歳の化学大好き少女フレーヴィアのシリーズ第1作めです。ワニは、2作目の人形遣いと絞首台から先に読んでしまいました。
舞台は1950年代に設定されています。第二次世界大戦直後ですね。
フレーヴィアは化学実験に夢中で、なんでも知りたがりです。
ある朝、キッチンのドアステップにコシギの死体が置かれているのが見つかります。フレーヴィアの父はそれを見て、息をのみ、驚愕します。晩には父が何者かと口論しているのを覗き見、そして翌朝その口論の相手の男がキュウリ畑で死んでいるのを見つけます。父の古い知り合いらしいこの男は何物?
父は殺人の罪で拘束されてしまいます。フレーヴィアは父の無実を信じて事件解決に奔走します。
イギリスの田舎町のゆったりした感じが良いですね。フレーヴィアは三姉妹の末っ子ですが、上二人と何かというと仲たがいしています。この本の最初はまさしく激しい姉妹ゲンカから始まります。なんとかして仕返しをしようとするフレーヴィアが考えた方法とはなんでしょう。
ケンカをしながらも助けたりするところが家族なんでしょうね。
この殺人事件の発端は、父の学生時代にさかのぼります。自殺したラテン語教師に本当は何が起こったのか。
フレーヴィアが父の無実を晴らそうとして一生懸命にかけまわるところはちょっとほろりとしますよ。
かじりとられたパイが事件の鍵をにぎります。そしてきわめて珍しい貴重な切手も。
2007年CWAデビュー・ダガー賞受賞作です。
作者はカナダ生まれで、イングランドには授賞式まで行ったことはなかったそうです。行ったことがないから理想的な田舎町を創造できたのかもしれませんね。
■グラディス
フレーヴィアが乗っている自転車は亡き母ハリエットのものでした。
2作目で、フレーヴィアがそれをグラディスと呼んでいるので、そのような自転車の種類ででもあるのかと思っていましたが、1作目にその名前の由来がありました。
ハリエットが、この自転車をリロンデル(つばめ)と名付けていたのを、フレーヴィアがグラディスと改名したのでした。古い三速のBSAキープフィットです。
主人公: フレーヴィア・ド・ルース(11歳の化学大好き少女)
場所: イギリス
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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