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ワニと読むミステリ(不思議なキジのサンドウィッチ )

不思議なキジのサンドウィッチ (創元推理文庫)
アラン・ブラッドリー
東京創元社

The Dead in Their Vaulted Arches: A Flavia de Luce Novel
Alan Bradley
Bantam

読むと、近づくものは油断がならない。

(アラン・ブラッドリー著)
 
 1951年の春、11歳の化学大好きな探偵少女フレーヴィアは、長く行方不明だった母ハリエットの帰還を家族とともに駅で待っています。そこにはハリエットを偲ぶ村の人たちとともにウインストン・チャーチルの姿も見られます。イギリスの村ビショップス・レーシーに汽車が到着するときに、背の高い見知らぬ男がフレーヴィアに近づいてきて謎のメッセージを彼女の耳にささやくのです。その直後、男は死んでいました。群衆の誰かに押され、列車の下敷きになっていたのです。いったい彼は誰なのか?彼の言葉は何を意味しているのか?なぜフレーヴィアに? ド・ルース家の古びたバックショー荘でフレーヴィアは秘密の場所に隠されていたフィルムのリールを発見し、それを手がかりにしてド・ルース家の秘められた歴史を解きほぐしていくことになります。そしてハリエットの愛した陽気な気分号も弔問に訪れ、フレーヴィアは空へと飛び立ち壮大な眺めの中に殺人者の姿を見出します。

 本の帯に「大団円!」とあったので、これはフレーヴィアのシリーズが終わってしまうのかと懸念しがっかりしてしまいましたが、安心してください、まだまだ続きます。春にはすべての謎が解けるの最後で行方不明だった母ハリエットが見つかったという衝撃的な父の言葉で終わるのですが、この作品ではハリエットの死の真相のみならずハリエットが戦時中にいかに勇敢な活躍をしていたかということが語られます。ちょっとびっくり。そしてフレーヴィアのおばフェリシティも諜報活動に関係していたらしいこともしめされ、フレーヴィアはフェリシティから重要な任務を知らされます。話は思わぬ方向に向かいますね。
 今回はハリエットの死の真相について解き明かすのがメインで、さらにハリエットの愛した陽気な気分号も登場しド・ルース家のいろいろな過去も語られ、フレーヴィアが少しも気がつかないところで父の支援があったことなどちょっと感動ものです。フレーヴィアがいろいろな人からお母さんにそっくりだと言われて涙するあたりはこれまでの作品でフレーヴィアだけが母のぬくもりを知らないで寂しい思いをしていたのでなんだかこちらまで涙です。今回は謎解きの要素は希薄ですが、これからのフレーヴィアにつながると思えば納得です。劇的に世界が変わり新しい教育をうけることになるフレーヴィアの次の作品が楽しみです。次作ではフレーヴィアは12歳になっているそうです。新しい環境でのお話はどんなものでしょうか。

■既刊
 これまで5作品あります。
人形遣いと絞首台
パイは小さな秘密を運ぶ
水晶玉は嘘をつく?
サンタクロースは雪のなか
春にはすべての謎が解ける

主人公: フレーヴィア・ド・ルース(11歳の化学好きの少女)
場所:  イギリス、イングランド
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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