踏青_徒然日記

徒然なるままに日暮しキーボードに向かいてよしなしごとを...

虎が雨

2009年05月31日 | 俳句

去ぬる人の破顔浮かびぬ虎が雨
  いぬるひとの  はがんうかびぬ  とらがあめ

<一言>
雨催いの中、先日亡くなった句友が好きだった錦木が満開の花をつけた。咲いたのさえ気づかぬほどの地味な花だがなぜか好きだと言っていたっけ・・・
蘊蓄の好きな友のこと、きっと、この雨はお前の涙か?などと言って笑っていることだろう。

・季語は、虎が雨’で、夏’です。
虎が雨とは、5月28日に降る雨のことで、この日討たれた曽我兄弟の、兄十郎の愛人だった大磯の遊女「虎御前」がその死を悼んで流した涙が雨となって降るのだという。

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鉄線花

2009年05月30日 | 俳句

鉄線花の見上げし宙の暗きまま
  てっせんの  みあげしそらの  くらきまま

<一言>
今年、思わぬほどの花をつけた鉄線、その沁みる様な青は快晴の空を思わせるが、今日もまた小ぬか雨。昼過ぎに雨は止んだが晴れ上がる素振りもなし。どうやら明日一杯はこの空模様が続くらしい・・・

・季語は、鉄線花’で、夏’です。

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手毬花

2009年05月29日 | 俳句

森暗し灯るごとくに手毬花
  もりくらし  ともるごとくに  てまりばな

<一言>
梅雨の走りかと思わせるように陰鬱な雨が降り続いている。旅の疲れか、雨のせいか何をやるのも気が重い。林の外れの藪手毬の花だけが、灯がともるように明るく咲いている。弾むようなその姿は、沈んだ心も少しは浮き立たせてくれるようだ。

・季語は、手毬花’で、夏’です。

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雪渓

2009年05月28日 | 俳句

空蒼し雪渓眩し白根山
  そらあをし  せっけいまぶし  しらねさん

<一言>
ゴンドラを降りるとそこは雪渓のただ中。スキーで訪れた時の眩しさこそないが、谷間を埋めた雪渓はなんとも清々しい。吹き下ろす風は、山頂からというより青空から流れて来てでもゐるようだ。

・季語は、雪渓’で、夏’です。

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草津吟行

2009年05月26日 | 旅行

涼風に湯の香乗り来る草津かな
  りょうふうに  ゆのかのりくる  くさづかな

<一言>
句会の吟行で、群馬の草津から白根山の湯釜まで出かけた。出発の25日朝は小雨が降る天候だったが、東京を離れるころから天気は回復。普段の行いの良さがわかる(笑)


湯釜付近で見かけて樹高50センチほどの桜、峰桜ではないかと思うが・・・
どなたかご存知なら教えてください。

・季語は、涼風’で、夏’です。

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五月雨

2009年05月24日 | 俳句

ビオラの音揺れて卯の花腐しかな
  ビオラのね  ゆれて うのはなくたしかな

<一言>
今日はあいにくの雨模様のため足止め。久しぶりに弦楽四重奏などを聞く。たまにはこんなのんびりした気分に浸るのも良いか。せっかくの卯の花が散ってしまうのが気がかりだが・・・

・季語は、卯の花腐し’で、夏’です。

卯の花腐し=五月雨の異称、美しく咲いた卯の花を腐らせてしまうのでは、といった先人の優しさの感じられる季語です。

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バラの花

2009年05月23日 | 俳句

薔薇垣へ雨後の光の煌めけり
  ばらがきへ  うごのひかりの  きらめけり

<一言>
西日本は雨、沖縄では梅雨入りとか。関東も不安定な天候が続いている。このところ何かと忙しい日々が続いているが、合間を見て躑躅の剪定を行った。造りかけのスズメバチの巣を見つけて驚いたが、地表20センチほどの低い位置にあった。駆除をお願いした業者は、「今年は雨が少ないのでは、」という。
以前、カマキリの卵が低い位置に産み付けられている年は雪が少ない。という話を聞いたことがあるが、虫たちには、そう言った自然界の何かを感じ取る能力が備わっているのだろうか・・・

・季語は、薔薇’で、夏’です。

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桑の実

2009年05月22日 | 俳句

捨畑を訪ふひともあり桑いちご
 すてはたを  とふひともあり  くはいちご

<一言>
桑の実の熟す頃となった、子供の頃はどこへ行っても桑畑があり、子供らは口も手も紫色に染めて食べたものだが、今では実の成る桑の木はあまり見かけなくなった。私は写真を撮るために記憶している場所へ出かけるがそこで毎年出会うご夫婦がいる。採る人も無くもったいないのでジャムにするのだと言う。
私は、「昔は学校が終わるのを待ちかねて畑へ走り、口を紫色にして食べましたよね」などと毎年同じ話をして別れる。桑の実は、心も甘酸っぱくしてくれる実である。

・季語は、桑いちご’で、夏’です。

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どくだみの花

2009年05月21日 | 俳句

蕺菜の花ごと干して尼の寺
  どくだみの  はなごとほして  あまのてら

<一言>
どくだみが花を付け始めた。陰干したものを風呂に入れると汗疹が治るとか、お茶にして飲むと体に良いとかで民間医療では欠かせない植物だったようで「十薬」の異名を持つ。独特の匂いがするが、下手な沐浴剤を入れるよりずっと効果がありそうな気がするんで、ぜひ一度お試しあれ。

・季語は、蕺菜(どくだみ)の花’で、夏’です。

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柿の花

2009年05月18日 | 俳句

庇より滴光りぬ柿の花
  ひさしより  しずくひかりぬ  かきのはな

<一言>
雨上がりの若葉は美しいが、柿の葉ともなるとその柔らかな緑は一層際立っている。そんな葉の間で隠れるように咲く花は、同じような緑のため咲いてもほとんど気づかない。散り際になって黄色から茶色に変わるためやっとその存在に気がつく程度だ。この控え目な花から、秋の里を代表するような実が成るとは、世の中は解らないものだ。

・季語は、柿の花’で、夏’です。

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