青ナツメ

思ひではみな甘きもの青棗
　　おもひでは　　みなあまきもの　　あをなつめ

＜一言＞
公園で棗の実を見かけた。もうしばらくして熟れたものを子供の頃はよく捥いで食べたものだ。あの頃食べた果物はどれもみんな甘かったものだ。

酢橘

もらひたる酢橘ちひさし魚買ふ
　　もらひたる　　すだちちひさし　　さかなかふ

＜一言＞
四国のお土産に酢橘をいただいた、小さな緑の香り玉。そうだ明日はさんまを買ってこよう。

コスモス

顔に受くコスモスの丘ゆする風
　　かほにうく　　コスモスのをか　　ゆするかぜ

＜一言＞
暑さ寒さも彼岸まで’というが、実際こうも違うものか。
ほんの二、三日前の暑さから急転直下、
季節が８月から一気に１１月になったような感覚を持つ。
やっと秋が来たと喜ぶべきなのか・・・・・

松風草

コンサートはねて松風今日の月
　　コンサート　　はねてまつかぜ　　けふのつき

＜一言＞
昨日は中秋の名月、残念ながら写真が撮れなかったので
月には松風、ということで松風草の可憐な花で・・・

藤袴

渡りたる土橋も二人藤袴
　　わたりたる　　どばしもふたり　　ふじばかま

＜一言＞
夏だか秋だかわからない陽気の中で、
少しでも秋を感じたいものだと久しぶりに家人と万葉公園へ、
こんな天候でも大自然は、ゆっくりとそしてしっかりと歩を進めていた。

秋の七草の中で、一番気に入っている藤袴です。

数珠玉

数珠玉の硝子となりぬ二つ三つ
　　じゅずだまの　　がらすとなりぬ　　ふたつみつ

＜一言＞
蓮田の畦の数珠玉が、実り始めた。
昔はこの実が固くなるのを待ちかねるように女の子たちが摘んで
お手玉などを作って遊んでいたものだが、
もうそういった遊びははやらないのか、この実を採ろうとする人も居なくなった。

鶏頭

鶏頭や葉柄にも紅にじませつ
　　けいとうや　　はがらにもべに　　にじませつ

＜一言＞
公園の木々はもううっすらと色づき始めた。これで残暑も収まるのか、鶏頭の紅も柔らかな秋の色と思える。

女郎花

ゆく風のあたりを染めぬ女郎花
　　ゆくかぜの　　あたりをそめぬ　　をみなへし

＜一言＞
この数日で、急に風が心地よくなった。野原からは、あのぎらぎらした光がいつの間にか消え去り、
草の花を過ぎて行く風は何とも心地よい。
たったいま女郎花を過ぎた風が、黄金色に輝いてあたりを染めたのかもしれない。

葛の花

奔放に峪おほいけり葛の花
　　ほんぽうに　　たにおほいけり　　くずのはな

＜一言＞
吹き荒れた台風の後、一気に秋めき、朝夕の涼やかな風にほっとした気分を感じている。
秋の七草の始めは、夏の気配を引きずっている葛の花から。

秋

山の辺に街の音とどき秋の昼
　　やまのべに　　まちのねとどき　　あきのひる

<一言>
9月に入ったというのに、猛暑日が続き秋という実感がないと思っていたが、散歩の雑木山からいつの間にやら蝉の声が消え、隣町の喧騒が微かに聞こえるようになっている。確かに季節は移っているということか、