メタボなる腹の嬉しき布袋草
めたぼなる はらのうれしき ほていそう
<この俳句の作句意図>
ぷかぷかと池の水面に浮かぶ布袋草。茎のふくれたさまが布袋様のお腹を想わせるからの命名らしい。してみると、最近家族の間でとみに騒がしいわが腹もひょっとするとめでたいのでは?
・季語は、布袋草’で、夏’です。
メタボなる腹の嬉しき布袋草
めたぼなる はらのうれしき ほていそう
<この俳句の作句意図>
ぷかぷかと池の水面に浮かぶ布袋草。茎のふくれたさまが布袋様のお腹を想わせるからの命名らしい。してみると、最近家族の間でとみに騒がしいわが腹もひょっとするとめでたいのでは?
・季語は、布袋草’で、夏’です。
虎尾草や雨呼ぶ風の匂ひたる
とらのおや あめよぶかぜの においたる
<この俳句の作句意図>
花が咲き終わるのを待とうという訳ではあるまいが、このあたりは、今年まだ下草刈りが始まらない。おかげさまで虎尾草の花がたっぷり楽しめそうだ。見るからに獣の尾に見えるこの花、風に揺れるとなにやら生臭い匂いでもしてきそうな・・・
・季語は、虎尾草(とらのを)’で、夏’です。
倦怠の雲留まりぬ合歓の花
けんたいの くもとどまりぬ ねぶのはな
<この俳句の作句意図>
予報では今日一日持つはずの空が、昼からは一面の曇り空になった。かといってすぐに降りそうなほど暗くもなく、日の注ぐ切れ間もない。花は見る者の心を映すのか、今日の合歓の花は、場末の踊り子のけだるい眉毛を思はせる・・・
・季語は、合歓の花’で、夏’です。
昼顔や限りある世を薄化粧
ひるがおや かぎりあるよを うすげしょう
<この俳句の作句意図>
夏になると大輪の派手やかな花が目に付くようになるが、照りつける太陽の下でたった一日で散ってゆく花も多い。昼顔も野原や草藪などで咲くそんな一日花だが、近づいて見れば、透明感のある薄紅色は如何にも清楚で美しい。目立たぬように精一杯生きる。そんな生き方もある・・・
・季語は、昼顔’で、夏’です。
山の娘が香水なりき髪飾り
やまのこが こうすいなりき かみかざり
<この俳句の作句意図>
花むくげ裸わらはのかざしかな 芭蕉、
昔は、野の花を髪に挿して遊ぶ女の子たちをよく見かけたものだが、最近はそういった遊びはないようだ。髪を染め、爪まで塗りたくる前にぜひ”かざし”という言葉ぐらいは覚えて欲しいものだが・・・
・季語は、香水’で、夏’です。
薄あかね葉蔭に揺れて額の花
うすあかね はかげにゆれて がくのはな
<この俳句の作句意図>
薄紅色の額紫陽花が木陰に揺れる。濃紫の花が多い中で目を引く色だ。どうやら雨も上がったようだし、近々高幡不動の紫陽花祭りでも訪れてみようか・・・
・季語は、額の花’で、夏’です。
夏萩やハルンカップの掌に温く
なつはぎや はるんかっぷの てにぬくく
<この俳句の作句意図>
尿管結石とやらで這いずるように病院へ、点滴やら痛み止めやらでなんとか治まったものの、医者は、貴方の年齢だと前立腺も検査した方がよい、とのたまう。あ~歳は取りたくない。窓辺には萩の花、まだ秋には早いだろう、もっとゆっくり行こうぜ・・・
・季語は、夏萩’で、夏’です。
青鬼灯傘に幼き兄妹
あおほうずき かさにおさなき あにいもと
<この俳句の作句意図>
雨に濡れた青鬼灯を見ると必ずと言ってよいほど思いだす景色がある。勝手口の排水路の土手には、夏になると鬼灯がたくさんぶら下がっていたっけ。番傘を打つ雨の音、貧しくとも仲の良い姉弟だった・・・
・季語は、青鬼灯’で、夏’です。
泰山木の花ほころびぬ雲間光
たいさんぼくの はなほころびぬ くもまこう
<この俳句の作句意図>
昨夜からの雨も昼過ぎにはやみ、薄日が差し始めた。公園の泰山木が大きな宝珠形の蕾をゆっくりと開き始めている。見事な花だが、咲き位置が高くて写真の撮りにくいのが難点・・・
・季語は、泰山木の花’で、夏’です。
風音の如く滑りぬ赤楝蛇
かざおとの ごとくすべりぬ やまかがし
<この俳句の作句意図>
時ならぬ木枯らしが枯れ葉を吹き寄せるような音にふと脇を見ると、大きな蛇が山道を横切り藪へと入ってゆくところ。鞭のような強靭そうな体をくねらせて枯れ葉の上を滑るように進む。たぶん赤楝蛇と思うが何とも力強い姿である。
・季語は、赤楝蛇(やまかがし)’で、夏’です。