葛の花雨の匂ひの風に立つ
くずのはな あめのにおいの かぜにたつ
<この俳句の作句意図>
どうもすっきりしない天気が続くが野山には確実に秋が近づいたようだ。桔梗や女郎花に誘われるように葛の花が長い花穂を立て始めた・・・
・季語は、葛の花’で、秋’です。
葛の花雨の匂ひの風に立つ
くずのはな あめのにおいの かぜにたつ
<この俳句の作句意図>
どうもすっきりしない天気が続くが野山には確実に秋が近づいたようだ。桔梗や女郎花に誘われるように葛の花が長い花穂を立て始めた・・・
・季語は、葛の花’で、秋’です。
薄衣を夜雨に烏瓜の花
うすぎぬを よさめに からすうりのはな
<この俳句の作句意図>
雷鳴と豪雨の夜が続いているが、たまたま今夜は静かな夜、外に出て見れば薄衣をたらしたような霧雨が降ってはいるがこれならもしやと思い近所の公園へ...、お目当ては夜の天使。
・季語は、烏瓜の花’で、夏’です。
握りしままひとひ終りぬ秋扇
にぎりしまま ひとひおわりぬ あきおうぎ
<この俳句の作句意図>
今日は久しぶりに都心へ出かけて、会議へ出席することとなった。まだまだ暑いのではと思って出かけたが、途中で雨は降りだすは、ビル内は適度な冷房。結局、我が家に居るよりも涼やかな一日となってしまった。
・季語は、秋扇’で、秋’です。
大空の蒼はてしなし花野径
おおぞらの あおはてしなし はなのみち
<この俳句の作句意図>
この広い野原いっぱい咲く花を
一つ残らずあなたにあげる
赤いリボンの花束にして
・・・そんな歌が脳裏をかすめる花野の道。ここ数日、どんよりとした雨もよいの日々が続いているが、もうじき抜けるような秋の青空が戻ってくるだろう。
我が家の小さな花野の種がはるか大空を越えて和歌山へ辿りついたとか、
立派に咲いてくれると良いが、来年の花の便りが待ち遠しい・・・
・季語は、花野径’で、秋’です。
応答なき真岡の電話断腸花
おうとうなき まおかのでんわ だんちょうか
<この俳句の作句意図>
太平洋戦争の敗戦時、樺太に侵攻したソ連軍を前に、集団で服毒自殺した真岡郵便局の交換手たち。史実としては知っていたが、TVドラマで観れば哀れさもひとしお、二度とこんな事が有ってはならないが、現実には今も世界のどこかで同じようなことが繰り返されている。人間とはなんと情けない生き物なのだろう・・・
・季語は、断腸花(秋海棠)’で、秋’です。
秋簾やはらかき日にほつれけり
あきすだれ やわらかきひに ほつれけり
<この俳句の作句意図>
ひと夏の間、暑い日を遮ってくれた簾も、このところの涼しい風にほつれが見え始めた。週間予報によれば、来週あたりには又暑さが戻るとか。もうすこし外すのは待ってみようか・・・
・季語は、秋簾’で、秋’です。
喧騒に抱かれし孤独秋の風
けんそうに だかれしこどく あきのかぜ
<この俳句の作句意図>
今日は24節季のうちの処暑。暑さも収まるころとか、朝からの小ぬか雨のせいか昨日までの蝉時雨もこころなし小さくなったようだ。道端や木陰には、もう飛ぶことのできなくなった蝉の姿がそこかしこに見受けられる。思えばあの喧騒も、この蝉たちの命の叫び。こうして一匹づつ孤独に、そして土に還ってゆく。季節はこうして廻って行くのだ・・・
・季語は、秋の風’で、秋’です。
唐黍のばさりと風を払ひけり
とうきびの ばさりとかぜを はらいけり
<この俳句の作句意図>
列島からなかなか離れない低気圧のためか、風の強い日が続く。しかし、秋の風と呼ぶにはいかにも暑い。畑の玉蜀黍の葉も、暑そうにばさりばさりと風を払っているようだ。
・季語は、唐黍’で、秋’です。
きちかうや野に在りし日のふつふつと
<この俳句の作句意図>
兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川・・・久しぶりの故郷を訪ねたためか、野の花の一つにも幼いころの思い出が甦る。明日は市民農園で種蒔きの準備でもしようか・・・
・季語は、きちかう(=桔梗)’で、秋’です。
風問うに頭振りけり赤トンボ
かぜとうに かぶりふりけり あかとんぼ
<この俳句の作句意図>
昨日から急に涼しくなったせいか、赤トンボが目立ち始めた。小枝や棒の先で休む姿は、久しぶりに見るせいもあってか非常に愛らしい。時たま頭をくるりと回す姿に、キャッチャーと球種の相談をするピッチャーを連想してつい可笑しくなった・・・
・季語は、赤トンボ’で、秋’です。