すひかづら含みてたどる里の道
すひかづら ふくみてたどる さとのみち
<一言>
忍冬の花、咲き始めは白く、後に黄色く変わるので金銀花ともいう。つまんで舐めると甘いので昔は子供がつまんで吸ったので、すいかづらと云う。ちょっとなめてみると、懐かしい故郷のあの小路に戻れるような、そんな気がする。
・季語は、すひかづら(忍冬)’で、夏’です。
すひかづら含みてたどる里の道
すひかづら ふくみてたどる さとのみち
<一言>
忍冬の花、咲き始めは白く、後に黄色く変わるので金銀花ともいう。つまんで舐めると甘いので昔は子供がつまんで吸ったので、すいかづらと云う。ちょっとなめてみると、懐かしい故郷のあの小路に戻れるような、そんな気がする。
・季語は、すひかづら(忍冬)’で、夏’です。
咲きしより風に急かるるえごの花
さきしより かぜにせかるる えごのはな
<一言>
えごの花が咲きだしたと思ったら急に肌寒い日が続き、何やら季節が後戻りをしているような感じさえする。初夏を代表するようなこの花も、冷たい西風に吹かれてもうこぼれ始めた。昼にはコジュケイも鳴いていたし、明日は雨になりそうだ・・・
・季語は、えごの花’で、夏’です。
峯つなぐ修験の道や新樹光
みねつなぐ しゅげんのみちや しんじゅこう
<一言>
すっかり新緑の季節となり、小鳥の囀りを聞きながらの山歩きは心も洗われるようだ。高尾山は天狗を祀る修験の山で、時折法螺貝を吹きながら歩く僧達を目にすると自分も修行でもしているような気持ちになるから不思議である。
・季語は、新樹’で、夏’です。
思い出をたどる窓辺や朴散華
おもひでを たどるまどべや ほうさんげ
<一言>
兎のぴー太が死んだ。享年八歳、ネザーランドドワーフで、あのピーターラビットのモデルだというところからの命名だった。おっとりしているようで意外に短気。名前を呼ぶと振り返り、何度も呼ぶと仕方なさそうにそばに寄ってきた。
あごの骨に持病があり、医者通いが多かったが元気に部屋中を走り回っていたのだが・・・
動物ねむりの里’という小さな葬儀場でお別れをした。
純白だった朴の花が、薄く汚れて風に舞う林の中でのお別れだった。
・季語は、朴散華’で、夏’です。
鈴蘭や人恋ふ鐘の霧ケ峰
すずらんや ひとこふかねの きりがみね
<一言>
最近はごく身近な場所でスズランの花をよく見かける。昔は信州の霧ケ峰辺りまで出かけてやっと目にしたものだが、いまや場所も季節さえも無視していろんな花が見られるようになってしまった。これは喜ぶべきか憂うべきかとんと解からなくなってしまった。
ともあれ、霧ケ峰や美ヶ原へ出かけて、山野辺に咲く小さな釣り鐘のような鈴蘭を見つけた時の感動をもう感じられなくなってしまったことだけは確かだ。
そう言えば、霧ケ峰の鐘は、濃霧で迷いそうなハイカーを救うための鐘、いわば山の上にある音の灯台とでもいうべきもの。その鐘に小石を投げ付けて鳴らしたものだが、若気の至りというか、今は懐かしい思い出である。
・季語は、鈴蘭’で、夏’です。
淡き香や海無き里の花蜜柑
あわきかや うみなきさとの はなみかん
<一言>
気温30度!5月10日であることに間違いはない・・・はず。しかし・・・・・
今年も蜜柑が白い花をつけた。昨年の果実は、酸味が強くていまいちだったが、この気候が普通のことなら、じきに八王子でも甘い蜜柑が実るようになるかもしれない。
・季語は、花蜜柑’で、夏’です。
白砂に著るき箒目五月晴
しらすなに しるきはうきめ さつきばれ
<一言>
今日は久しぶりの快晴、吹く風も心地よい。お寺さんでは修行僧が庭の白砂に箒できれいな波模様を付けている。いつもより余計に清がしさを感じるのはこの天候のせいかもしれない。
写真は境内で見ごろを迎えた石楠花です。
元来、五月晴とは、梅雨の間の晴れ間を言うが、昔は陰暦だったため皐月と言えばもう一ヶ月ほど後のことだったので実感として定着したのだと思われるが、陽暦の現代では、梅雨晴れ’とか梅雨晴れ間’とするのが望ましいのではないかと思っている。
そんな訳で、今日の晴れ間は「五月晴」でよい。と、これは私の独断(笑)
・季語は、五月晴’で、夏’です。
夕虹や木の葉浮かぶるにはたづみ
ゆうにじや このはうかぶる にはたづみ
<一言>
夕べから降り続いていた雷を伴った激しい雨も夕方には上がり、東の空に虹が懸かった。古来より、夕方の虹は快晴の前触れというが、天気予報でも明日からは高気圧におおわれて気温も上がり、久しぶりの夏日になるという。
ともあれ、今年初めて見る虹はなにか良いことの起きそうな、そんな予感がする・・・
・季語は、夕虹’で、夏’です。
うち振らるサーファーの如朴の花
うちふらる サーファーのごと ほうのはな
<一言>
五月雨と呼ぶには少し早いが、太平洋上を通過する低気圧の影響で明日までは雨が降ったりやんだりのようだ。満開の朴の花は、大きな葉が風にあおられて波乗りのよう、もう少し花を楽しめるよう、なんとか風もおさまってもらいたいものだが・・・
・季語は、朴の花’で、夏’です。
せせらぎに和す鳥の声谷うつぎ
せせらぎに わすとりのこえ たにうつぎ
<一言>
いつの間にか鳴き方のうまくなった鶯が、澄んだ声で谷渡りを聞かせてくれるようになった。暦の上では立夏を過ぎたばかりだが、里山はすっかり初夏の装い、良い季節になった・・・
・季語は、谷空木’で、夏’です。