Saitolab 「なにもせんほうがええ」

婚しては妻に従い ボケては猫に従う

開高健 機材拝見

2022年08月28日 | 書籍・映画・音楽
7月にロードバイクで開高健記念館を訪れた。気になっていた案件を調べる目的があった。その目的とは作家の書斎に置かれていたラジカセ。万年筆、ライターに釣り道具と物に拘っておられた作家が使っていたラジカセは一体どんなものだったのか。雑誌対談などの写真の隅にチラリと写っていたりすれどさっぱり機種の特定に至らず。ラジカセブーム全盛期をリアルタイムに経験しているので大概の機種はチラ見しただけで機種を言い当てる自信があった。しかし写真でみるそれは記憶のデータベースにひっかからない。ラジオのチューニング窓に少し特徴があり、カセットテープ窓が中央になくオフセットされている。ステレオかモノラルかさえ判別できなかった。そこで記念館を訪れ、他に見学者が誰もいないタイミングを見計らい管理者に撮影のご相談をさせていただく。作家の書斎見学位置からはラジカセが死角となっていたのだ。撮影の快諾をいただき書斎のラジカセを縁側から撮影させていただく。現物を見てもやはり見たことのない機種だった。


開高健 氏のラジカセ(ラテカセ)TR-3010


幸いなことに本体正面に型番の記載を見つける。メーカーはナショナル。型番はTR-3010、なんとラテカセだった。調べたところでは1978年度のグッドデザイン賞もとっていた。ラジオのチューニング窓が変則配置だったのはラジオとテレビで別枠のチューニング窓が分割配置されていた所以。テレビはブラウン管が筐体内部で縦置きレイアウト。ミラー反射したテレビ画面はフレネルレンズで拡大される仕組み。テレビを観ないときはフードパネルを畳んで画面が隠れる。記念館のラジカセはフードのアルミパネルが剥がれていた。この機種は経年劣化で接着面が硬化し装飾パネルが剥がれるようだ。ヤフオクなどの同型機出品をみてもパネルが剥がれた商品ばかりだった。発売から既に40年以上が経過しているので仕方ないとも思う。作家の創作活動にテレビは不要だったと思われる。たまの気晴らし程度にこの小さな白黒画面でテレビを観ておられたのだろうか。書斎にこもり大作家がこの小さな画面でテレビ視聴されていた姿を想像すると少し面白い。この7月の訪問時にはタイミングよくステレオラックも廊下奥に出ていた。こちらも撮影し帰宅後に不鮮明な画像から機種を特定してみた。


メーカーは全てパイオニア製


パワーアンプ:M-1500 
プリアンプ:C-73
チューナー:F-73
テープデッキ:CT-8

作家の小説やエッセイに音響機材に関する記述は少なかったように思う。書斎のシステムコンポにはターンテーブルも見当たらなかった。専らラジオとカセットテープを楽しんでおられたのかしら。ラジカセとシステムコンポの購入時期が1978年頃と同じタイミングというのも少し興味深い。因みに東京杉並から茅ヶ崎に移り住まれたのは1974年(昭和49年)のこと。書斎の壊れたラテカセだが願わくばワシが修理してあげたいな。




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