名倉砥石を買った業者から、この鋸を買った。 二丁で700円だった。 私は鋸を見る目は持たないから、こう言う骨董市(ボロ市)では 普通は買わない。 しかし今回は何となく買ってしまった。 かなり赤錆も出て居たが、それは取れると思った。 私の郷里山梨の隣り長野県 諏訪の鋸だから何となく身近に感じた。 実家から車で一時間も掛らない所だ。 それにこの鋸はさびてはいるが、刃の欠けは無い様だ。 信州チノ 玉川 両角倉蔵 と銘が有る。茅野の玉川村 両角さんが作った鋸だろう。 平澤一雄著 鋸の本を見ると 両角 倉蔵は三代まで載っている。 その何代目が作った物か不明。 柄は桐で根元部分に蔓が巻いてある。柄は若干 太めな感じで 素朴な田舎の鋸と言う所か。 このままでも一応使えるが 取敢えず目立てに出して見ようかと思う。 首の部分に銘と一緒におかめの様な顔のマークが有る。昭和30年代から40年代 諏訪鋸の生産は盛んだったらしいが、当時はまだ学生だったし、全く興味も無かった。 とにかく寒い所で 冬には行きたくない所だったが 良く見ておけば良かったな。
ボロ市は生活物資を買うような市では無く、まあ一種の遊び市だろう。 どんな物が出て来るか判らないから、取敢えずこまめに歩いて見て廻るより仕方無い。 通りの一番外れの 業者からこの名倉砥石を買った。 300円だった。 名倉砥石とは 砥石の表面を摺って、目詰まりを防止して、研ぎを円滑にすると言う所かな。 見るとオイルで砥石をすったらしく、鉄粉とオイルで汚れたえたいの知れない格好だ。 黒名倉は持っているが、余り良い物では無い。 これは黄色いような 赤いような色だが 正式に何と言う物か不明。 コマとかボタンとか層で色々呼び名が有るように聞いている。 そんな大した物では無いかも知れない。 業者は床屋さんが持っていた物だと言っていた。 2~3個転がって居たから、この値段なら全て買えば良かったかも知れない。 家で先日買った仕上砥石を摺ってみたが滑らかな感じだ。 まあまあ使えそうだ。 もう30年以上前になるが、黒名倉を道具屋で購入した。 その時白とダイダイ色のぶちなった名倉砥石が有り、綺麗なのでこれを買おうとしたら 8千円位した。 当時私に買える金額では無く 諦めたが あれに似た物なら嬉しい。 しかし全身黒く汚れて 普通ならちょっと手が出にくい代物だ。 まあこの値段なら買って置いて良かったと思う。