14,15日と京都へ行った。
演劇鑑賞会が毎年催している「新春の南座興行」を楽しむツアーだ。
今年の出し物は前進座公演、いのうえひさし作『たいこどんどん』。
清之助 嵐圭史
桃八 中村梅雀
この作品は井上ひさしが直木賞を受賞した『江戸の夕立』を
自ら劇化した音楽劇とも言えるもので、作曲はいずみたくが
担当している。
時代は幕末。
江戸日本橋の薬種問屋の若旦那清之助と太鼓持ちの桃八が乗った舟が
嵐にあい流されて東北にたどりつく。
東北各地を九年間も放浪し珍道中を繰り広げる。
やっと帰ったとき、薬問屋はつぶれて跡形もなく
江戸は東京に変わっていた。
この珍道中を、歌あり踊りあり下駄タップあり、また前進座お得意の
歌舞伎の所作あり、富本節を美しいのどで聞かせるなど、
娯楽性たっぷりでとても楽しい音楽劇に仕上げている。
圭史さんはもともと立ち役が専門の役者さん。
それが好色でわがままで、なよなよした若旦那を演じているのだが
これが絶品。美形の圭史さんにははまり役だと思ったが
「なよなよ」した感じを出すのは、立ち役でびしっと決めるのより
体力が要るそうだ。今回が最後の出演だとおっしゃっていた。
圭史さんの至芸が観られて幸せだった。
また梅雀さんの桃八も心にくいばかりに見事な太鼓持ち。
二人の掛け合いの絶妙さ。
お芝居の楽しさをたっぷり味わったひとときだった。
京都南座の内部 91年に改修された
特別席