そよかぜから-映画

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河童のクゥと夏休み

2007年08月21日 | アニメ


2007年 日本 138分
2007.8.20 サロンシネマ2
■監督 原恵一  原作 木暮正夫
■出演
   田中直樹(上原保雄=父)
   西田尚美(上原佳里=母)
   なぎら健壱(クゥの父)  
   ゴリ(キジムナー=沖縄の妖怪)
   冨沢風斗(冨澤風斗)
   横川貴大(上原康一)
   松元環季(上原瞳)  植松夏希(菊池紗代子)

  《story》

「なあ、こういち。オメエにあえてよかった。」
「人間の友達ができちまった」


遠い昔、江戸時代、夜更けの川端で、河童の親子が武士の役人に、沼の干拓をやめてくれるよう頼んだ。しかし、悪事をたくらんでいたその武士は、その話を聞かれたとばかりに河童の父親を斬り殺した。子どもの河童が一目散に逃げたとき、大きな地震が起き、割れ目に落ちた。あれから現代。康一は川縁で大きな石を見つけた。家に持ち帰り、水で洗ったら、化石になっていた河童が生き返った。康一の家族はみんな驚いたが、クゥと名付けて秘密に世話をすることにした。クゥは、言葉を話し、すもうを取った。身体が元通りになったクゥは仲間のところに帰りたいと言った。康一は、クゥを連れて遠野に行く。そこにいた座敷わらしは、河童をしばらく見ていないと言う。しばらくして、上原家に河童がいることがばれて、日本中が大騒ぎになる。父の会社の上司に頼まれ、仕方なくテレビ出演する。その番組に出てきたゲストが、河童の腕を持ってきた。それは、クゥの父親の手だった。クゥは驚き、泣き出してしまう。そのとき、照明が割れスタジオが騒然となる。クゥを追いつめるスタッフ、上原家の飼い犬おっさんの背中にまたがり逃げるクゥ。町中がパニックになる。おっさんは車にはねられ、クゥは無我夢中で東京タワーに登る。追いかける上原一家。クゥを助けることができるのか。

 ファンタジーの世界が現実に壊される
「河童が本当にいたらいいなあ」なんて思っている人は多い。もし本当に出会えたらどんなにすばらしいだろうね。座敷わらしにしても、さまざまな妖怪達にしても、いたらいいなあという夢がある。今は昔みたいに「本当にいるかもしれない」なんて信じている人は少ない。でも、心の奥底にそんな不思議な世界への憧れはある。もし出会ったら、その行動は三種類に分かれるかな。康一一家みたいに大切にする人。怖がるばかりで自分の目の前からはじき飛ばす人。そして、お金儲けを考える人。映画の後半はまさしくそんな現実そのものだった。妖怪たちは都会では生きてはいけない。神聖なものとしてあがめてきた時代は、もうない。森や川や畑や田んぼや・・・そんな自然の一部として河童もいたのだと思う。クゥは都会では生きられなかった。当たり前だよね。でもそうであるなら、人間も実は同じじゃないかなと思ってしまう。都会で辛うじて生きている人間も実はアップアップしている。自然がいっぱいの本来あるべき居場所を求めている。
ここにもあったいじめ。人はどうしてあんなにも残酷になれるのかな。「楽隊のうさぎ」では、加害者にも自分を人間として認めてほしいと思う理由があり、人に痛みを押しつけることで自分の痛みを忘れるのだとある。人はそこから脱却することで生きる価値をや生きている歓びは、人とのつながりを実感するのだと思う。だから、紗代子と心がつながった喜びが生きてる実感なのかもしれない。
予告では、なんてグロテスクなキャラなんだと思ったけど、この映画を見ると、ぐーんと親近感が深まった。今、デスクトップの上を歩いている。

 公式サイト「河童のクゥと夏休み」



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