そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

キネマの天地

2006年08月19日 | 人間/社会派ドラマ

1986年 日本 135分
■2006.8.19 BS2
■監督 山田洋次
■出演 渥美清(喜八) 中井貴一(島田健二郎) 有森也実(田中小春) 倍賞千恵子(ゆき) 前田吟(弘吉) 下絛正巳(島田庄吉) 三崎千恵子(貞子) 吉岡秀隆(満男) 笹野高史(屑屋) 松本幸四郎(城田所長) 松坂慶子 マツザカケイコ (川島澄江) すまけい(小倉監督) 岸部一徳(緒方監督) なべおさみ(小笠原監督) 大和田伸也(岡村監督) 柄本明(佐伯監督) 山本晋也(内藤監督) 美保純(園田八重子) 石井均(床山茂吉) レオナルド熊(磯野良平) 津嘉山正種(川島の恋人) 坂元貞美(古賀英二) 広岡瞬(小山田淳) 田中健(井川時彦) 油井昌由樹(長野キャメラマン) 冷泉公裕(猪股助監督) じん弘(照明班長) 山田隆夫(正兄) アパッチけん(生田キャメラマン) 光石研(生田キャメラマン助手) 桜井センリ(守衛) 笠智衆(トモさん) 平田満(小田切) ハナ肇(安五郎) 佐藤蛾次郎(留吉) 石倉三郎(看守) 粟津號(馬道刑事) 財津一郎(大飼刑事) 桃井かおり(彰子妃殿下) 山城新伍(戸田礼吉) 木の実ナナ(華やかな女性歌手) 松田春翠(帝国館弁士) 人見明(帝国館支配人) 田谷知子(若い売り子) 関敬六(呼び込みの男) 若尾哲平(脚本部・北原) 巻島康一(脚本部・池島) マキノ佐代子(女事務員) 加島潤(医師役) 星野浩之(泥棒役) 藤山寛美(浅草の客)

《story》

「愛と感動を力強くうたいあげる 映画を愛するすべての人に」

昭和の初期、浅草の活動小屋で売り子をしていた田中小春に、蒲田撮影所の小倉監督が声をかけた。小春は幼い頃に母を失い、病弱の父と二人暮らしだった。撮影所での仕事は新鮮で、小春の夢をかりたてた。はじめは台詞なしでほんの少しのシーンだったけど、その演じることの難しさに涙することもあった。そんな小春をなぐさめたのが助監督の島田健二郎だった。
健二郎は、小春との仲がしっくりいかなかったり、自分の脚本が採用されなかったりしたため、映画作りへの意欲をなくしかけていた。あるとき、労働運動で警察から追いかけられていた先輩をかくまったことから、健二郎も逮捕される。留置場にいた人々から、健二郎は再び映画作りへの情熱をもらうのだった。
大作「浮雲」の撮影がスタートしようとしていた中、主演の女優が失踪してしまう。そこで、抜擢されたのが小春だった。最後のクライマックスのシーンでは、1日かけてもOKのサインが出ず、女優をやめようとさえ言い始めた小春をなぐさめたのが父だった。しかし、うっかり自分の子ではないことを言ってしまう。翌日小春は見事に難しいシーンを演じきる。封切り当日、父は映画館に足を運ぶ。そして、映画の終わりと同時に息を引き取るのだった。

◎たくさんの俳優が出演していた。映画が好きだという表れだと思った。今年は日本映画をよく見る。以前は日本映画をバカにしていた。洋画の方が素晴らしいんだと思いこんでいた。でも、今年は邦画の方をたくさん見ている。それは、まずは字幕がしんどくいなったせいかもしれない。吹き替えがあればそちらの方をつい見てしまう。次に、微妙な心の動きや表情は邦画の方がよく伝わってくる。韓国映画も、人種が近いだけに入りやすい。さらに、はでなアクションよりも、心を揺さぶる感動を求めるようになったこと。

小春が映画の主役に抜擢され、順調に撮影が進んでいたが、クライマックスの場面でなかなかOKが出ない。確かにOKの出ないカットは無味乾燥的だ。でも、OKのシーンは監督が言っていた気持ちがグーンと伝わってくる。演技の深さがよくわかった。特に小春だから、今までの経緯を知っているだけに、見ている方は感じやすい。

育ての親の父が、劇場で死んでいく場面は、少し空々しい。わざとそうしているのかもしれない。渥美清というキャラだったらこだろうな、という意図があるのかもしれない。やっぱり渥美清は「寅さん」というイメージだ。本人はそれを越えたかったらしい。山田洋次は「寅さん」のキャラ以外それほど真剣に考えてないから、こうしたのかもしれない。

この後、あの二人はどうなったのだろう。波瀾万丈、まだまだ多くの出来事が待ちかまえているだろうな。


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