『松代の友人に案内された夏』
<皆神山ピラミッドなど>
高井鴻山と佐久間象山交友の場所
将棋が縁で仲良くなった友人のT君から、ひと夏彼の故郷である長野方面へ遊びに来ないかと誘いがあった。
新幹線で長野駅へ着き、階段を下りるとT君が待っていてくれた。
近くの駐車場まで歩き、そこで白っぽい乗用車の後部座席に乗せられ、二泊三日の長野めぐりがはじまった。
もう20年も前のことなので、どこをどうめぐったのか順序ははっきりしないが、案内された場所は鮮明に覚えている。
善光寺の胎内めぐりを体験したのもその時だったし、川中島の古戦場や松井須磨子ゆかりの地を訪れ、ついでに彼の生家も近くから眺めさせてもらった。
そのあとは諏訪湖に足をのばし、諏訪大社下社の御柱(おんばしら)が立っているところを確かめ、次にもうひとつの上社へ回った。
その夜は湖畔のホテル6階だったかに宿泊し、温泉に入り、食事を済ませ、さっそく夜中まで将棋を指しつづけた。
将棋世界という雑誌の「次の一手」に応募して、初段を手始めに一段づつ昇段しついに五段の認定を受けていたから、最も鼻息の荒い時だった。
ところがT君は段も何もないのに強いのである。
ほとんど互角と言いたいところだが、中盤まで押し気味に指していても終盤でひっくり返されることが多かった。
うろ覚えの定石に頼っている弱点が、彼の勝負強さにしてやられたというところだろう。
まあ将棋の話はそこまで、頭を冷やさないと今でも目の前にT君がいるようにアツくなってしまう。
とにかく一晩寝て、この日は佐久間象山が蟄居させられていた家を見学した。
こじんまりとした侘び住まいで、時の権力から危険視されていた人物もここで大人しくしているしかなかったのかと哀れに思ったものである。
ところが後に小布施の高井鴻山記念館を訪れ、佐久間象山は決して大人しくなどしていなかったことを知り、あの顔つきだものと納得がいった。
* 高井鴻山記念館については、どうぶつ・ティータイム(63)及び(69)~(73)のシリーズを参照してください。
北斎の肉筆画をもう一度見たいものだが、いまは先を急ぐ。
次に連れて行かれたのは、第二次世界大戦当時掘られた松代の大本営移設予定地である。
岩盤の奥深く縦横に張り巡らされた洞窟で、戦況が悪くなった暁には天皇をも引っ越しさせようと計画を練っていた場所らしい。
さてさて、ここでも先を急いで今回のタイトルに関係のある場所へ案内する。
いや、T君が案内してくれたのである。
そこは皆さまもご存じの「皆神山」でした。(ウン? すこし口調が変わったかな)
実は、昔からそこは人工的なピラミッドではないかといわれていて、頂上近くには皆神神社と樹木に囲まれた池のようなものがあった。
* 橋本晋之介さんの史跡探訪というブログのうち「皆神山ピラミッド」に写真が多数載っています。
昭和40年から2年間つづいた松代群発地震の震源地が、その皆神山の真下3~5キロメートルであると測定され、その原因が不明とのことで話題になった。
T君も地元だけに詳しく説明してくれ、古代の神々のことや「ぴらみっど」をあっという間につくった不思議な力(工法)のことを話してくれた。
いま思い出しても、あのみどり色をした池は気持ち悪かった。
「この池は浅い水たまりのように見えるけど、棒を突きさすと底なしなんだ」
そして深い井戸のように、地下までつながっているんだと補足した。
地下にマグマだまりがあるわけではないのに地震を起こす原因はなんだ?
(反重力の不思議な地下空間・・・・)
また岩板崩落も考えられない地層なのに群発地震・・・・その話を聞いて即刻下山を願い出た。
とにかく辺りには異様な気配がひそんでいた。
長野だからか、あまり夏の暑さを思いだせないが、T君とめぐった各地・各所の記憶はいずれも熱い。
ふたりとも一層将棋の似合う年齢になったはずだが、肝心の気力が薄れて現実に向き合う気持ちにはなれない。
遅ればせながら、残暑見舞いでも出してみようかと思っている。
(おわり)
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もうずいぶん昔その近辺へ取材に訪れた際、取材相手の方に皆神山ピラミッドと皆神神社の不思議な力のことを教えられて頂上まで上り参拝しました。
窪庭さんのご友人との皆神詣で、そのときのことを思い出しながら読ませていただきました。
ピラミッドという感じはまったくしなくてちょっと疑問に思いながら上ったのですが、たしかに頂上の神社のあたりではちょっと普通ではない気配を感じてお守りを買ったわけです。
実際の守護力はどの程度なのかわかりませんが、日本国内ではあまり危ない状況に遭遇したことがありません。多分お陰をこうむっているのだろうと信じて大事にしています。
おまけに皆神神社のお守りまでお持ちとは・・・・。
当時カメラを持たずに案内されたので、一枚の写真もないのが残念ですが、皆神山の形状はやはり古墳っぽくて自然の山ではない気がします。
それと例の松代地震が、皆神山の直下で発生しているということで、原因はいまでも謎のままです。
そうした山の神社のお守り、今度行ったら欲しいね。