どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『親指コンプレックス』

2022-11-21 00:02:00 | 短編小説
 マツ子は、自分の足の親指が人一倍大きいのではないかと悩んでいた。 意識するようになったのは、小学三年生になった春のあの日からだった。「あら、あなたの親指ずいぶん大きいのね」 新学年になって間もなく健康診断があり、身長計測器の台に乗った瞬間、担任の女性教師がじっとマツ子の足元を覗きこんで言ったのである。「・・・・」 普通、背伸びをしていないか踵の位置を確かめたりするものだが、先生はいきなり足の指に . . . 本文を読む
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