どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『悪童狩り』(2)

2022-06-26 00:52:30 | 短編小説
 猫が消えたあたりを目で追いながら、数馬は声を掛け損なったことに心残りを感じている。 そして、半年も前に妻が発した言葉が、残響のように耳の奥で振動するのを聞いていた。「あなた、あの黒猫を可愛がったりしないでくださいね」「別に悪そうな猫じゃないだろう・・」 そのとき数馬は反論したが、たちまち淑子にねじ伏せられた。「そう思わせるのが上手なの。一度でも気を許したら大変よ。どんどん家の中に入ってきて、蚤や . . . 本文を読む
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