どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

見返り美猫(5)

2008-06-22 10:01:44 | 短編小説
 人気のない処置室のベッドに横たわっていた。  背中合わせの診察室も、いまのところ静かなものだった。当直医も看護師もそれぞれの任務に就いているのだろう。  満男が居るこの部屋は、淡い明かりが点けられたままだった。  入院病棟ではないから、九時の消灯といったアナウンスはない。  あわててカーテンを引きテレビの音を絞るといった、大部屋特有の雑然とした雰囲気もなかった。  点滴の輸液が、せせらぎのように . . . 本文を読む
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