ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 109ヒートアイランド現象の原因 ![]() ホテルに戻った。勇気も勉も自宅へは戻らなかった。 「勇気、ヒートアイランド現象について勉強しているかい?」 「しているよ。外に出るのが嫌になるよ。これを何とかできるとしたら、勉強しがいもあると思うよ」 「勇気、勉強したら、何とかできると思っているのかい。いや、勉強しないと問題が何であるかもわからないよー」 と、勉は勇気に向学心が生まれたというのに、それを否定するようなことはしてはならないと思った。 「病気とかにも関係があるみたいだよ。ネットで調べたけどね。都市での乾燥化は、肌のカサカサにも影響しているらしいよ。それに、呼吸器疾患が増加しているそうだよ。怖いよね」 「勇気の花粉症はどうだった?」 「僕の花粉症じゃないだろう。僕が患っているといってよ。僕の持物じゃないのだからね」 「実は僕も花粉症だよ」 と勉は笑う。 「ところで、気象と花粉症の関係はわかったかい?」 「ヒートアイランドによる上昇気流は、都市に吹く風の流れを変え、ビル風や海陸風などと相まって特有の流れをつくっているのさ」 「そうだろうなあー。ビル風も年々すごくなっている気がする」 「この風の流れに乗って花粉は飛んでくる。たとえば、毎年春先には、スギ花粉などで花粉症になるけど、スギ林は都心にはなく、これらのスギ花粉は遠く丹沢や多摩丘陵など周辺の森林からヒートアイランド流によって都心に運ばれることもあるってさ」 「風に乗ってくるのかあー。花粉症の影響はそれだけではないと思うよ。まだ、あると思うけど、勇気が自分で探してごらん」 「探すけどさ、ヒートアイランドによって局所的降雨量も増えているそうだよ。何かひどい、土砂降りも真夏にあるよね。水浸しになって地下鉄が走れなくなったとか、地下がある家の人が、地下に水が流れ込んでそのまま溺れ死んだというのもあったよね。ヒートアイランドって、暑いだけじゃないみたいだよ。暑いことでも、いろいろ起きるってことだよね」 「ところでヒートアイランド現象の原因はわかった?」 「もちろん。まず、第一はエネルギー消費に起因するもので、たとえば自動車からの排熱、ビル・住宅などからの暖房・冷房による排熱。この他、都市では工場が稼働しており、生産にともなう排熱がある。また、値は小さいが人間も約百ワットの熱源となっている」 と、勇気はパソコン画面を読みあげている。
![]() ありがとうございます。 ![]() ![]() ![]() Index[Ra.] |
最新の画像[もっと見る]
-
いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生- 12年前
-
音楽演奏の社会史-よみがえる過去の音楽- 12年前
-
AERA ’12.7.16 12年前
-
週刊現代 2012-8-11 12年前
-
AERA ’12.7.9 12年前
-
必ず来る!大震災を生き抜くための食事学-3・11東日本大震災あのとき、ほんとうに食べたかったもの- 12年前
-
僕のお父さんは東電の社員です-小中学生たちの白熱議論!3・11と働くことの意味- 12年前
-
日本の原爆-その開発と挫折の道程- 12年前
-
エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/13 12年前
-
エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/6 12年前