先日、NHKのドキュメンタリーで「執念ー小澤征爾 76歳の闘い」を見た
番組の構成が素晴らしく感激の連続であった
昨年(2010年)食道ガンが見つかり、この1年あまり闘病と療養に専念してきた小澤さん
体は恐ろしいほどやせ細りTシャツ姿は見るも無残
本番では例のお誂えの黒いスーツを着ているからまったくわからなかった
番組は松本のサイトウキネンフェステイバルを中心に放映
しかし、ウィーンの街中で繰り広げられた演奏に聴衆を巻き込み歌わせた
小澤さんのパフォーマンスはただものではない
世界中のひとから愛される姿がとても印象的であった
昨年9月の公演の弦楽セレナードが流れたとき
自分がその場所にいたことを思い出し思わず涙してしまった
しかしそんなことを忘れさせるような鬼気が迫るオペラのリハーサル
バルトークのオペラはそんなに簡単ではない
「青ひげ公の城」のテーマは「人生は闇」
小澤さんは全身の気力を振り絞り「生と死」を凝縮させたオペラを作り上げていった
ピアニシモの音量にこだわり全体をより深い音楽に作り上げていくその姿は
まさにこだわりの第二の人生
その真摯な姿に圧倒された私はただテレビにクギヅケになるしかなかった
76歳を迎えた小澤さんから生きるエネルギーをいただき本当に感謝の一瞬であった