きことわ
2012-04-30 | 読書
なかなか難しい小説を読んだ
言葉自体は平易だが、状況をイメージすると、
自分が現実にいるのか、はたまた25年前の逗子・葉山にいるのかわからなくなってくる
時間の断層に加え、主人公がいったい誰なのかを考えていると、頭がフラフラしてくる
しかも、地の文章が多く、会話が極めて少ない
その地の文章が良く読まないとわからないくらい言葉の断層ミルフィーユになっている
言葉に自信と愛着がうかがわれる作家
それが朝吹 真理子で「きことわ」は芥川賞をいただいた
今私が一番注目している作家のひとりが朝吹 真理子
読売新聞日曜版の読書欄で書評をときどき書いている
その書評を読むと、この若さでここまで完璧に言葉、文章を操れるのかと思うほど
「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」村山 斉著や
「ある一日」いしい しんじ著
の書評を読むと良く分かる
論理的だが、読者を巻き込み、買いたくなるような締めくくりの言葉
作家は自分の得意領域だけでなく、量子力学まで勉強しなくてはならないのか?
懐の深さを感じる作家である
「きことわ」だけ読んでもわからないので、次回作も期待したいと思う