今般、谷崎 潤一郎賞を受賞する作家は稲葉 真弓氏
作品名は「半島へ」
東京生活へのこだわりを捨て、志摩半島に建てた別荘で過ごす女性の春夏秋冬を描く
3年前に川端 康成文学賞を受けた短編「海松(みる)」をふくらませた長編
主人公は自然に抱かれ、生命の息吹を取り戻す
23歳で女流新人賞を受け、上京するがなかなか食べてゆけず、
編集者やゴーストライターなどを経験
「いつもお金と生活に追われてきた」という
1992年にやっと小説家として一本立ちする
その時すでに50歳前後である
いまどきにしては苦労人である
それが文章ににじみ出てきているとき味わい深くなるのだと思う
テーマ自体はシンプルだが、人間描写が緻密であれば印象深いものになるであろう
是非読んでみたい
12歳になるオス猫を抱くときだけは彼女は無防備になるという