風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-8北海道・青森ドライブ周遊記1

2012-08-21 | 北海道
[新千歳空港~道東道~釧路~厚岸~愛冠岬~釧路]

○ prologue

北海道を最後に訪れたのは、ちょうど10年前。
最初は親戚旅行で函館へ、2回目はツアーで4日間ぐるり観光、3回目は一人で新千歳から函館まで。
3回目の一人旅がなかなかハードだったため、それからしばらくは行けずにいました。
今回、チャロことチャロラインと一緒に北海道旅行をすることになりました。
後半は、青森のいとこたちと、久しぶりに会う予定。楽しみです。

今年の夏は、山形に四国、そして北海道と、いつになく旅の予定が多いこともあり、北海道はチャロ、青森はいとこたちに旅程をお任せしていましたが、旅行の前日になっても誰からも連絡がありません。
(あれっ、大丈夫なの?待ち合わせもまだハッキリ約束してないし)とさすがにあせりました。
チャロに聞いてみると「行きの飛行機と宿は押さえているし、行く場所はその場で決めてもいいかと思って」との返事。
北海道を我が庭としている人ならではのゆとりですね。
いとこたちと会うのは旅の後半だし、会えば何とかなるだろうと思って、これまでに例のない、ほぼ真っ白の予定表を携えての旅となりました。

朝は6時に起床。羽田空港でチャロと待ち合わせです。
蒲田駅から空港シャトルバスに乗る予定でしたが、それよりも10分早くに出る、各停留所を巡る空港行きバスに乗りました。
これが失敗でした。
思ったよりも乗り降りする人が多く、停留所に細かくバスが止まったため、かなり時間がかかってしまい、早く着いてフライト手続きをとり、優雅に朝食をとっていたチャロに、超心配をかけてしまいました。

○ 羽田

乗るのは8:25発のスカイマーク。空港に着いたのは8:10。
たしか、出発時刻の15分前までに保安検査場を通らなくてはいけないんじゃなかったかしら。
スカイマークの搭乗口は、無情にも一番遠く。長いフロアを、旅行荷物をしょって、Aから延々走り、ようやくGまでたどり着きました。
チャロが一人、待っていてくれました。ごめんなさい~(-人-)!

なんとか間に合って、ふうふういいながら、ほっと一息。
そもそも、バスより電車の方が確実ですからね。
空港までバスを使うときには、時間を十分にとって。そしてノンストップのシャトルバスを使うこと!
以後気をつけます。

平日のためか、乗客はほとんど男性だという印象。スーツ姿の人が多く、日帰り出張なのかなと思います。
窓から景色を眺めているうちに、ほどなくして新千歳空港に到着。
飛行機に乗ると1時間半で着く北海道。とても身近に感じます。

この日は朝起きた時から暑くて、弱っていました。
札幌についたら、気温は確実に東京より下がっていましたが、それでも暑さは感じました。日本で一番北の土地でも、やっぱり夏は暑いのね。

○ 新千歳

空港から、道内をレンタカーで巡ります。
レンタカーを借りる手続きをしたことがない私。
まず、さまざまな会社のレンタカーブースがずらりと並ぶ充実さに驚きました。
そして、レンタカーを利用する人はかなり多く、一大待合所になっていたことも新鮮でした。
さらに、レンタカー会社まで、会社ごとの専用マイクロバスに乗って移動するというのも、初めての体験でした。

手続きを済ませ、車体にあらかじめついた傷を係員と一緒に確認してから出発します。
係員が、なにげなく「車体の前面がちょっと汚れていますけど、これは虫が入ってくるからなので、気にせずに」と言ったことに、驚きました。
えっ、虫?気にするなって、気になるよ!

でもそう言われた以上は、あまり考えないことにして、まずは帯広へと向かいます。
突然「ドードードー」とつぶやくチャロ。
ドードーの話?と、指さす方を見ると「道東道」との表示がありました。
ドートードーね。わかりにくーい。道が二つもあって、山本山みたい。
道東自動車道、略して道東道は、目下伸び続けている高速道路で、今は十勝の浦幌までつながっているとのこと。
「前より伸びてる~」と、チャロは感激していました。
私はNZで見たドードーの剥製のことが、頭から離れなくなってしまいました。
羊よりも大きかった…。

とにかく、まっすぐに伸びていく道に感動。
北海道は、本当に道がまっすぐなんですね。行けども行けども、見える限りに直線道路。
緑の山々に囲まれて、ああ北海道にきたなあと実感します。

こんな直線道路は、カナディアンロッキーでしか体験したことがありません。
左側通行でなければ、雄大な自然に囲まれて、まるで外国の道をドライブしているような気になります。
(たしかに表示にある土地は読めない地名ばかり。アイヌ語だから)

○ 占冠

延々運転を続け、占冠(しむかっぷ)PAで一休み。
車を出て、陽射しのまぶしさに目を細めて見た壁の温度計は、なんと33度を指していました。
え~、関東と変わらない~!北海道なのにこんなに暑いなんて!
がっかりする私に「湿気がないから、暑くても過ごしやすいよ」とチャロ。

 

たしかにカラリとしていますが、その分じりじりした日差しの強さと、蒸発するような暑さがこたえます。
それでも、売られているいももちとかぼちゃもちが気になったので、さっそくシェアしました。(食欲があるから元気!)
お店のおばさんは、ハチなどの虫よけにサッシをぴったり閉めており、注文を受けた時だけすばやく戸を開けて、お金と食べ物のやりとりをしていました。
まったく愛想がないところが北らしいような、そうでないような?
いももちとかぼちゃもち、どちらも食べやすくて、おいしかったです。

○ 日高山脈

道東道を走っていると、トンネルの長さに驚きます。日高山脈にさしかかった辺りで、道東道最高標高 626mという表示を見かけました。
一度トンネルの中に入ると、なかなか外に出ません。
こんなに長いトンネルを掘るのに、どれだけの手間がかかったんだろうと考えます。
トンネル好きだし、中はひんやりとしていて気持ちいいですが、あまりに長いとモグラのような気分になってきます。

○ トマム

途中、アルファリゾート・トマムのリゾートタワーがありました。
自然の中にモダンな超高層階のビルが建っており、バブリー。

 

雪景色もきれいでしょうけれど、緑の中のモダンデザインもなかなか雰囲気がありました。
ここで見る、早朝のゴンドラ雲海ツアーは、えも言われぬ美しさだそうですが、今回はナシ。
とにかく早く涼しい場所へ行って、北海道に来たと実感したいのです。

○ 帯広

「暑い帯広から、早く抜け出そう!」と、一路東を目指して進んでいきます。
気分はモーセの出エジプト。海を分けるわよ!(予想外の暑さで頭が・・・)
次の休憩場所、十勝平原SAでは、豚フランクフルトと牛フランクフルトが売られていました。
気になるね!ということで、両方食べ比べてみることにします。
そういえば、普段食べているのは、単に「フランクフルト」といっているけれど、いったい何の肉なんでしょう?
その場であぶってくれたフランクフルトは、太くてバリンと音も本格的。
ドイツ気分になります。どちらかというと豚の方がおいしかったような。
どちらもとても充実していて、食べでがありました。

 

目的地候補の一つ、糠平湖のタウシュベツ橋そばに近づいてきましたが、林道を抜けなくてはいけないことと、目下かなり水面が上がって、橋の全容がよく見られないということで、行かないことにしました。
残念!でも苦労して辿りついて、ガッカリ光景を見るよりは、今後に持ち越す方がいいですね。

○ レッドアロー

頭上の道路には、真下を差す赤い矢印が等間隔で延々と続いていきます。
「矢羽根」(固定式視線誘導柱)という、猛吹雪で道路が見えなくなった時の道しるべなのだとか。
かなり短い間隔(80m)で矢印があるため、なんだか気になります。
ちょうど真下を通る時、頭の上に矢印が落ちてきそうな気になりました。

○ 茶路

帯広市を抜けて白糠郡に入り、上茶路、中茶路、下茶路と地名が変わるたびに、チャロが「チャロ!」と嬉しそうに声をあげます。
私は何度聞いても、NHKの「リトル・チャロ」しか連想できずにいます。
「なにそれ?」「ええと、NYに住んでる仔犬が、英語を話してあちこち旅する話だったような」「・・・」
かみ合わない会話も、旅の醍醐味?

○ 白糠

廃線になった白糠線の北進駅の辺りも通りました。
北海道は、多くの路線が廃線になっているそうです。
かつてキーホルダーをたくさん見かけた「愛国から幸福行き」の広尾線もすでにありません。
鉄道マニアは多くても、普段の利用客が少ないと、やはり続けられないのでしょう。そうしてますます村の過疎化が進んでしまうという悲しい循環。うーん。

 

途中、十勝川を通りました。
「十勝川って聞くと、熊が鮭を獲っていそうなイメージがあるね」と言ったら、チャロも「そうそう♪」と頷いたので、(よかった、北海道通の人も同じことを考えてたー)と思いました。

○ 恋問海岸

白糠の道の駅で休憩し、恋問海岸の砂浜に下りて行きました。
恋を問うなんて、なんてロマンチックな名前なんでしょう。
言問橋のことを思い出します。
かなり霧が立ち込めていましたが、それでも浜辺で遊ぶ人たちがちらほらいました。
ずっと山の中の長い道路を走り続けてきたので、海に来られて、何となくほっとします。

 

道路案内標識に「大楽毛」と書かれていました。「おたのしけ」と読むそうです。
聞いているだけで、なんだか楽しげになってきます。

 

十勝平野を越え、もうこの辺り一帯は、釧路湿原。
海沿いになったこともあり、なんとなく風土の変化を感じます。
今日の宿泊先の釧路に着きましたが、駅を越えて、そのまま進んでいきました。

 

鶴が羽を広げた欄干の、素敵な橋を通りました。
新釧路川にかかる鶴見橋。そういえば釧路はタンチョウの土地でしたね。 

○ 愛冠岬

 

向かったのは、厚岸にある愛冠岬。
島にあるとのことです。切り立った急な形の島の遠景が印象的。
島にかかる赤いトラス橋、厚岸大橋を渡って、ワクワクしました。

 

どんどんカーブを上り、駐車場に着きましたが、ほかに止まっている車はおらず、誰もいない雰囲気。
そして霧が辺り一面に立ちこめています。

 

「『ミスト』っていうホラー映画があったよね」とおそるおそる言ったら、チャロは「やめて~!」と怖がりました。言った私もちょっとブルブル。
「これ、一人だったらとても行けないね」と言いながら、おっかなびっくり進んでいきます。
これまでの暑さが嘘のように、寒いほどに涼しい冷気が漂っています。

 

北大の付属博物館がありますが、人の気配は全くなし。
なおも先へ進むと、「愛冠岬」と書かれた看板がありました。
岬から下をのぞいても、海は全く見えません。
霧で視界が遮られているのです。

 

海からあがってくる冷たい風の勢いから、かなりの断崖絶壁なんだろうということは、わかります。
海風にあおられて、すっかり髪の毛は湿気を帯びてしまいましたが、すがすがしくて気持ちいい場所。
鐘があったので、鳴らしました。二つの鐘からは、違う音が出ました。
五里霧中でも確かに響く鐘の音。これで熊も出ないでしょう。
前にチャロがきた時には、エゾシカが草をはんでいたそうですが、この日はなにもいませんでした。

「歌とか歌えば、熊も出てこないんじゃない?」ということで、「カエルの歌」を輪唱しましたが、二人なのですぐに終わってしまいます。
「・・・つまらないね」とチャロ。いいえ、熊との遭遇がかかってるのよー。

 

北海道らしい荒々しい自然に、カムイ岬を思い出します。
柵を越えたところにも道ができていたので、もちろん行ってみました。
先まで行ってみましたが、やっぱり霧で真っ白で、何も見えません。
チャロは途中でギブアップしたので、私も戻りました。
愛冠岬の画像を見せてもらったら、透き通るような青い海が眼下に望める、素晴らしい眺望でした。
うーん、残念。でもこれはこれで、雲の上にいるような浮遊感を味わえました。

北大の付属博物館の開館時間を見てみたら、平日の4時までとありました。
4時過ぎていましたが、それでも少し前まで開いていた気配は全くありません。
すぐ近くに関係者の宿舎らしき平屋の建物もありましたが、そこもシーンとしています。
「カーテンの隙間から見ている目があったりして」と話して、二人でゾゾ~ッとしました。

坂を下っていくと、夕日に照らされて厚岸の街が美しく輝いていました。
自然の力の強いこの地では、ダイナミックな光景が見られるのでしょう。
西日に照らされながら、釧路に戻りました。

○ 釧路

 

宿泊は釧路プリンスホテル。
落ち着ける部屋ですが、窓の外はやっぱり霧が立ち込めていて、幻想的ではあるものの、眺望は望めませんでした。
後で聞くと、釧路は霧に包まれた町として有名なんだそうな。
「霧の向こうのふしぎな町」好きだったなあ。

○ 炉ばた焼き

一休みしてから、夕食に出かけます。
道東に着いたら涼しくなると言われたとおり、確かに夜は上着をはおらないと肌寒くなっていました。
向かったのは、釧路川沿いの炉ばた焼き屋さん。
釧路は、炉ばた焼き発祥の地なんだそうです。
港で水揚げされた魚介類が提供され、それを目の前で自分であぶって食べるという豪快なシステム。
お店はとても人気らしく、少し待ってから席に通されました。

 

店内には、大漁旗がところせましと飾られており、港には漁業船が何隻も停泊していました。
豆電球をずらりと貼り巡らせているため、イカ漁船かなと思いましたが、どれもさんま漁船だそうです。

 

お店の営業期間は、5月中旬から10月まで。
冬の間は寒くて、開けていられないのでしょう。
釧路フィッシャーマンズ・ワーフという場所の名前に、SFのPIER 39を思い出しました。

 

ずっと運転しっぱなしで、日中あまり食べなかったため、どんどん食べたいものをチョイスしていきました。
北海道ならではのものを食べよう!と張り切ります。
ちゃんちゃん焼き、ウニとカニ、牡蠣、イカ、ほっき貝、さんま、ほたて、じゃがバターなど。
牡蠣は、先ほど行った厚岸のものので、電柱に牡蠣のマークがついているのを見た時から、なんだか食べたくなっていたので、迷わず選びました。
一緒に炉端を囲んだ女性は沖縄出身で、地元の知人に案内されてきたそうですが、周りはほかに、観光客っぽい人はおらず、仕事帰りといった感じの面々ばかりなのもうれしい感じ。

 

さっそく買ってきた食材を網にのせて、じゅうじゅう焼き始めましたが、「あれ、牡蠣ってどうやって貝を開けたらいいの?」「それより先に、食べ頃はどうやったらわかるの?」と、ビギナーの私たちはあせります。
すると、どこからともなく漁師エプロン姿のおじいさんが現れて、黙って牡蠣の殻を割ってくれました。

 

ほかにも、イカ一杯を食べやすくハサミで切ってくれたり、ちゃんちゃん焼きに火が行き渡った頃合いを見てくれたりしてくれたため、食べるタイミングを逃さずにすみました。
私たちのところに来てくれたおじいさんが「あらし」という名札をつけていたので、「なんかかっこいい。源氏名みたい」とチャロと愉快になっていたら、ほかのおじいさんも、全員「あらし」の名札をつけていました。
炉端焼きヘルパーをあらしというのかしら?謎だわ。とにかく武骨で頼りになりました。

 

どの食材も新鮮で、具も大ぶり。喜びながらはぐはぐ食べていたら、チャロがおもむろに、隣の炉端の男性に話しかけられました。
私はお邪魔かしら?でも相手はかなりのおじさんだし、どうしようかな、と思っていたら、お隣は仕事のグループで食べに来ているとのこと。
「これまでずっと寒い日が続いて、今日は夏日なんだよー」と何回も言われます。かなりお酒がまわっているみたい。
建築関係だと一本締め、漁業関係だと三本締めだというミニ情報を教えてもらいました。

 

お近づきのしるしに、おじさんたちからアイスキャンデーをいただきました。
北海道の食材をおなかいっぱいに食べて、大満足。

 

お店を出て、冷気に少し震えながら、霧に煙る幣舞橋を眺め、釧路川沿いを散策してホテルに戻りました。

 

一日目にして、千歳から釧路まで、ずいぶん移動したなあ。


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