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風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

鎌倉・江の島アップダウン・ミステリールート 2(裏大仏)

2019-03-06 | 神奈川
その1からの続きです。

● 分岐点

山道を歩き続けて、そろそろ次の道筋が気になってきました。
先ほど、知らぬ間にルートをそれてしまっていたので、もう間違えたくありません。
「ああ、この道で合っているのか、誰かに聞きたい…」
しばらく誰も通りませんでしたが、女性が一人やってきたので、すれ違う時に聞きました。
「ここを降りたところに分岐点がありますよ」

正しい道だったようです。よかった。
山の中で会う人たちはみんな、親切です。



分岐点を下に下りていくとハイキングコースのゴールになりますが、私たちはまだ終わりません。
あえて上への階段を選びます。
多少遠回りになりますが、今回はまだ見たことのない、謎めいた大仏切通を通ってみたいのです。

● 大仏切通

階段を上り切り、ふたたび緑に囲まれた山の中へ。



細道を歩いていくと、両側に岩壁がそびえたち、道の間の巨石その間をすり抜けるように通る通路になりました。
走ったらすぐに転びそうなほど足場の悪い道。
念願の大仏切通です!



切通しとは、三方を山に囲まれた難攻不落の鎌倉幕府が、外界との主要な出入り口として、山を切り開いて設けた中世時代の通り道のこと。
「鎌倉七口」と言われる七つのうち、ここは長谷から藤沢に出る主要ルートでした。



今は真冬の2月。
緑も少ない季節ですが、この辺りだけ季節が止まったかのように、うっそうとした緑に覆われていました。



うーん、なんてワイルド。すごい場所ですね~。
突然、野武士が姿を見せてもおかしくない雰囲気。



ここに来た甲斐がありました。大きな自然の力をもらった気分です。

● 切通って?

切通が終わる辺りに、説明看板がありました。
ふむふむ…とまずは日本語版を読みます。
英語・中国語・ハングル語の4か国語表記がありました。



ユーミチカは通訳ガイドで、私は通訳ボランティアをしています。
プロとアマという大きな違いがありますが、お互い外国語は気になるもの。

「切通」は英語だと「opening passes」、中国語だと「大道、道路、出入」だそう。
ハングル語は判読不能で、わかりませんでした!
「うーん、なんだかピンとこないね。」
「この説明で、外国の人は理解できるのかな?」
日本語の切通のニュアンスは、あまり伝わらなさそうでした。

● 大仏坂トンネル

大仏切通を通り切って、バス通りに出ました。
すぐそばに「大仏坂隧道」があります。



こちら側から大仏ハイキングコースに入る入口です。
先ほど、切通に続く階段を上らなかったら、この階段を下りて車道に出ていました。
(つまり切通は通らないルートです)



● 権五郎力餅

バス通りに沿って30分ほど歩き、大仏や長谷寺に近づくにつれて、観光客がどんどん増えてきました。
長谷寺駅の前を通って、たどり着いたのは力餅屋。
久しぶりに、権五郎力餅を食べたくなったのです。



江戸時代から300年も続く老舗。
当日しか日持ちしない力餅と覆面まんじゅうを、お土産に買いました。
覆面まんじゅう。名前がインパクト!
すぐ近くの御霊神社(権五郎神社)で行われる面掛行列にちなんだお饅頭だそうです。

● 御霊神社

『最後から二番目の恋』にも『海街diary』にも登場する神社。
参道を江ノ電が横切る、珍しい光景が見られます。
写真家に人気のフォトスポットにもなっています。



江ノ電がやってくるのをカメラを構えて待つ人々の中に、むく犬を背負っている人がいました。
カワイイ!ぬいぐるみみたい!
わんこは慣れているのか、おとなしくしていました。



ゴトンゴトンと音を立てて、長谷駅を発車したての江ノ電がゆっくり目の前を通っていきました。



● 江ノ電からの海

長谷駅に戻り、江ノ電に乗ります。
人でぎゅうぎゅうの電車がホームに入ってくるのを見て「う、混んでる...」としり込みするユーミチカ。
大丈夫、この駅でかなりの人が下りるのです。快適になった車内に入りました。



海が見えてくると、乗客たちはみんな(わあ...)と窓の外を眺めます。
寒さなんてお構いなし。ヨットもサーファーも、海に出ています。
じきに、江ノ島も見えてきました。



● 鳩と蛇

江ノ島駅で降り、島へと渡ります。
女性2人で歩く今回は、弁天様を重点的に巡るルートにしました。
女性の神様は、女性を助けてくれるはず。
先ほど銭洗い弁天をお参りし、ここでは江島弁財天をお参りします。

青銅鳥居の鳥居をくぐりました。
扁額を指さして「あの鳥居の文字、変わってるでしょう?」と言うと、
「鳩ね!」とユーミチカ。
思わぬ反応に「えっ?」と固まる私。


「江嶋大明神」と書かれているそうです


「鳩じゃなくて蛇なんだけど・・・」
「えっ、鳩にしか見えない~」

八幡宮の扁額は鳩文字で描かれていますが、弁天様は水の神様。だから蛇なんですよー。
たしかに鳩と蛇は、首だけ見たら少し似ていますが・・・。
「翼がないよね!?」

● たこせんべい

大勢の人の波に揉まれながら、狭い参道を進みます。
中でも一番ごった返しているのは、江ノ島名物・丸焼きたこせんべい売り場。



お土産にもらったことはありますが、あつあつの出来たても食べてみたいと思っています。
でもいつ来てもお店の前には長蛇の列ができていて、いつも心が折れてしまいます。
今回も並ぶのはあきらめて、おいしそうに食べる人々の横を通っていきました。

● 日本三大弁財天参り

江島神社の弁天様は、琵琶湖の竹生島神社、広島県の厳島神社と共に「日本三大弁財天」と言われています。
江戸時代まで、江ノ島は弁財天(仏教の神様)を祀る島でしたが、今鎮座しているのは、江島神社(神道の神様)。
うーん、ちょっとややこしいですね。

昔は神も仏も一緒だったのに、明治時代に「神仏分離」でお寺と神社が分けられ、「廃仏毀釈」で江ノ島はお寺から神社に代わり、お坊さんは全員神主さんに変更されられました。
ひどいわ~。つくづく、明治政府は大変なことをしたものです。


マリーナとトンビ


そのため、島の守り神の弁財天は、宗像三女神に変わりました。
かつては同じだった弁財天と宗像三女神が、別々に祀られるようになったのです。
ややこしーい。

政府がテコ入れをしても、弁財天の島としてずっと民衆に信仰されてきた江ノ島は、今でも弁天様のイメージの方が強い場所。
今では江島神社の3つのお宮に宗像三女神が祀られているほか、弁財天の祠もあります。
どれも全てお参りしますよ。
女性には公平に接しないと後々の騒動のもとになるって、じっちゃんが言ってましたからね!

裏大仏の山越えで、脚はちょっと疲れ気味ですが、ウォーカーズ・ハイのような変なアドレナリンが出ているようで、妙に歩きたくなっています。
上まで連れて行ってくれる江ノ島エスカーにも乗らず、自力で石段を登って行きました。

● 1. 辺津宮

さっそく、三女神のお宮巡りです。
一番初めに出迎えてくれる一番大きな辺津宮(へつみや)には、田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)が祀られています。


人がたくさん


● 2. 奉安殿

辺津宮境内の奉安殿に、八臂弁財天と妙音弁財天が祀られています。
もともとの江島神社のシンボルの弁天様です。
江戸時代の人々はこぞって江の島詣でをして、この江島弁財天を参拝しました。


女性がたくさん


江ノ島の女神様と弁天様のことは、宗教と政治が絡むため、日本人にもわかりづらい話になっています。
外国人が理解するのは難しそう。
通訳ガイド泣かせの案件ですね。

● 3. 中津宮

さらに石段を登っていくと、次にあるのが中津宮(なかつみや)。
ここに市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)が祀られています。



● 4. 奥津宮

さらに石段を上り、島の尾根を越えるように進んでいくと、奥津宮(おくつみや)が見えてみます。
ここには多紀理比賣命(たごりひめのみこと)が祀られています。
ここの石鳥居は源頼朝が奉納したもので、拝殿天井には酒井抱一の『八方睨みの亀』が描かれています。



手水舎を支える亀。
いえ、これは龍の子供の贔屓(ひいき)で、柱を支えている贔屓は亀趺(きふ)といいます。
入り口の、蛇文字で扁額が書かれた鳥居も、亀趺ちゃんが支えています。
江ノ島は龍の棲む島なので、子供もあちこちにいるのでしょう。



奥津宮の先の急な石段を下れば、荒波の打ち寄せる稚児ヶ淵。
その先には、江ノ島最奥の岩屋洞窟がありますが、この日お休みでした。
まだまだ歩き続けるため、脚力温存のため、波際まで降りずに戻りました。

● 江ノ島の外国人

「通訳ガイドで江ノ島に来ることってある?」と聞くと「鎌倉はあっても、江ノ島はなかなかないかなあ」との返事。
でも、海を見ながらの帰り道、アジアン・カップルに「ここから富士山は見えますか?」と英語で尋ねられました。
「今日はムリかしら…あ、あそこじゃないかな」
雲がモクモクと立ち込めている中に、何となくそれっぽいものを見つけて、教えてあげました。

鎌倉の方が古い日本は残っていますが、江ノ島からは富士山が大きく見えるので、外国人もよく見かけます。
ここからの富士山は、海の向こうに見えて感動的ですからね。



この日の富士山はいまひとつでしたが、ユーミチカの家からディズニーランド越しに見えるそうなので、(それならいっか)と島を後にしました。

● 夕日との競争

弁天マジックがかかっていたのか、江ノ島を離れると脚がだるくなってきて、少し重くなりました。
この辺りでカフェに入って、お茶にしたいところです。
ただ、この日の日没時間は17:25。
ゆっくりしていると日が暮れてしまうため、ティータイムはおあずけで、先に進むことに。
「休まず前進!」「イエッサ!」
ガイドではなく、もはや鬼軍曹状態です。

その3に続きます。




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2 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (アネッティワールド)
2019-03-19 14:40:47
またまた何が出てくるかわからないような
道を歩いたんですね。
こういう時は女性のほうが肝が座っているのかな?
2月とは思えない風景ですね。

「最後から2番目の恋」って
あの中井貴一とキョンキョンの?

あのドラマに出てくる風景が好きで
何度も「行きたい!!」って言う衝動にかられました。
西日本にあれば絶対行ってましたよ。

去年の横浜行きは日程の関係で鎌倉までは行けなかったので今年か来年は
江ノ電に乗るのが目標なんです。
あの神社の鳥居の手前の家が彼らの住んでた家でしたが、
あの家も実在するのかな?
年甲斐もなく気になりました(笑)
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Unknown (リカ)
2019-03-20 18:02:20
鎌倉の山で冒険ができて、面白かったでーす。
京都トレイルもいつか挑戦してみたいですが、旅先だとなかなかそこまではやれないものですよね~。

そうです、貴一さんとキョンキョンのドラマです。
私は見ませんでしたが、そんなにいい作品だったんですね。
すっかりはまって、鎌倉に通い始めている友人がいます~。

あの神社のすぐそばの家がロケ地だったんですか。
川端康成が住んでいた家は、大仏そばにある別の神社の横でした。

ぜひ今度、江ノ電に乗ってみて下さい。
地元?の私も、乗るたびにハッピーになりますので。
やっぱり電車にゴトゴト揺られながら江ノ島を眺めるのって、格別でーす☺
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