風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

天空の郷、吊り橋三昧(斑鳩、奈良)4-2

2013-02-12 | 近畿(奈良・和歌山)
4-1からの続きです。いよいよ旅も終りに近づきました。

○奈良へ

三輪駅に戻り、次の電車が来るまで40分、小さな駅舎で待ちました。
和風のグラデーションの美しいボディカラーの電車を見かけました。
桜井線は、「万葉まほろば線」とも呼ばれているそうです。
「万葉集」の歌を乗せて走る電車なんて、風雅。名所・旧跡の多い大和ならではの車体ですね。





県庁所在地の奈良行きの電車だというのに、乗客が少ないことに驚きます。
ワンマン電車イコール、ローカル線というわけですね。

先ほどの近鉄・「畝傍御陵前駅」には驚きましたが、この線も読みづらい駅をたくさん通ります。
天理駅を過ぎると、「櫟本(いちのもと)」、「帯解(おびとけ)」、「京終(きょうばて)」と続いて、難しい読みに眼をぱちぱちさせました。

奈良駅に到着し、荷物を置いて、再びJRで法隆寺へ向かいました。
ボックス席で、こちらもほとんど他に人が乗っていません。



電車の中も外の景色もとても静かで、銀河鉄道999に乗っているような気分になります。
汽車は~闇を抜けて~光の海へ~♪
山あいの地から出てきたので、もっと温かいかと思いきや、結構寒く、冷え込んでいます。

○法隆寺

法隆寺に着きました。ここには3か月前に訪れたばかりですが、バスで行ったため、電車からのアクセスがわからずウロウロ。
思ったよりも歩きました。



駅からまっすぐの道をたどって現れた法隆寺の伽藍は、やはり完璧な構図で絵になります。
空気ががらりと変わり、一瞬にして時代が戻ったかのよう。



人気の高い世界遺産といえども、シーズンオフの平日なので、閑古鳥が鳴くほど閑散としています。
(そういえば、閑古鳥ってどうやって鳴くんだろう?)と調べてみたら、閑古鳥はカッコウのことなんですね。
知りませんでした!じゃあ「カッコウ」って鳴くんだわー)



チベット僧侶のようなグループとすれ違いました。遠い外国にも聖徳太子の名は知られているのでしょうか?
単に観光地巡りをしているようではなかったので。

○中宮寺

pino希望の中宮寺に向かいます。



聖徳太子の母親が祀られている小さな尼僧院で、ここの観音菩薩に会うのを楽しみにしてきました。



伽藍は工夫されたデザインではあるものの、コンクリ製なのでどうしても武骨。
でも中に国宝を鎮座させているので、耐久性最重視なのはいたしかたありません。



菩薩半跏像とも如意輪観音とも弥勒菩薩とも呼ばれるここのご本尊。
漆を塗られて今は真っ黒。岩鋳製のように黒々と光っています。
優雅で優美な像に、言葉もなくしばし見とれます。
これまで見てきたうちで、一番優美な仏像かもしれません。



これまで私は、仏像というと、勇ましいものが印象に残っていましたが、この観音様は他を凌駕しています。
見ても見ても見飽きることなく、pinoと「きれい・・・」と、その優しい微笑みにしばし魅了されました。

この観音様は、ダ=ヴィンチのモナ=リザ、エジプトのスフィンクスと、世界三大微笑とされているそうです。
わかるわー。宗教を偏らせない三択なのかもしれません。
でも、あれれ?
スフィンクスって笑っていたかしら?風化されて表情まではもうわからなくなっているような。
謎だわー。(スフィンクスだからねー)

スフィンクスはさておき、すべての人を癒すような微笑みをたたえるこの像が、すさまじい政治的陰謀が織り成す中で作られたということを考えると、1300年間のさまざまな火の粉をくぐり抜けて、今ここにあり続けることに、ただ感動します。
静かな謎めいた微笑は、さまざまな経験を経てこないと出せないなのでしょう。

○夢殿

観音菩薩にぽーっとなったまま、隣の夢殿にも入りました。
でも、あれ、中に入れない!
夢殿の中には、仏像が何体か安置されていますが、外から覗くことしかできません。
えー、中に入りたかったのにー。



『日出づる処の天子』を読んだのは、中2の時でしたが、厩戸皇子が夢殿に引きこもって鬱々としていたシーンが印象的でした。
絵では、夢殿は少年のごろ寝サイズにちょうどいい、6ー8畳くらいだったように思います。
pinoに「その話の聖徳太子は、エスパーでマザコンで蘇我毛人(えみし)LOVEで引きこもり」と説明したら、「ええー、漫画なんだよね…?」と、少し引いていました。
(言い方悪かったかしら?)



ここの仁王様は、こわいくらいに迫力満点!
東大寺南大門の仁王像が日本一だと思っていますが、ここはその次くらいかも。



○ 斑鳩三塔めぐり

法隆寺の手水舎は、龍のモチーフのものでした。
でもどれも微妙に怪物っぽく、ノートルダムのガーゴイル風でした。





法隆寺を見た後、前回は西にある藤ノ木古墳や龍田川へと向かいましたが、今回は東方面の、斑鳩三塔めぐりをしました。
でも中宮寺を参拝するという目的を達して大満足し、もうホテルで休みたそうなpinoは、「え~」と気が乗らない様子。
まあ、人生直線だけではおもしろくなくってよ。寄り道して行きましょう。

どれも聖徳太子所縁の塔です。
まずは法輪寺の三重塔が見えました。



犬の散歩をする住民の人たちと、数人すれ違います。この辺りはたしかに気持ちのいいお散歩コース。
ただ、雲が広がり、空が暗くなってきたため、急ぎ足になりました。
法輪寺を見ながら、次の法起寺へと向かいます。
「近道しよう」と、pinoはショートカットを始めました。

辺りはのどかな田園風景。
絵になる斑鳩の里の絵の中に入り込んでしまったような気分。



法輪寺の前についた時には、もう門は閉まっていました。
それでも、角度を変えてみると、美しい三重の塔が見られます。
秋にはコスモスが咲くという田圃に囲まれ、落ち着いた雰囲気でした。



田圃道を通って隣の駅へ向かって歩いていると、心配していた通り、ぽつぽつ雨がふってきました。
この辺りは、JRひと駅の間隔がかなり遠いです。新宿と代々木くらいの距離かなと思っていると、えらい目に遭います。
もともと鉄道なんて通っていないような、昔と変わらぬ斑鳩の里風景を目の前にすると、そういうものかなとも思えてきますが。



雨はだんだん降って来て、小さい傘だと心もとありません。
途中のお地蔵さんのところで休憩したりしながら、無事に大和小泉駅まで辿り着きました。
空が暗いと、気持ちもなんだかブルーになってしまいます。旅の時は、特に。

○ 奈良で解散

ふたたび奈良駅に着き、そこでpinoと解散しました。私は一足先に帰り、pinoはもう少し旅を続けます。
想像もしなかった冒険を共にこなし、時には命も張ってきた旅の同士との別れに寂しさを感じますが、pinoは「じゃ、お疲れさま~!」と、いそいそとホテルの中へと姿を消して行きました。
取り残されて切ないわ~。おまけに雨はどんどん激しくなってきます。



帰りは大阪から。雨だし早めに移動しようと路線図を見ましたが、目指すなんば駅がありません。
そういえばここはJR。駅構内でうろうろと近鉄乗り場を探しますが見つけられず、旧駅舎にある観光案内所に行って聞きました。
「ここから15分ほど歩きます」と地図をもらいます。
近くではありませんでした。これまで奈良にくる時は、近鉄ばかり使っていたので、JR駅に馴染みがなかったんだとわかります。
さっきpinoに「あれが旧駅舎」と教えてもらっても、ピンとこなかったわけです。
少しでも明るいうちにと歩き始めました。雨はどんどん強くなり、旅行用の小傘では頼りなくなるほどの大雨になっています。



途中、天皇陵の前を通りかかり、のぞいてみました。
第9代開化天皇・春日川坂上陵(かすがのいざかわのさかのえのみささぎ)。読みづらいわー。
天気なら猿沢池のあたりを散策したかったのですが、そのまま電車に乗りました。

○ キラキラ道頓堀



一本でなんばまで行き、地表に上がってみたら、ネオンキラキラの場所に行き当たりました。
ここは、TVでよく見る道頓堀!わあ、グリコって巨大!



大阪はほとんど知らないため、初めて見ました。
それまで、星光りしかないほどの自然の中にいた眼には、まぶしすぎてどうにかなっちゃいそう。
あまりにコテコテのザ・ネオンに、一人のさびしいモードはどこかに吹き飛びました。



大阪から帰浜し、これで今回の旅はおしまい。
無事に旅を満喫できて、まずはpino、そしてマツミンさんに、感謝です。
その後、pinoがどんな旅をしたのかも聞きたいなあ。

帰ってからも、なかなか現実復帰できずにいます。
おそらくずっと忘れられない、すばらしい体験ができました。
いい旅でした!またいつか、訪れたいと思います。
今回の旅行記はとりわけ長く、なかなかマニアックでしたが、最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。


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2 Comments

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お疲れ様でした~ (トッシー)
2013-03-05 00:35:13
旅行、そしてブログアップお疲れ様でした。
橿原神宮・三輪明神・法隆寺・奈良それぞれなじみ深い
ところなのでそれぞれコメントしたいところですが、
それはまた時間がある時に。。

お宮さん二つは、実家から近くて僕が初詣に行った回数
1位2位のところです。ようこそおいで下さいました。
十津川はリカさん方がずっと詳しくなったので
地元民としてはいつか挽回せねば。

たびにっき、これからも楽しみにしております。

ありがとうございます~ (リカ)
2013-03-06 10:57:07
トッシーさんは橿原神宮ご出身ですものね。
あの辺りは、大きなお宮がいくつもあるんですねー。
奈良市内を中心に訪れると、なかなかあそこまで足を伸ばせないため、今回はいい機会となりました。

トッシーさんは、私の知り合いの中で十津川に行ったことのある、貴重な方です!
奈良は、地方によっていろいろな特色があって、興味が尽きませんね~☆

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