風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

平原の国ポーランドへ 1-(2) ウッチ

2018-10-05 | travel
その1からの続きです。 

● ワルシャワ着

定刻通りにワルシャワに到着しました。すごいことです。ありがたいことです。
フレデリック・ショパン空港なんて、しゃれていますね。
ショパンの音楽が鳴り響いているのかと思いましたが、耳を澄ましても何も聴こえません。
見たところ空港内にショパンの絵も像もありませんが、グランドピアノが置かれていました。
すてき。誰でも弾けるのかしら?
少し離れたところだったので、この時は写真を撮らずに眺めるだけでした。

ポーランドのほかの空港にも人の名前がついています。
クラクフはヨハネ・パウロ2世国際空港、グダンスクはレフ・ワレサ空港。
ワレサ議長!なんだか懐かしい響き。

議長というのは古い肩書で、その後大統領になり、ノーベル平和賞を受賞した彼。
ご存命の人の名前を空港に付けるって、すごい。生きる伝説なんですね。
ちなみにワレサは、正確にはヴァウェンサと発音するそうです。

出国のとき、中国パスポートの人たちは時間がかかり、てこずっていましたが、私はほぼノーチェックで通されました。
日本のパスポートの強さを感じます。
ダニエルとの待ち合わせ時間まで余裕がありましたが、早朝だったからか、自分の預け荷物がなかなか出てこず、少しひやひやしました。

● ダニエルと会う

ダニエルから「キスとハグの場所で会おう」とメッセージが届きますが、どこなのかわかりません。
キスとハグの場所?どこ?ときょろきょろしていたら、斜め後ろから「リカ!」とハグされました。
あっ、ダニエル!ハーフパンツ姿なんだー。確かに空港の外は暑いです。

案内されたコンパーチブルのワーゲンからは、ダニエルのガールフレンドのマルヴィナが出てきました。
2人で案内してくれるそうですが、この日は金曜日。仕事を休んだわけじゃないよね?
ダニエルは休暇中で、マルヴィナはフリーランスの写真家なので、問題ないとのこと。よかった。

● 長いサラミ

さっそく出発。朝なので、ワルシャワ行きの車の渋滞ができています。
「今空港に来るときも、これにはまったよ」
ポーランドでも渋滞ができるとは、ちょっと意外です。

日本を出てきた時の大雨が嘘のようないい天気です。
クレイジーに混んだ朝のワルシャワから離れたいと言われ、一路ウッチヘ。
ワルシャワは最終日に観光することにしようっと。



途中、ビエドロンカ(テントウムシ)というスーパーに寄って、軽くつまむものを買いました。
缶コーラ、紅茶のペットボトル、サラミにパンを買っても全部で200円しないそう。食費が安い国です。


ポーランドのサラミ!長すぎ~!


● マルヴィナ

マルヴィナという名前の人は初めて。
写真家の彼女。ダニエルの母イゾルダはファッションデザイナーなので、アート系の人が合うんだろうなと思います。
たくさんの国に住み、何か国語もしゃべれる明るくておおらかな人。
「彼女、いい人だね」とダニエルに話したら「オープンさに面食らったけど、じきに慣れた」
マルヴィナは「ダニエルは強引だよね。でも慣れた」
こうやってカップルは続いていくのです。
初夏にはマルヴィナの所有するマラガのコンドミニアムで、バカンスを過ごしたそう。
二人とも旅好きだから、気が合うのでしょう。

いつもはイゾルダとダニエルの2人に両側から話しかけられて、言葉のシャワーを浴びている状態。
今回、イゾルダはギリシアの島でモードな撮影の仕事中で、それが終わり次第、ポーランドにやってくるとのこと。
それまで少しは息がつけるかと思いきや、2人に代わる代わる話しかけられるパターンはやっぱり変わりません。

● まさかの暑さ

外は嘘のような、30度近い暑さです。えー、ダウンコート持ってきたのに~。
「大丈夫、数日後には必要になるから」
油断していると、一気に寒くなるそうです。

ヨーロッパ最大のH&Mの工場がありました。トラックヤードの数がすごい~。


撮れていない部分は、この倍以上の長さでした


高速に乗っている途中で、前を走っていた長距離バスを乗り越しました。
「リカはあれに乗ろうとしてたんだよ。バスはスピードが遅いから、時間がかかっちゃうよ」と言われます。
普通車とでは、倍近く差が出ることもあるのだとか。
それでもいいんですが、もうキャンセルしたから。
彼らに来てもらえたのは、十分ありがたいことです。



町なかを車で走っていると、古い建物をよく見かけます。
前時代的な、デカダンチックな家が結構あります。
中では、どんなドラマが起こってきたのかしら。

● マヌファクトゥーラ

ポーランド第3の都市、Łódź(ウッチ)に着きました。
なぜこれでウッチと読むのか、わかりません!
織物産業で栄えた街で、いまもその古い建物などが残っています。





まず案内されたのが、「マヌファクトゥーラ(Manufaktura)」という赤レンガ造りの繊維工場をアレンジしたきれいな場所。
映画館、ショッピングモール、博物館などを兼ね備えた広くてなんでも揃っているアミューズメント施設です。

● ランチはシャクシューカ



Szpulka(糸巻き)という店のオープン席に座りました。
木の丸テーブルが、大きな糸巻きの形をしていました。



ダニエルのおすすめの、Szakszuka(シャクシューカ)にします。
「何でも入っているから」
シャクシューカは、トマトソースの上に卵を割り落として焼いたアラビア風料理です。


糸巻き形のテーブル


食事後、モールの中の建物に入りました。
広くてすぐに迷いそう。
宝石屋が多いと感じます。この辺りがシルバーの加工地だからだそう。

● 『VOGUE』最新号

本屋には『VOGUE』最新号がずらっと飾られています。
今年から、ヴォーグ・ポーランド版が刊行されるようになったそう。
最新号は、民族衣装姿の女性たちの真ん中に、トップモデルがいる表紙です。
シカゴは世界一大きなポーランド移民のコミュニティがある街だそう。
この民族衣装、目黒区の国際交流イベントで前に着たことがあるなあと思い出しました。



マルヴィナは「これ、知人が撮ったショットだけど、私はあんまり気に入ってないの」と言います。
なぜかと聞くと、男性は一人しかいないし、その唯一の人は中央のモデルの背後に隠れてしまっているからだとのこと。
なるほど、言われてみれば。気がつきませんでした。

マルヴィナが車を移動させている間に、ダニエルはアスピリンを購入。
「リカは何か買うものない?」と聞かれたので、「こっちのハンドクリームとか、使ってみようかな」と答えます。
「それだったらこれがいいよ」と彼に勧められていると、別のお客さんがそばにきて「ほんとにこれ、お勧めよ」と、その商品をかごに入れていきました。
ダニエルは「というわけで、2個買おう」と、私にくれました。

● フジツー

街に詳しいと思ったら、2人ともウッチの Fujitsu Technology Solutionsに勤めていたとのこと。
ダニエルは1年、マルヴィナは5年住んでいたそうな。それで細かいことでも把握しているのね。
その富士通の前を通りました。大きな建物でした。



さらに彼女は、ここの大学の写真科を出たんだそう。
はじめはNYの大学に入り、ここに転学したそうな。
新入生というよりはプロが入り直す場所で、27、28歳の学生が多く、倍率も高かったそう。
それで彼女はアーチストの知り合いが多いんですね。
仕事柄、いろいろな国に行っているけれど、日本はまだとのこと。

● 白い工場

白い工場と言われる織物工場をリノベーションした織物博物館に行きました。
入り口の両脇にいる小人は、おそらく車よけ。



今はエキシビジョンがちょうど終わっているところだと聞いて、あきらめます。
隣には古い町並みが再現されており、人が少なく貸し切り状態。





観光客ばかりのワルシャワでは、こうはいかないよと言われます。
首都では東京と同じく、車がない方が小回りが利きそう。

● The Film Museum

お次はThe Film Museum(映画ミュージアム)へ。
古い映写機などが残っています。

ダニエルにユニバーシティIDがないかと聞かれて、持ってきていないと答えました。
「持ってこないと割引にならないよ」「別にいいよ」
そう言いましたが、受付の人は割引してくれました。



元は貴族の館だったところで、建物が重厚でクラシカル。



昔、冬に使った暖炉だそうです。「ペチカみたいな?」と聞くと「まあそう」とのこと。
その存在感の大きさに驚きました。



陶器製のものもありました。天井ギリギリです。迫力!



マルヴィナは顔が広く、何人もの学芸員に挨拶しています。
アンジェイ・ワイダもポランスキーもウッチ映画大学で学んだそう。





木製の古い映写機は、こんな風に大勢の人がのぞいて観ていたんですね。

● ミニチュアストリート

アニメーションの撮影現場。ミニチュアのセットに入ってみます。



ポーランドで人気があるという、片耳が折れたクマ、ミシュ・ウシャテク(Miś uszatek)の部屋。
日本にも『おやすみ、クマちゃん』という名で入っているそうです。



ムーミンはどこの国でも人気者。



ピングーに似たアニメもありました。
2人とも、ピングーは知っていましたが、チェブラーシカを知らないので、驚きました。
ロシアのアニメだから…?





知らない間に、どこからかカメラで映されていました。



外には巨大なハイヒールのオブジェが。

● KANTOR

それから、レートがいい街の両替所(KANTOR)へ連れて行ってもらいます。
そこで日本の円をポーランドのズウォティ (Złoty)に両替。
ズウォティとは「金」の意味ですが、響きが重いですね。
ズロチでも通じるそう。ウルトラマンの怪獣にいそうな名前です。

リョコちゃんから、学会参加費の分の立て替え両替を頼まれているため、多めに交換。
参加費ってけっこう高額なんですよね。
それを見た2人は「ちょっと、両替しすぎ!」「そんなに替えちゃったら、せっせと使わないとなくならないよ!」とびっくり。
その後はなんとなくお財布係になりました。違うのよー(苦笑)。


どれも昔の王様の顔。1ズウォティ=30円くらい。


● セカンドハンドショップ

セカンドハンドショップ(古着屋)にも寄りました。
ファッションデザイナー(イゾルダ)の息子であるダニエルは、最初の頃は「誰が袖を通したのかわからないものなんて着れない」と言っていたそうですが、今では夢中になって服を探しています。
イゾルダも前に来たときに、目の色を変えて2時間以上店内にいたそう。

たくさん服を買ったダニエル。マルヴィナもレインコートをゲット。
彼らを待つ間、私も服を当ててみましたが、サイズが違います。
横幅も合わないし、ロングスカートはどれも引きずってしまいました。



こちらの公園は広くて静か。鳥がたくさんおり、心癒されます。

その3に続きます。



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2 Comments

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Unknown (アネッティワールド)
2018-10-06 13:29:14
ポーランド紀行始まりましたね。
楽しみにしていました。

いきなりワーゲンのオープンでお出迎えですか?!
街に溶け込んでいて似合っていたでしょうね。
オープンカー大好きなんで。

サラミ長いですよね。
ドイツにいる息子が一時帰国の際に
お土産で買ってきたサラミの長さに
びっくりしました。
1本食べれませんよ。

空港の名前がお洒落でびっくりしました。
ショパン空港! いいね。
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アネッティさんへ (リカ)
2018-10-10 17:30:12
はい、長い旅になるかと思いますが、始めました~。

息子さんがドイツにおいでなんですか!!それは会いに行かなくっちゃですね☺!
ポーランドはドイツの隣の国なので、機会があったらのぞいてみてはいかがでしょうか?

オープンカーだったんですが、初日は暑すぎて開けられず、翌日からは寒すぎて開けられませんでした~。残念!!
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