２０１４．３．１５ダイヤ改定

石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」は名曲だと思う。
特に歌い出しの“上野発の夜行列車 降りた時から 青森駅は 雪の中・・・”のフレーズは、
物語の始まりの青森駅の雪景色の中に、
前日の上野駅１３番線ホームの情景を見事に織り込んでいる。
せわしなく行き交う宇都宮線や高崎線の電車の中で、
非現実的な青い車体の寝台客車は何処か浮き世離れしているようにさえ思う。
国鉄時代から多くの寝台列車を発着させてきた上野駅だが、このダイヤ改正でまたひとつ姿を消す。
寝台特急「あけぼの」である。
この列車は上野と青森を奥羽本線、羽越本線経由で結ぶ。
そしてこれが国鉄時代から残っていた最後の寝台列車でもある。
ＮＨＫ夜９時のニュースでは生中継までやって、その最後の姿を映し出していた。
駅に置かれていたＪＲ東日本のダイヤ改正を知らせるパンフレットには、
“秋田新幹線「こまち」320km/h運転開始！”や“新型車両「Ｅ７系」デビュー！”など、
Ｅ５系、Ｅ６系、Ｅ７系が華やかに並んでいたが、
その一方で末文に「運転を見直す列車」として一行、
“寝台特急「あけぼの」の運転を取りやめ、ご利用の多い時期に臨時列車として運転します。”とだけある。
時代の衰勢とはいえ、寂しい限りである。
スピードの競演を繰り広げる新幹線とは別に、
車窓に流れゆく夜の街明かりを眺めながら、個室で生のままで飲める酒をたしなむ列車の旅もまたいい。
それは“旅情”という単語が最も実感できる旅なのだ。