15.2本のハーフボトルワインと夢のトワイライトエクスプレスの旅
寝台列車「トワイライトエクスプレス」は大阪と札幌を結ぶ寝台特急である。
基本的に毎日は運行されておらず、そのため臨時列車扱いとなっている。
大阪から札幌に向かう下り列車は月、水、金、土曜日、
札幌から大阪に向かう上り列車は火、木、土、日曜日に運行される。
札幌発大阪行きの上り列車は1,508.5kmの距離を22時間47分かけて走る、
臨時列車扱いながら日本最長距離と最長乗車時間の旅客列車である。
使用される客車は24系ながら、車内がリニューアルされ、
他の寝台列車とはグレードの違いを演出している。
また車体もブルーではなく、重厚なイメージの深緑になっているのも特徴である。
札幌を14:05に出発し、千歳線、室蘭本線、函館本線を経由して五稜郭まで行く。
非電化区間があるためにこの区間はDD51型ディーゼル機関車が重連で牽引する。
五稜郭で青函トンネル用のED79型電気機関車に付け替え、
江差線、海峡線、津軽線と行き、本州に入って青森信号所でここまでの電気機関車を外し、
交直流型電気機関車EF81型に付け替える。
ここから日本海縦貫路線を走り抜けることになる。
奥羽本線、羽越本線、信越本線、北陸本線と行き、翌朝敦賀で牽引機を交換し、
湖西線から京都線経由で大阪に行く。
上り列車が敦賀で牽引機を交換するのは、
専用塗色を纏ったEF81型電気機関車が福井地域鉄道部敦賀運転派出の所属のためである。
ここで明日の大阪発の機関車に付け替えるのだ。
翌朝12:52に大阪に到着し、22時間47分の旅が終わることになる。
DD51型ディーゼル機関車重連に牽引され、13:49頃、
「トワイライトエクスプレス」は札幌駅4番線に入線してくる。
ホームで出発までの16分間、車両取材する。
16分あれば十分に取材できるかと思ったが、意外と時間がたつのが早く、少し物足りない。
もう少し早めに入線してくれてもいいような気がする。
あこがれの寝台列車に初めて足を踏み入れた時は、やはり感動だった。
A寝台個室「ロイヤル」は2号車にあり、一番端の5番が予約した個室である。
隣の3号車は食堂車「ダイナープレヤデス」、
その隣の4号車はサロンカー「サロン・デュ・ノール」である。
A寝台は1号車、2号車に集中していて、食堂車、サロンカーでB寝台利用客と分けられている。
出発前に食堂車の係員が尋ねてきて、トワイライトディナー券とトワイライト食事予約券を渡す。
食事予約券の方は確認後に記念にくれた。
さらにウエルカムドリンクの確認と翌朝の朝食の予約をする。
その間に列車は走り出していた。
暫くして、別の係員がウエルカムドリンクを運んでくる。
ウエルカムドリンクはSAクラスの特権で、ワインやウイスキー、コーヒー、ジュースなどがあり、
今回は赤ワインを頼んだ。
今は「トワイライトエクスプレス」20周年であり、
ワインボトルも20周年近年ボトルになっているためである。
赤ワインのハーフボトルのほかに、缶のお茶、おつまみがついてきた。
早速赤ワインを開けて車窓を眺めながらワインを愉しむ。
室内は同じ“ロイヤル”のグレードながら、
「北斗星」とは細かなところが違っていた。
「北斗星」はシャワーは無制限だったが、「トワイライト・・・」では20分に制限されていた。
それでも勿論使い切れないほどの量である。
ベッドがソファーと兼用にっているのは同じだが、「トワイライト・・・」の方は電動で変更され、
しかもダブルベッドと同じ広さもあり、枕も2種類用意されている。
細かなところで「トワイライト・・・」の方がグレードが高いような気がする。
車内ではテレビも設置されていて、3つの番組が流されていたが、
ずっと「犬と私の10の約束」を観る。
そのうちに5:30p.m.になり、食堂車からディナーの用意ができましたと車内放送があった。
ちょっとほろ酔い気分で隣の食堂車「ダイヤープレヤデス」に行く。
座席も既に9番に予約が入っていたため、すんなりと食事が始まる。
食堂車ではディナーのみのメニューで、日本海会席御膳は客室に運ばれることになっている。
ディナーの料金は12,000円でかなり高いが、それだけの価値はある。
ドリンクは国産赤ワインのハーフボトル1,600円をオーダーした。
部屋で赤ワインを飲んでいたので、同じ赤ワインの方がいいと思ったのだ。
飲みきれないかと思ったが、食事が美味しくワインも進んで、結局飲みきってしまった。
部屋でハーフボトルを空け、食堂車でもハーフボトルを飲みきってしまったので、
結局合計するとフルボトルを1本分飲んじゃったことになる。
ディナー後にシャワーを浴びて少しは酔い冷ましになったが、
それでもさすがにワインを飲み過ぎたらしく、9:30p.m.には寝てしまう。
ちょうど青森信号所で牽引機を付け替えて出発したあたりである。
夜中、3:30a.m.頃にいったん目が覚めるがまた寝て、5:00a.m.のモーニングコールで起床する。
シャワーを浴びて部屋でボッーとしていると、6:17a.m.にモーニングコーヒーが運ばれてくる。
これもSAクラスの特権である。
さらに新聞も部屋の前に置かれている。
Bクラスの利用客はワゴンサービスから購入することになっているが、SAクラスは無料サービスである。
6:45a.m.に朝食を予約しておいたが、6:37a.m.に車内放送で案内があった。
「ダイナープレヤデス」で予約しておいた洋朝食1,575円を喰う。
スクランブルエッグ、ハム、サラダ、フルーツ、パン、コーヒー、オレンジジュース。
部屋に戻って歯を磨き、まったりする。
前を走っている電車が遅れているとのことで、
金沢や福井あたりで13分の遅れだった。
敦賀で牽引機を付け替え、その間にホームに出て車両取材する。
隣の小浜線ホームに521系が停まっていたために、これを急遽取材する。
そのあとも部屋でまったりし、湖西線のループを楽しみながら京都、新大阪、大阪と行く。
乗車時間は最長だが、それでも大阪駅が近づくにつれて物足りない、
もう少し乗っていたいという気持ちにさせられた。
それだけこの「トワイライトエクスプレス」という寝台列車が魅力的だということだろう。
遅れていたダイヤも解消され、12:47に予定通り大阪駅に到着する。
夢が醒める時間がとうとう来てしまったようだ。
※この文章はgooブログ「林檎乃『とほほ・・・。』ブログ」と
ぷらぷらレール「れいの日記」、同時公開です。
ご了承下さい。