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烏合庵奇譚

Welcome to Raven's roost
渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

2010,G/Wぷちトリップ#2;お宿編,

2010-05-09 10:38:03 | Ape & Imp
“鯉川温泉旅館”@ニセコ昆布温泉郷で
        出湯と料理をまったり楽しむ


イベントを抑え早めに向かう本日お初のお宿.全ては出湯を身に染ませ味わう為.
アンヌプリのゲレンデ下をD66で昆布方面に向かい,昆布温泉郷を抜け際.行政区画は蘭越町に入ったあたり,尻別川水系ニセコアンベツ川の,名も無い(国土地理院 2万5千分1地形図による;水線も入れられていない)支流に沿ったグラベル(私道?)に右折.


春が遅かった今年.沿道の桜の蕾はまだ固そうだが,沢には水芭蕉・谷地蕗,路傍には蝦夷延胡索や片栗などのスプリング・エフェメラルが咲き乱れて心を和ませてくれた.鯉の泳ぐ池の畔を抜け,200m ほどで目当てのお宿.


“湯宿だいいち@養老牛”・“湧駒荘@旭岳”・“銀婚湯@落部上ノ湯”に続き道内4軒目,“日本秘湯を守る会”加盟の湯宿.ブランドなぞに固執するのは全く本旨でないが,これまでは幸い“裏切られた”思いは無い.
此方,“鯉川温泉旅館”の価格設定は一名一泊二食税サ込(飲物類別)¥8,550~とこれまでの4軒中では最もリーズナブル.部屋にランク分けは無く,料理の品数による価格分けとのことで,最も品数の多い¥10,650- の贅沢をさせて貰う事にした.


昭和風情の玄関から古風な帳場.女将自ら案内の部屋は4軒中最も質素な設え.池に面した二階;八畳の座敷,窓際に三尺の入側.二畳見当の控えと一畳の踏込み付きながら洗面・厠は共同(銀婚湯も旧館は洗面・厠共同).昔ながら,の趣である.襖や窓の建付けは良く掃除も行き届き,古いなりに“あずましい”.壁の案内書;黄ばんだセロハンテープや,踏込みや廊下の板目が少々軋みがちなところは御愛嬌か (^^;)
お手ずからの茶も然る事乍,備付のポット,恐らくは敷地の湧き水が美味いこと! 同じと思う水は厠に繋る洗面の蛇口から掛け流し.厠の小用便器も掛け流し.何たる贅沢! 経験上,良い水を持つ宿は料理も美味いと思っているので,弥が上にも夕餉への期待は高まる.
“お夕食は,6時から6時半にお部屋にお持ち致します”との女将の案内.ゆったりと湯に浸かり,腹を減らして待つとしよう.

客室棟から帳場前を抜け,小沢に架かる渡廊下を通って湯殿に至る.レトロな待合,手前(右)が殿方,奥(左)は女御.簡素な脱衣場.
男湯の内湯は湯舟が手前4:奥1程に仕切られており,湯口は奥にあって仕切り上部に横一列に開けられたスリットから手前の槽に湯が流れ込んでいる.湯は縁から床のタイルに溢れ,掃除では落ちない赤褐色の湯の華を残す.紛れ無い,濃い湯の証.
カラン/シャワーは奥の左右に一つずつ,手前左に湧水の水飲みひとつ.こう言った設えの湯舟では,私は専ら下手に浸かることにしている.上手に入れば上がった後に下手への湯が一時滞るし,カランが少ない分,流し用の更な湯が汲めるところを残しておくべきと考えるからだ.あ,とは言えコレはあくまで自分ルールです.何処ぞの出湯で鉢合わせしても,講釈垂れる様な無粋は厳に慎む所存ですので,どうぞご安心下さい (^^;)ゞ


閑話休題;お湯です,お湯!(画像は露天の湯口です).
成分表による泉質は“ナトリウム・カルシウム(マグネシウム)-塩化物・炭酸水素塩泉(含土類食塩泉)”,採水時は無色透明となっているが,湯舟の湯は緑を帯びた淡い褐色,薄濁り(ささにごり;酒濁りとも)…鉄分と硫酸イオンを濃く含む湯(所謂“緑礬”系)に特徴的な色合いだ.湯の華の赤褐色もそれを査証する.
手桶に掬いたっぷりと掛け湯して体を良く流し,腰切りの深い湯舟にどっぷり浸かる.とろみすら感じる湯.湯舟の湯温は記されておらず測った訳でもないが多分41~2℃,私にすればやや高めだが,泉質はモロ私好み,そして濃い (o^ ')b 
硫酸イオンの濃い湯(with ナトリウムイオン;所謂“芒硝”系,例えば湯宿だいいち@養老牛)は,好きなのだけれどしばしば私には強すぎて,迂闊にも湯当りを起こしてしまう事も有るのだが,鉄分の介在が当りを緩和してくれるようだ.


暫し温まった処で“滝見の湯”として夙に名高い露天湯へ.御覧の通り,名の如し.風情は極上,女湯からの眺めは更に佳しとか.湯は内湯よりやや温めで入りやすい(湯舟の淀みを無くす為若干の湧水を加水).さりとて湯の醍醐味は矢張り内湯が勝るか…

堪能して部屋に戻り,湯上りのビール(持参したキリンラガー)で喉を潤しつつ暫し.
“お食事,お持ち致しましたー”の通しで女将と若衆(息子さん?)が配してくれた二膳と一皿.珍味と強肴は基本に追加分の品.献立書きは添えられていないので,僭越ながら外題は私の見立てた儘.取違えも有りましょうがお許しを.

壱之膳;
先付:胡桃豆腐旨出汁,印の胡桃と山葵添 / 造利:三点盛,鱒湯霜(多分桜鱒)・平目・甘海老 / 焼物:桜鱒漬焼白餡掛,馬鈴薯と蕗之塔添 / 煮物椀:炊合せ,身欠鰊・筍・凍豆腐・生麩・青菜(菜花と思う) / 香物:白菜と青菜(大根葉かな?)


弐之膳;
珍味二趣:蛸と帆立の饅・赤海鞘塩辛(多分野付産) / 鍋:鶏水炊


強肴;
揚物:蟹解しと彩り奉書巻見立・獅子唐辛子,奔酢添


値の張る食材を奢るで無く,設えも実直.須く家庭料理の延長で凡そ華など無いのだが,地道な仕事が感じられ,しみじみ旨い.体の芯に残る湯の余韻を邪魔せず落着かせる,しっとりとした味わいだ.湧水と塩梅の成せる技か…
圧巻は骨付腿が1本分仕込まれた鶏水炊.今流行の白濁した濃い鶏スープではなく,此方の湯を思わせる薄濁りの出汁.鶏と昆布の穏やかなマリアージュ.丁寧に下拵えされた鶏腿・ふわりとした汲出豆腐.柑橘が出過ぎぬポン酢の仕立ても好ましい.


飲み物には,“岩魚の骨酒(確か¥1,260-)”をお願いした.焼枯らした岩魚一尾に倶知安の地酒“二世古”上選の熱燗二合を注いである.この辺りなら地は樺太岩魚(オショロコマ;ほぼ南限,蝦夷岩魚=アメマスと混棲)だが,“仕入れは業者さんに…”との言.焼枯しなので特有の朱斑の有無は確認出来なかったが,焦し過ぎず岩魚特有の水気を丁寧に落とした拵えは素晴らしく,衒いの無い辛口(昔はガソリン酒と揶揄されたりもしたが)二世古の風味を押し上げ実に旨い.あっという間に二合を飲み干し(私だけではありません,念の為),もう二合注いで貰ったが,これも旨味は充分であった.
食事の味噌椀には,造利と見合う一人宛2尾分の甘海老の頭が配されていた.食後の甘味は白玉の粒餡仕立て,彩に苺が添えられている.何と言うことの無い一品だが,滋味に富んだこの夕餉を締めるには相応しい.骨酒の骨まで,余さず有難く,いただきました.


暫し腹を落着かせてから再度湯殿へ.ゆるりと温まっての就寝.

目覚めれば有難や,全く湯当りの兆し無し.けれど復路を考えて朝風呂は自粛.


朝餉は案内の8時過ぎに女将と若衆が部屋に配してくれた.之もまた,衒い無く実直そのものの膳.
自家製と思しい温泉卵と烏賊塩辛.焼物(紅鮭)の皿には昆布佃煮(出汁を取った昆布を炊いたのだろう)と梅干が添えられ,浸し(もやしと青菜)には出汁と胡麻油で淡い下地が施してある.味噌汁(豆腐と滑子,散し三葉)が,煮〆(茄子素揚・油揚・小芋・手綱蒟蒻)が,そして御飯が頗る美味い!

一休みして着替え,荷を携えて部屋を辞す体が心なしか軽い.勘定して框を降りると帳場の館主が門口まで送ってくれた.
有難う,お世話様.御蔭で大層休まりました.きっとまた,お邪魔しますね. 今度は是非,基本のコースでお願いしましょう (b^ ')b

食べログ⇒http://tabelog.com/hokkaido/A0106/A010603/1008969/

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